4月だけで2度のプレーオフを経験 ルーキー・中村心が振り返る“極限状態”「何回やっても…」
2025年5月1日(木)11時45分 ALBA Net
注目のルーキー・中村心が2度のプレーオフ決戦を振り返る(撮影:福田文平)
<パナソニックオープンレディース 事前情報◇30日◇浜野ゴルフクラブ(千葉県)◇6751ヤード・パー72>
4月中旬のレギュラーツアー「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」は安田祐香、河本結とのプレーオフの末に2位。さらに、同月末のステップ・アップ・ツアー「大王海運レディス」でも同期の青木香奈子とプレーオフを戦い2位に終わった。先月だけで2度、“極限の優勝争い”を繰り広げたルーキーの中村心は、「結果的に優勝には届かなかったけど、先週のエリエール(大王海運)も3日間いいプレーができたので、その部分は評価したい」と、この激闘を振り返る。
今週は、今季5試合目のレギュラーツアーを戦う。月曜日から18ホールを回るなど、日差しも徐々に強まっているコースでしっかりと汗を流している。「グリーン周りが難しいけど、グリーン自体は今のところ止まってくれる。ピンをデッドに狙えればチャンスが多いなと思います」。再びの上位争いをイメージしながら、感触を確かめている。
富士フイルム・スタジオアリスのできごとは、「3試合目でまさか経験できるとは思ってなかった」と、本人にとっても望外だった。とはいえ、当然ながら「勝ち切れなかったのは悔しいです」という思いも。それならば、せめてこの「経験」を今後への糧にしたい。
「プレーオフって何回やっても慣れるものではない、というのは2回目も思いました」。そのホールを取れば優勝、取れなければ…というプレッシャーを、この短期間で19歳はすべて背負った。「何がなんだかよくわからなかった。いつもの心情じゃない」というのが1回目の本音。2回目は「次こそ勝ちたいと思って強い気持ちでいたけど、攻めきれず」という悔いが残った。それだけに、“ピンをデッドに”という思いも強まる。
ただ、収穫も大きかった。このレギュラーツアー2位という結果は、今季の流れを大きく変えそうだ。この1試合で105ptを獲得し、リランキングを大きく上げることに成功した。中村の開幕時のQTランクは74位。ステップが主戦場の中、推薦をフルに活用しながらレギュラーツアー4試合に出場してきた。6月22日に終了する「ニチレイレディス」後の第1回リランキングで30位程度に入ることで、優先出場順位が大きく上がる。現在は5位で、突破確実という状況に持っていった。
「前半戦で推薦をたくさんいただいて、リランキング争いに加わり中盤、後半に(レギュラーツアーに)出るというのが目標でした。まずは2位に入って、リランキングで中盤戦に行けそうな順位に上げられたのは良かったです」。メルセデス・ランキングでも29位につけており、夏場は腰を据えてシード争い、そして初優勝を狙っていける。
昨年2度目の挑戦でプロテストを突破。レギュラーツアーでは、優勝争いもあれば、2試合で予選落ちも味わうなど、しっかりと経験値を積み上げている。「2位になった次の週(KKT杯バンテリンレディス、予選落ち)も、同じようなプレーをしたいと強く思いすぎた部分があって良くなかった。成績を出すことももちろん大事だけど、まずはゴルフを楽しんで。その結果いいスコアになったらいいですね」。あどけない笑顔はそのまま。ただ表情には、しっかりとりりしさが増している。(文・間宮輝憲)
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