大宮V柳井監督「何としてでも先にゴールを」【WEリーグ千葉戦直前取材】
2025年5月5日(月)16時30分 FOOTBALL TRIBE

日本女子プロサッカーリーグの最上位である2024-25 SONPO WEリーグ。5月5日現在、全12チーム中11位につける大宮アルディージャVENTUSは、5月6日に国立競技場で開催される第20節ジェフ千葉レディース(現8位)との試合を前に囲み取材を行った。
ホームのNACK5スタジアム大宮にサンフレッチェ広島レジーナを迎え入れて行った第19節では、90分を通して両チームともに激しい攻防を繰り広げたが、最後の最後に与えたPKが決勝点となり0-1で敗戦。大宮サポーターに勝利を届けることは出来なかった。
柳井里奈監督は「パワーのある広島レジーナ相手に対して、しっかり空中戦であったり、長いレンジのボールの対応は前半から上手くできていた。ただ、ゴールに向かうシーンも多くあった中で、1つ取り切れなかった。最後のところでPKをとられて苦しくなったのかなと思います」と力のある広島相手に手応えを感じながらも攻撃面に課題があるとした。ここでは、囲み取材で柳井監督が語った広島戦の振り返りやチームのキーマンMF仲田歩夢について紹介する。

広島戦の課題を修正し千葉戦へ
ー広島戦は悔しい敗戦となりましたが、千葉戦までの1週間で修正した個所や強化した点があったら教えてください。
柳井監督:私たちは次のゲームまで日があったので、選手にしっかりリフレッシュしてもらって、そこからもう一度切り替えてジェフさんとの試合に向け今調整している所です。広島戦での課題とジェフ戦にこういったところを狙っていこうと選手と共有してトレーニングに励んでいます。
ー千葉戦は国立競技場での試合となり、サポーターやスタジアムの雰囲気がこれまでの試合と違ってくると思いますが、大舞台でのメンタル面について選手たちに声がけなどしましたか?
柳井監督:まだ千葉戦に向けてのメンバーは決まっていないですし、まずは千葉戦に勝つというところにフォーカスをして調整をしてトレーニングをしている所です。ただ、ゲーム前には素晴らしい環境、素晴らしい会場で出来ることに感謝しないといけないと伝えなくてはと思いますし、私たちのチームには日本代表選手が少ない中で、こういった環境を楽しむというのは中々簡単なことではないと思いますが、ただ、そういう機会がある中で全力でプレーしてほしいと思います。
ー大宮は後半戦、新加入選手が入って調子を上げているように思いますが、ここまでの戦いで手応えを感じた部分があれば教えてください。
柳井監督:新しい選手が入ってきて前にしっかり進めるというのはすごく大きいと思います。新加入選手につられ、相乗効果で調子が上がっている選手もいますし、何よりゴールを奪えるようになってきたのはチームとしてはポジティブな面だと思います。ただ、広島戦ではシュート数がありながらも中々枠に飛ばないといった新たな課題も出てきているので、結果的にゴールを取らないといけないというところは残り3試合しっかりやっていきたいと思います。

仲田が「選手の良さを引き出す」
ー男子(RB大宮アルディージャ)の長澤徹監督も実際に大宮Vの試合に足を運んでいると聞きましたが、実際にアドバイスや意見交換などはありますか?
柳井監督:長澤監督に限らず、男子チームのスタッフには足を運んでいただいていますし、練習会場が一緒になったときは「この間の試合惜しかったね」「良いゲームだったね」などの声を掛けていただけます。個人的に私が監督として未熟な部分もあるので、気になることは長澤監督に質問させていただくこともありますし、シーズンがずれている分、私たちの前回のオフシーズンは男子のトレーニングに帯同させていただくなど、個人として男子の選手、監督、スタッフには本当に感謝しています。
ー後ほど会見出席予定のMF仲田歩夢選手についてですが、柳井監督はここまで彼女のパフォーマンスをどのように見ていますか?
柳井監督:シーズン序盤は少し怪我があって中々コンディションが整わなかったのですが、彼女は経験もあるのでしっかりコンディションを上げてきてくれている印象です。あとは人間性も素晴らしく、若い選手や他の選手の良さを引き出すなどチームにとってプラスになっています。女性らしい風貌ですが、魅せるプレーはパワフルですし彼女の左足はリーグ屈指だと思います。そういったところが素晴らしいと思います。

「アグレッシブに戦う」
ー今回の試合は男子とのダブルヘッダーで女子の試合を初めて見る方もいると思います。そういう方々にどんな部分を見てもらいたいですか?
柳井監督:前に推進力を持ってプレーする所を見ていただければと思いますし、WEリーグの良さは本当にみんなひたむきに戦いますし、最後まで諦めずにプレーするところ。女子もパワフルなプレーがあるので見ていただけたらなと思います。ジェフさんと共にペアで力強いゲームが出来ればと思っています。女子の試合のためにスタジアムまで足を運ぶにはまだまだハードルが高いと思いますので、このダブルヘッダーの機会を経て女子サッカーの価値を上げ、価値を分かっていただきたいです。その価値を作り出すのも選手たちのパフォーマンスだと思うので、私たちのプレーからそういう部分が伝わればすごく良いと思います。
ー男女で同じ日、同じ会場で試合を行うのは非常に珍しいと思いますが、この試みに対して何かありますか?
柳井監督:近年では珍しいことだと思います。私が現役だった時は、まだ皇后杯(女子)と天皇杯(男子)の決勝戦が国立競技場でダブルヘッダーで行われていました。私が決勝を戦っているときに、女子の試合を最初から観ている方は少なかったんですが、後半の終盤になるにつれて男子のファンやサポーターがスタジアムに入って来て、その方たちはサッカーが好きな方たちなので、自然と声を出して応援していただいたことはすごく印象に残っていますし、とても大きな経験だったと思っています。VENTUSにはまだ代表選手がいないので、そういった環境(大舞台)でもしできるのであれば、選手にとって非常に大きい財産になると思います。この試合を機により盛り上がって今後も継続して行われたらと思います。
ー相手の印象やこういう試合にしたいなど展望があったら教えてください。
柳井監督:ジェフさんも各アカデミー育ちの選手がいたり、私もジェフに在籍したことがあるので、クラブカラーの「走る、戦う」で最後までしっかり戦ってくると思います。選手に今日ミーティングで伝えたのは「私たちも前期かなり苦しかった。1つのゴールを奪うこと、1勝をすることがこんなにも難しいのかと、やはり気持ち的にも難しかったよね」と。「だからこそ私たちは立ち上がりから先に叩きに行く。先に1つゴールを奪うことは(相手にとって)すごくダメージが大きい。ジェフさんは後半戦上手くいっていないと思うけど、苦しんでいる気持ちは私たちが一番わかっているのかもしれない。だからこそ先に出る、何としても先にゴールを取る」という部分でアグレッシブに戦えればなと思います。