バイクじゃなくてeパルクーラー? BMWの電動モビリティ「CE 02」とは

2024年4月5日(金)11時30分 マイナビニュース

BMWのバイク部門であるBMWモトラッドが都市型電動モビリティ「CE 02」を発表した。四輪業界では失速気味のEV(電気自動車)だが、二輪のEVはまだまだこれからといったところ。CE 02とはどんなモビリティなのか、「第51回 東京モーターサイクルショー」で実車を取材してきた。
eパルクーラーって何?
「CE 02」は、これまでの二輪EVのイメージを覆す個性的なデザインが特徴だ。すでに同社が発売している次世代型モビリティ「CE 04」よりも車体を軽く、そしてコンパクトにしたモデルがCE 02となる。
そのコンパクトさゆえ、同社では都市型(アーバン)モビリティとしてのイメージを全面に打ち出している。車体が軽くコンパクトになれば、都市部の入り組んだ細い路地でも素早く移動できるようになるわけだ。BMWモトラッドによれば、CE 02は電動スクーターでも電動バイクでもない独自のカテゴリー「eパルクーラー」に分類しているという。
eパルクーラーの由来は、建物と建物の間を飛び回りながら移動する競技「パルクール」だ。都市に住む若者を中心に、通勤、通学、買い物などのちょっとした移動手段として気軽に使ってもらいたいという思いが込められている。
二輪EVは充電環境がネックとなり、なかなか普及が進んでいない。そこへいくとCE 02は、100Vに対応した家庭用コンセントで充電できるので扱いやすそうだ。「標準充電」なら220分で80%、312分で100%まで充電できる。これが「ハイスピード充電」なら140分で80%、210分で100%まで素早く充電できるとのことだ。
家庭のコンセントの種類や契約アンペアによっても変わってくるが、2時間ちょっとで80%まで充電できるとすれば安心感はまずまずだろう。
「CE 02」のスペックは街乗りに十分?
主なスペックは最高出力11kW(15PS)、最大トルク55Nm、最高速度95km/h、最大航続距離90〜100km。街乗りには十分といえる性能だ。しかも、0-50km/h加速(停止状態から50km/hまでの加速に要する時間)わずか3秒という瞬発力も備えている。これなら、側道から幹線道路に合流するときでも、周囲のクルマの流れに合わせて入れるはずだ。さらに、電動リバースギアを装備しており、バイクから降りなくてもバックができるため、路地での切り返しや駐輪場からの出庫などでもまたがったまま操作できるのがうれしい。
CE 02は3つの走行モードを備えている。滑らかに走り出せる街乗り向きの「FLOW」、ダイレクトな加速で高速走行向きの「SURF」、出力と回生を最大限に発揮できる「FLASH」だ。この点について担当者は、「都市型モビリティとはいえ、たまには遠出をしたいときもあるはずです。そういったときでも、走行モードを変えることで、ストレスなくライディングを楽しめると思います」と話す。
免許の種類は?
担当者によると、CE 02発表後は「どんな免許を持っていれば乗れますか?」との問い合わせがけっこう入っているらしい。その点については「クラッチ操作が不要なので、AT限定の普通二輪免許でも運転可能です。車両区分としては軽二輪車に区分されますから、車検が不要で維持費も抑えられます」とのことだった。
CE 02では新たな販売方法を実施する。ずばり、オンライン販売だ。もちろん店舗に出向いて購入することもできるが、オンライン上で手続きを完結できる「デリバリーセールス」が2024年6月1日に始まるそうだ。
担当者は「オンライン購入に抵抗のない若年層に訴求し、店舗に行かなくても購入できる手軽さをアピールしたい」と話していた。こうした取り組みはBMWモトラッドにとって初めてとのこと。すでに一部の四輪メーカーはオンライン販売を始めているが、こうした多様な購入方法は新たな顧客を生み出す可能性を秘めており、今後は加速していくかもしれない。
軽二輪EVの増加に期待
ここまで都市利用に特化した街乗り向きの二輪EVは、これまであまりなかったと思う。
都市利用向き二輪車といえば50cc以下のいわゆる原付き(原動機付自転車)がある。調べてみると、2022年の50cc以下の二輪車の販売台数は15万2,547台(日本自動車工業会)。一方、51cc以上の二輪車は54万2,421台(同)と3倍以上の市場規模がある。
個人的見解だが、50cc以下の原付きは制限速度が30km/h以下なので、幹線道路など交通量の多い道路を走行する場合には遅すぎる印象がある。そういった意味では、51cc以上で車検がない軽二輪車は、速度的にも費用的にも魅力的なカテゴリーになってくる。
CE 02のメーカー価格は125万円から。このクラスの二輪車としては決して安いとはいえないが、このモデルが起爆剤となり、eパルクーラーの選択肢が増えていってくれることを期待したい。
室井大和 むろいやまと 1982年栃木県生まれ。陸上自衛隊退官後に出版社の記者、編集者を務める。クルマ好きが高じて指定自動車教習所指導員として約10年間、クルマとバイクの実技指導を経験。その後、ライターとして独立。自動車メーカーのテキスト監修、バイクメーカーのSNS運用などを手掛ける。 この著者の記事一覧はこちら

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