首位ローランド、最終ラップで“電欠”に散る。ウェーレインが逆転で今季2勝目/フォーミュラEミサノ

2024年4月15日(月)0時59分 AUTOSPORT web

 4月14日、イタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ(ミサノ)にて2023/2024年ABB FIAフォーミュラE世界選手権第7戦ミサノE-Prixが行われ、ニッサン・フォーミュラEチームのオリバー・ローランドが首位で最終ラップに入るもエネルギー切れで失速し、逆転でパスカル・ウェーレイン(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)がレース1での接触による雪辱を晴らす今季2勝目を飾った。


 前日に行われた第6戦では、トップチェッカーを受けたアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)がレース後にマシン違反で失格となり、ニッサン・フォーミュラEチームにとって初金星となるオリバー・ローランドの勝利が飾られたミサノE-Prix。ダブルヘッダーとして行われるレース2は、午前中のデュエル予選にてネオム・マクラーレン・フォーミュラEチームのジェイク・ヒューズが自身3度目のポールポジションを獲得した。


 迎えたレース2は、レース1よりも2周少ない26周となり、ポールポジションのヒューズを先頭にスタートが切られる。

2023/24年フォーミュラE第7戦ミサノE-Prix 決勝レーススタート


 この日も前日のレース1で見られたような順位変動の激しい展開となり、首位は各ラップごとに目まぐるしく変わっていったが、上位勢は早々に2回のアタックモードを使い切る戦略に切り替えてきた。


 舞台となるミサノは、普段フォーミュラEが主戦場としている市街地サーキットに比べて、コース幅も広く長いストレートも多いことからエネルギーマネジメントに厳しいレイアウトだ。公式放送の情報によれば、スリップストリームを使用して1周を走った場合は0.8%のエネルギー節約になるとのことで、レース1では約2%の差が終盤のペースを分けたことを考えるとポジション取りはこのレースの大きなカギとなる。


 レース開始直後からペースを上げて先頭集団を形成したのは、ウェーレイン、ニック・キャシディ(ジャガーTCSレーシング)、ニコ・ミューラー(ABTクプラフォーミュラEチーム)、ジェイク・ヒューズ(ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム)、オリバー・ローランド(ニッサン・フォーミュラEチーム)、ジェイク・デニス(アンドレッティ・フォーミュラE)の6台だ。

2023/24年フォーミュラE第7戦ミサノE-Prix 8番手スタートからトップ集団に加わったニック・キャシディ(ジャガーTCSレーシング)


 序盤でアタックモードの使用義務を果たした6台は、スリップストリームの奪い合いとなり、もっともロスの多い先頭を長く走ったのはローランドとなった。一方他車の影でうまく周回を重ねたのはウェーレインとキャシディのふたりで、レース終盤を前にウェーレインは近くのライバルに対し約2%、キャシディは約3%多くエネルギーをキープすることに成功する。


 残り周回数が少なくなってくると各車は徐々にペースを上げていき、首位のローランドはギャップを広げるスパートをかけ始めた。2番手にはウェーレイン、3番手にはデニスが約1秒の差で続き、すぐ後方ではミューラーとキャシディは僅差で4番手を争う。


 迎えた最終ラップでは、約1.5秒のリードを築いていたローランドがセクター1でまさかの失速。バッテリー残量が保たず、マシンは無情にも停止してしまった。ウェーレイン、デニスの順にローランドの横を抜けて行き、そのまま難なくチェッカーを受けた。


 デニスの後方でミューラーとキャシディが繰り広げていたバトルは表彰台争いとなり、最終コーナーからの立ち上がりで半身前に出たキャシディに軍配が上がった。

2023/24年フォーミュラE第7戦ミサノE-Prix トップでチェッカーを受けたパスカル・ウェーレイン(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)


 ローランドはレース後の公式インタビューにて「スタート時の不具合で、コントロールラインを通過したときに1周をカウントしてしまったようだ。僕はその後、残り周回数を1周少なく見積もったままレースを戦っていたんだ」と、“電欠”の原因を振り返っている。


 前日のレース1は接触によって順位を下げてしまったが、その雪辱を果たしたウェーレインは、今季2勝目を挙げたことでポイントランキングトップに再浮上。同ポイントの2位には2戦連続表彰台のデニスがつけ、9点差の3位はローランド、さらに4点差の4位はキャシディとなっている。


 ハイスピードなサーキットでの開催とあって、普段の公道レースとは異なる2レースが繰り広げられたミサノE-Prixはレース後の失格や“電欠”による劇的な幕切れでの終幕となった。次回大会は、モナコ公国で行われる第8戦モナコE-Prix。4月27日(土)に同国市街地の特設サーキットにて開催される予定だ。

