BMWで出場権得たワーケンホルストが、フェラーリを“レンタル”してル・マンに出る事情「選択肢は多くない」

2023年4月13日(木)13時41分 AUTOSPORT web

 経験豊富なBMW陣営のワーケンホルスト・モータースポーツは、GTEプラットフォームだけでなく、新しいメーカーのマシンに精通するという大きな課題に直面しながらも、ル・マン24時間レースのデビューに向けて「モチベーションを高めている」という。


 2018年にBMWとともにスパ24時間を制したドイツのチームは、通常走らせているBMWのGT3マシンではなく、フェラーリ488 GTE Evoを、6月のWEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間レースのLMGTEアマクラスで走らせる予定だ。


 ワーケンンホルストは、2月にBMW M4 GT3でアジアン・ル・マン・シリーズのクラス・タイトルを獲得し、100周年記念大会となるル・マンへの自動招待枠を獲得した。


 しかし、GTEアマクラスに参戦するためには、別の車両を調達する必要があった。


 マネージング・ディレクターのニクラス・ケーニッヒバウアーは、来季からGT3車両による『LMGT3』へと移行するこのクラスの最終年では、車両の選択肢が限られていると明かした。


 ワーケンホルストは最終的にAFコルセと契約し、6月10〜11日のレースでフェラーリ488GTE Evoをレンタルすることとなった。


「選択肢はそれほど多くはない」とケーニッヒバウアーは語った。


「フェラーリ、ポルシェ、アストンマーティンがある。BMWは…….走れるかどうかは分からないが、それは選択肢ではなかったと思うし、彼らはもう(GTEに)積極的ではないんだ。フォードも多かれ少なかれ、同じような状況だ」


「したがって、カスタマー仕様のGTEカーは基本的に(現在WECに参戦しているコルベット以外の)3車種ということになる。今年はGTE最終年ということで、どんな見通しがあるのか? もし永年保存するためのクルマが欲しいという人がいるなら、それはそれで素晴らしいと思う。すべてのスペアパーツも必要ないしね」


「我々にとって重要だったのは、どような周辺パッケージがあり、それが最も合理的かどうかを判断することだった。そして、フェラーリでいくことにしたんだ」


「我々がフェラーリを採用することにした理由は、ル・マンでその性能と信頼性を実証してきているからだ」


「我々はフェラーリと仕事をしたことはない。だが、技術面に長けている人たちと話したところ、扱いやすいということだった。我々は、必要以上に難しくなく、組み立てやすい方法を見つけようとしたんだ」

2023年のWEC・LMGTEアマクラスはGTE車両最終年。フェラーリ、ポルシェ、アストンマーティン、シボレーにより争われている。


 ワーケンホルストは、BMWのフルタイムプログラムを担当するスタッフでル・マンに挑む予定だが、GTEフェラーリに精通したAFコルセのテクニシャンも数名迎え入れる予定だ。


 ケーニッヒバウアーは、「我々と一緒にアジアン・ル・マンをやったスタッフたちは、みんなル・マンでも働いてもらうつもりだ」と語った。


「我々はマシンの経験がないため、車両をレンタルしている会社から専門知識を得ることが必要になる。だが、我々は自分たちで車を走らる」


「GT3マシンの経験はあるが、GTEマシンやフェラーリの経験はないので、そこで知識を得ることが重要だ。そうでなければ、非常に難しいし、大きな問題が起こる可能性も高い」


「バックグラウンドでは、信頼でき、パッケージをまとめてくれる人を見つけることが非常に重要だった。 我々はワーケンホルストとしてチーム全体を運営し、パートナーチーム(AFコルセ)からサポートのためのスタッフを、ひとりかふたり、配置する予定だ」


■3名中、1名のドライバーが決定


 ワーケンホルストは、 BMWでのプログラムであるGTワールドチャレンジ・ヨーロッパやニュルブルクリンク、ADAC GT4ドイツなどのタイトなスケジュールをこなしながら、ル・マンへの準備を進めている。


 これら、チームの他のレースへのコミットメントは、ル・マンのテストデー前にフェラーリ488 GTE Evoを走らせるのが難しいことを意味するが、ケーニッヒバウアーはいくつかの準備作業ができることを望んでいる。


「現在のところ、時間を確保するのは難しい」と彼は言う。


「いまのところ、(テストに)行く予定はない。でも、少なくとも(ル・マン)前にフェラーリ488で何かできるような解決策を見つけたいと考えている。いまのところ、何も確定していないんだ」


「今年は本当に忙しいシーズンだけど、みんなル・マンに向けてはモチベーションが高まっているんだ。信じられないくらいだよ。参加できることをとても誇りに思う」


「(ル・マン参戦は)一生に一度のこと、とは言いたくない。もっと頻繁に参加することが目標だ。でも、GT3マシンがどのように発展していくかは分からない。今年も参加できるのはとてもうれしいし、幸運なことだ」

WECのLMGTEアマクラスを戦うフェラーリ488 GTE Evo


 ワーケンホルストはまだル・マンのドライバーラインアップを明らかにしていないが、アジアンLMSのタイトルを獲得したトリオの中で、チャンドラー・ハルが唯一参戦することをケーニッヒバウアーは認めた。ハルの名前は、暫定エントリーリストにも記されている。


 ハルはトーマス・メリル、ニッキー・キャッツバーグとともにタイトルを獲得した。メリルはブロンズドライバーとしてアジアンLMSに参戦したが、現在はハルと同じシルバードライバーである。GTEアマでは、ラインアップにブロンズドライバーが必須となる。


 一方、キャッツバーグはコルベット・レーシングのドライバーとしてWECのフルシーズン・プログラムの一部を成すル・マンに参戦する。


 ケーニッヒバウアーは、ワーケンホルストのラインアップが間もなく決定することを示唆した。


「ブロンズドライバーはすでに決まっているが、フルラインアップはまだ進行中の事案だ。すぐに決まることを望んでいる」

2023年のアジアン・ル・マン・シリーズGTクラスを制したワーケンホルスト・モータースポーツ(中央)

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