「優勝を見てもらいたかった」天本ハルカが天国の恩師に捧げる初V

2024年4月28日(日)18時29分 ALBA Net

母・結子さんとともにトロフィーを掲げる天本ハルカ(撮影:上山敬太)

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<パナソニックオープンレディース 最終日◇28日◇浜野ゴルフクラブ(千葉県)◇6669ヤード・パー72>

首位タイでスタートした天本ハルカが7バーディ・1ボギーの「66」をマーク。トータル19アンダーで初優勝を果たした。黄金世代の優勝者は15人目。5度目の受験でプロテスト合格とデビューまでは遅咲きだったが、3年目で初優勝と順調なプロ生活を歩んでいる。


「まだ実感がなくてフワフワした感じです」。25歳は初優勝の感想をこう口にした。首位タイに3人が並んでスタートした最終組はこれまでの2日間とは一転して、なかなかバーディが出ない重苦しい雰囲気。「前半はなかなか調子が上がらず、最低限パー5で取ったという感じでした」。7番を終えた時点で最終組のバーディは天本が3番パー5で奪った1つだけだった。

そんななか、8番パー3で7メートルのバーディパットを沈めた天本にスイッチが入る。続く9番パー5は花道からの3打目を50センチに寄せて連続バーディ。勢いは止まらず、連続バーディを「5」まで伸ばし、一時は首位から1打差に10人がひしめいた大混戦を抜け出した。

天本がゴルフを始めたのは小学1年生のころ。母・結子さんから何か習い事を勧められ、自らゴルフを選んだ。「近くの練習場のジュニアスクールは危ないから低学年はダメだったんですけど、『真剣にやるので入れてください』って言って、常に保護者同伴という条件付きで入れてもらいました」。そんなゴルフを始めた時からのコーチが近藤元治さん。JLPGAの公式サイトで天本のプロフィールを見ると、伊澤利光とともに師弟関係の欄に名前がある。

残念ながら近藤さんは昨年のシーズン中に他界。「式には行けなかったので、後日、初シードの報告に行きました。優勝するところを見てもらいたかったけど、間に合わなかったなという感じです」。表彰式を終えると、早速、結子さんと亡きコーチに優勝報告の花を贈る相談をするなど、師弟の絆は今も強く結ばれている。

地元では今も同じ練習場を利用しており、ジュニアスクールの子供たちから慕われている。登録名を本名の遥香ではなく、ハルカとしたのはそんな子供たちがきっかけ。結子さんは「小さい子がお手紙を書いてくれるんですけど『遥』という字が難しいので、一文字だけ大きかったり、間違えていたりするんです。それでプロテストに合格した時、簡単に書けて、覚えてもらいやすいようにしたいと、登録名をカタカナにしました。ひらがなも候補だったんですよ」と明かす。

天本の憧れは宮里藍。プロになってトーナメント会場で姿を見ることはあるが「遠くから見ているだけで、2年間、話しかける勇気はありませんでした」というほどの存在だ。初優勝を果たしたことで、これからは話しかける勇気も湧いてくるはず。そして、地元の練習場だけでなく、全国で天本に憧れるジュニアが増えていくに違いない。(文・田中宏治)


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