“札幌対決”を制したSSS札幌が3年ぶり4度目の北海道制覇《JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN北海道》
2025年4月16日(水)12時37分 サッカーキング
4月12〜13日の2日間にかけて、北海道苫小牧市のTOMASEIフットボールフィールド(人工芝)で『JA全農杯2025全国小学生選抜サッカーIN北海道』が行われた。
北海道の札幌地区と開催地である苫小牧地区から2チームずつ、そして、函館、旭川、釧路、根室、小樽、空知、北空知、十勝、千歳、オホーツク、室蘭、道北/宗谷(プレーオフ)から1チームずつ、各地区予選を勝ち抜いた合計16チームが参加。2日間にわたり、トーナメント形式で熱戦を繰り広げた。
試合が8人制で行われるのは通常のU-12年代の大会と同様だが、この大会は前後半ではなく、12分×3ピリオド制(合計36分間)で行われる。第1ピリオドと第2ピリオドは事前に決められた8選手ずつがプレーし、5分間のインターバルを経て行われる第3ピリオドは、登録メンバーの中から第1ピリオド、第2ピリオド連続でプレーした選手以外の8人が出場して交代も自由に行える。
各選手に一定以上のプレー時間が与えられるよう配慮されたレギュレーションである一方、各ピリオドでどのような選手起用や交代策をするのかという部分においては指揮官の腕の見せどころなる。
■決勝は札幌対決に
12日には晴天に恵まれ、穏やかな陽気の中で1回戦と準々決勝が行われ、ASC北海道U-12(苫小牧)、北海道コンサドーレ札幌U-12(札幌)、SC釧路U-12(釧路)、SSS札幌サッカースクール(札幌)の4チームが準決勝へと駒を進めた。
翌13日は朝に降雨があったものの、試合開始までには天候が回復。まず準決勝が行われ、北海道コンサドーレ札幌がASC北海道に4-0で、SSS札幌がSC釧路に6-0でそれぞれ勝利。北海道コンサドーレ札幌にとっては連覇、SSS札幌にとっては2022年度大会以来の優勝を目指して決勝の舞台に立った。
札幌勢対決となった決勝が始まる頃には太陽が顔を出す一方、強めの風が吹きつけるコンディションに。SSS札幌の山瀬幸宏監督が「強度が高くて非常にいい試合だった」と振り返ったように、試合は第1ピリオドの立ち上がりから見ごたえのある攻防が繰り広げられた。
最初にビッグチャンスをつかんだのは北海道コンサドーレ札幌。5分、GK菅原佑太のロングキックが前線の山田晟に渡ると、山田は相手GKと1対1の場面を作り果敢にシュートを狙う。しかしSSS札幌のGK木村環はこれをブロックすると、続く森敦季のシュートも食い止めて得点を許さない。
ここからSSS札幌はカウンターに転じると、相手ゴール前での混戦から大前龍聖が鋭いシュートを突き刺して先制に成功する。北海道コンサドーレ札幌の木崎拓也監督は「最初のチャンスで決めきっていれば試合展開は違っていたと思う」とこのシーンを悔いた。
その後も一進一退の攻防が続く中、北海道コンサドーレ札幌は意外な形で同点に追いつく。第1ピリオド終了間際、相手のスルーパスに対応するべく飛び出したGK菅原がロングキックでゴールを狙うと、これが狙い通りGKの頭上を越え、そのままゴールに吸い込まれた。
■決勝大会まで約1カ月
幸運な同点弾で流れが変わるかと思われたが、第2ピリオドに入ってもSSS札幌がゲームをコントロール。激しいチャージで相手の自由を奪い、セカンドボールをことごとく拾って攻撃に繋げていく。
3分に齊藤雅がルーズボールを蹴り込んで勝ち越すと、4分には佐藤凌功と齊藤が連続シュートで相手GKを脅かし、7分には齊藤のシュートが右ポストを直撃する。攻め続ける中、11分にはGKが対応しきれずにこぼれたボールを佐藤亘が押し込み、さらにリードを広げた。
第3ピリオドの立ち上がりも、SSS札幌の齊藤が迫力のあるドリブルや鋭いシュートを見せ、相手を押し込んでいく。終盤に入ると北海道コンサドーレ札幌も粘りを見せ、セットプレーに活路を見いだそうとするが、SSS札幌は守備陣も冷静な対応を見せて決定機を作らせない。
北海道コンサドーレ札幌は最後のCKの場面ではGK菅原も前線に上げて一矢報いようとしたが、二津颯太のキックは相手に跳ね返され、直後にタイムアップのホイッスル。SSS札幌が「繋いでくるし、フィジカルも強くて難しい相手だった」(齊藤)という難敵を下し、3年ぶり4度目の北海道大会制覇を達成した。
優勝したSSS札幌サッカースクールは、5月に神奈川県で開催される「JA全農チビリンピック2025 JA全農杯全国小学生選抜サッカー決勝大会」に北海道代表として出場する。他の地区大会はすでに終了しており、決勝大会までは1カ月足らずと他の出場チームに比べて準備期間は短い。
過去に北海道代表が全国決勝大会で優勝した例はなく、山瀬監督も「前回、出場した時にも、トレーニングできる場所を確保するのが大変だった」と懸念を語ったが、自身初の全国大会出場だという齊藤は「他の地区のチームを倒して優勝する」と高らかに宣言した。
■試合後コメント
▼山瀬幸宏監督(SSS札幌サッカースクール)
決勝は強度が高くて非常にいい試合だったと思います。
相手の攻撃面のストロングポイントについては、試合前に選手たちに伝えていました。
普段からよく対戦していますが、基本的には相手のほうが力は上なので、受け身に回るといい結果が出ないことが多いです。どのような結果になろうと、普段どおりやって終わろうと言って送り出しました。
子どもたちが意外なほど頑張ってくれたのが優勝につながったのかな、と思います。全国決勝大会まで1カ月弱しかなく、前回、出場した時も、トレーニングできる場所を確保するのが大変だった記憶があります。これからいろいろ探しつつ、各方面に声をかけて準備していきたいと思っています。
▼齊藤雅(SSS札幌サッカースクール)
自分にとって初めての全国大会への出場を決められて、めっちゃうれしいです。
全国決勝大会に行くために、たくさんゴールを決めてチームを勝たせることを目標にしていました。それを達成できたと思います。
北海道コンサドーレ札幌はボールを繋いでくるし、フィジカルも強くて難しい相手でした。
決勝のゴールシーンは、思い切って詰めていたら相手がボールを弾いたので、右足で決めました。すごくうれしかったですし、優勝が決まった瞬間は、「全国に行ける。やった!」という気持ちでした。
ドリブルで仕掛けてシュートまっで持ち込むのが自分の武器なので、全国決勝大会でもそういったプレーを見せたいですし、他の地区のチームを倒して優勝します!
▼木崎拓也監督(北海道コンサドーレ札幌U-12)
SSS札幌とは普段から対戦する機会も多いのですが、粘り強くハードワークしてくる強いチームで、今日は自分たちのやりたいことが全くできませんでした。
決勝戦ゆえの緊張もあったのか、自分たちのミスから先制されてしまい、少し動揺したと思います。
第1ピリオド終盤、ラッキーな形で同点に追いつくことはできましたが、そもそも最初のチャンスが自分たちにあったのを決めることができていません。この決定機で決めきれていれば、このような流れにはなっていなかったのかな、という感じがします。
この敗戦をいい教訓にするために、これから日々のトレーニングに励んでいきたいと思います。
取材・文=池田敏明