【J1リーグ2023】打ち合い制した札幌を解析。勝因は2シャドーの動き

2023年4月10日(月)18時0分 FOOTBALL TRIBE

北海道コンサドーレ札幌 浅野雄也(右)青木亮太(右)写真:Getty Images

2023明治安田生命J1リーグ第7節の各試合が、4月8、9日に開催された。ここまででヴィッセル神戸が勝ち点16で首位をキープ。続いて同勝ち点14で、名古屋グランパス、アビスパ福岡、サンフレッチェ広島の3チームが追走する。


ここでは、J1第7節の試合中、北海道コンサドーレ札幌VSセレッソ大阪に着目。打ち合いを3-2で制した札幌の勝因ポイントを解析していきたい。




セレッソ大阪 FWレオ・セアラ 写真:Getty Images

C大阪VS札幌:試合ハイライト


前半6分、先制点は札幌だった。MF浅野雄也がスローインを受け取ると、そのままゴール方向へ。C大阪ディフェンス2人に囲まれるも抜け出し、中央の空いたスペースへ走りこんだMF金子拓郎がシュート。札幌にとって5試合ぶりの得点となる。


先制されたC大阪だが、すぐの前半9分、ボールを受けたFWレオ・セアラが札幌DF中村桐耶に倒され、PKを獲得。そのままレオ・セアラが得点を決め、すぐ試合を振り出しに戻す。


打ち合いを予感させる立ち上がりとなったが、その予感が的中。前半15分に、札幌MF青木亮太の突破のこぼれ球を拾った金子が、ワンタッチでゴール前のFWキム・ゴンヒへ。キム・ゴンヒがワンタッチで決め切り、札幌が勝ち越しに成功。


前半18分には、C大阪も負けずと決定機を作り、FWカピシャーバが抜け出すもシュートはミートせず。前半アディショナルタイムにはロングボールのこぼれ球をMF香川真司が狙うもGKク・ソンユンの正面。札幌1点リード(2-1)で前半を終える。


北海道コンサドーレ札幌 DF田中駿汰 写真:Getty Images

後半も、両チーム攻撃の手を緩める気配は一切なし。後半16分に、C大阪の同点ゴール。左サイドからカピシャーバのクロスに対し、レオ・セアラが入り込んでヘディングでズドン。札幌ディフェンスを粉砕するようなヘディングシュートで2-2に。


ヘディングでねじ込まれたら、ヘディングでお返しを。そんなゴールで勝ち越したのは札幌。後半19分、DF福森晃斗のコーナーキックに反応したDF田中駿汰が、頭で決める。


その後も猛攻を続けるC大阪だったが、札幌が耐えしのぎ、3-2で3試合ぶりの勝利を収めた。一方、C大阪にとっては4試合ぶりの黒星となった。


北海道コンサドーレ札幌 MF青木亮太 写真:Getty Images

勝利ポイントは2シャドーの動き


同試合、目立ったのは札幌の両サイドのスペースの取り方である。札幌は流動的なポジションチェンジをとるチームだ。今2023シーズン開幕前ミハイロ・ペトロヴィッチ監督は選手に対し「ポリバレント性」を求めていた。選手が流動的にポジションをとりながら、チームとしての編成部分を崩さないことが重要と語った。


この場合に攻撃のポイントとなるのが、2シャドー(シャドーストライカーを2人配置するフォーメーション)で、いかに質の高いフリーランをすることができるかだ。第7節では、その2シャドーを青木と浅野が務め、その存在意義を魅せるには十分すぎる仕事をやってのけた。


浅野は今シーズンから加入した札幌で、開幕から思うようなフィット感を出せずにいた。しかし、その消化不良感をこの試合で解消したといえる。先制点のシーンは、味方スローインに対しロングランでスペースをつく。そこからC大阪ディフェンスに囲まれるも個人で打開。金子に決めるだけという丁寧なラストパスを送る。ペトロヴィッチ監督が求めているフリーランを体現した形となった。


一方、青木は浅野とは異なり、真ん中のスペースをつくフリーランを何度も繰り返した。象徴的なシーンは前半24分。金子がボールを持つと、C大阪のディフェンスライン前へランをする青木。このランによって前向きでボールを受けることができ、シュートまで持ち込むことができた。




北海道コンサドーレ札幌 MF金子拓郎 写真:Getty Images

J屈指のサイドハーフ金子拓郎


また、同試合で2得点(1ゴール1アシスト)を演出した金子だが、この人無しでは今の札幌を語ることはできないだろう。元々キックの精度がピカイチであったことに加え、スプリントの能力も加わり、Jリーグでも屈指のサイドハーフといえる。


特に2点目のキム・ゴンヒ得点の際のアシストシーンである。金子は中央で青木がボールを持つと、右サイドをスプリントで駆け上がった。スペースがないと判断するとスプリントをやめ、一度ステイする判断力を発揮。そこに転がってきたボールをワンタッチ。ゴール前のキム・ゴンヒへピンポイントクロス。金子の良さが全て詰まったような一連のプレーであった。


今年26歳を迎え、円熟味を増してきた金子が見据えるのは札幌でのタイトル獲得だ。見ているファンの中には、そんな金子を日本代表でも見てみたいと思っている人も多いはず。そんな日がいつか来るかもしれない。

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