2023/24年フォーミュラE第7戦ミサノE-Prix 表彰台
2023/24年フォーミュラE第7戦ミサノE-Prix レース2も終始バトルの多い展開となった




■第7戦順位結果および各ランキング


■2023/24年フォーミュラE第7戦ミサノE-Prix 順位結果




























































































































































































Pos.No.DriverTeamTime/GapsGrid
194P.ウェーレインタグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム37’05.2413
21J.デニスアンドレッティ・フォーミュラE1.9339
337N.キャシディジャガーTCSレーシング2.2218
451N.ミューラーABTクプラフォーミュラEチーム2.2714
523S.フェネストラズニッサン・フォーミュラEチーム5.23013
63S.セッテ・カマラERTフォーミュラEチーム5.72711
725J-E.ベルニュDSペンスキー6.7942
85J.ヒューズネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム8.2361
97M.ギュンターマセラティMSGレーシング8.38712
1018J.ダルバラマセラティMSGレーシング8.71421
118S.バードネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム11.9125
1211L.ディ・グラッシABTクプラフォーミュラEチーム12.41514
1348E.モルタラマヒンドラ・レーシング14.17119
1433D.ティクトゥムERTフォーミュラEチーム17.87518
1521N.デ・フリースマヒンドラ・レーシング21.93520
1617N.ナトアンドレッティ・フォーミュラE1Lap16
1713A.F.ダ・コスタタグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム1Lap22
09M.エバンスジャガーTCSレーシングDNF15
022O.ローランドニッサン・フォーミュラEチームDNF10
02S.バンドーンDSペンスキーDNF6
016S.ブエミエンビジョン・レーシングDNF17
04R.フラインスエンビジョン・レーシングDNF7


■2023/24年フォーミュラE ドライバーズランキング(第7戦ミサノE-Prix終了時点)





































































































































































Pos.No.DriverTeamPoint
194パスカル・ウェーレインタグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム89
21ジェイク・デニスアンドレッティ・フォーミュラE89
322オリバー・ローランドニッサン・フォーミュラEチーム80
437ニック・キャシディジャガーTCSレーシング76
57マキシミリアン・ギュンターマセラティMSGレーシング65
625ジャン-エリック・ベルニュDSペンスキー53
79ミッチ・エバンスジャガーTCSレーシング52
88サム・バードネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム37
95ジェイク・ヒューズネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム25
1017ノルマン・ナトアンドレッティ・フォーミュラE23
112ストフェル・バンドーンDSペンスキー22
124ロビン・フラインスエンビジョン・レーシング21
1316セバスチャン・ブエミエンビジョン・レーシング20
1413アントニオ・フェリックス・ダ・コスタタグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム20
1523サッシャ・フェネストラズニッサン・フォーミュラEチーム20
1651ニコ・ミューラーABTクプラフォーミュラEチーム18
1733ダン・ティクトゥムERTフォーミュラEチーム12
183セルジオ・セッテ・カマラERTフォーミュラEチーム11
1911ルーカス・ディ・グラッシABTクプラフォーミュラEチーム1
2018ユアン・ダルバラマセラティMSGレーシング1
2148エドアルド・モルタラマヒンドラ・レーシング0
2221ニック・デ・フリースマヒンドラ・レーシング0


■2023/24年フォーミュラE チームランキング(第7戦ミサノE-Prix終了時点)
































































Pos.TeamPoint
1ジャガーTCSレーシング128
2アンドレッティ・フォーミュラE112
3タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム109
4ニッサン・フォーミュラEチーム100
5DSペンスキー75
6マセラティMSGレーシング66
7ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム62
8エンビジョン・レーシング41
9ABTクプラフォーミュラEチーム23
10ERTフォーミュラEチーム19
11マヒンドラ・レーシング0


■2023/24年フォーミュラE マニュファクチャラーズ・トロフィー(第7戦ミサノE-Prix終了時点)







































Pos.ManufacturerPoint
1ポルシェ166
2ジャガー144
3ニッサン126
4ステランティス105
5マヒンドラ18
6ERT11


※編集部集計


投稿 首位ローランド、最終ラップで“電欠”に散る。ウェーレインが逆転で今季2勝目/フォーミュラEミサノautosport webに最初に表示されました。

AUTOSPORT web

「フォーミュラE」をもっと詳しく

「フォーミュラE」のニュース

「フォーミュラE」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