ピュアスポーツバイクの醍醐味を味わえるカワサキNinja ZX-6R/市販車試乗レポート

2019年5月7日(火)19時27分 AUTOSPORT web

 試乗したカワサキNinja ZX-6Rのカラーは、ライムグリーンとエボニーを組み合わせたKRT EDITION。早速跨がるとレーシングマシンに近いスーパースポーツとしての雰囲気がそこかしこから伝わってくる。


 バックステップ、前傾のきついライディングポジション。そして深く前屈姿勢をとってスクリーンにヘルメットを沈めると、燃料タンクを抱き抱える感覚でフィットするマシンとの一体感を覚え、スポーツ心がフツフツと沸き上がってくる。

カワサキNinja ZX-6R(右フロント)
カワサキNinja ZX-6R(右サイド)
カワサキNinja ZX-6R(右リヤ)


 かつて流行したレーサーレプリカその物のコンセプトを着実に昇華させてきた賜物。走る、止まる、曲がるの3要素に最高レベルのポテンシャルを追求して作られていることが感じられ生半可な気持ちでは付き合えない厳しさも漂ってくるのである。


 シートは高めにセットされ、切り返しでの軽い操縦性に貢献する。前述の通り下半身から上体の胸に至るまでマシンと一体化できる絶妙なライディングポジションはスポーツライディングを楽しむための機能的デザインに仕上げられている。

カワサキNinja ZX-6R(左フロント)
カワサキNinja ZX-6R(左サイド)
カワサキNinja ZX-6R(左リヤ)


■走ると感じるピュアスポーツの醍醐味


 暖機を済ませたエンジンのアイドリングは1300回転。軽いクラッチを握り、カチッとした踏み応えのチェンジペダルでローギヤにいれる。


 発進後5000回転まで回した時の速度は38㎞/h。このクラスのバイクとしては、低めのギヤリングだ。そこに至る低速域のトルクは十分だ。スロットルレスポンスに優れ、実に俊敏な立ち上がり加速を発揮する。もっと上の回転域を駆使して刺激的な高性能を楽しんで欲しいとマシンに催促されている気分になる程である。

上体が前傾姿勢となる関係で骨盤の位置が高くなるため、足つき性はあまり良いとは言えない。
足つきは身長170cmでかかとが少し浮くほど


 実際5000回転からはトルクの膨らみ方が逞しく、8000回転からの噴き上がりはさらに強烈に。レッドゾーンは1万6000回転から。1万回転を超えるとタコメーターの表示が追いつかないほどの俊敏さを披露する。本来そのパフォーマンスはサーキットでこそ楽しめる領域にあるのだ。

カワサキNinja ZX-6Rの走行シーン
カワサキNinja ZX-6R


 車体もサスペンションも固くシッカリしているが、初期作動性に優れる前後サスペンションは実に巧みに仕事をこなし、荒れた路面でもゴツゴツ感は少ない。また、まったく癖を感じさせないニュートラルな旋回特性が秀逸。交差点の右左折や峠の高速コーナーでも無駄な力を使うことなく、思い通りのラインを綺麗に描いて行ける操縦性には感心させられた。

排気量を636cc。吸排気系の工夫も徹底されて、126馬力ものハイパワーを発揮する。

 ついついペースも上がり、低くイン側に構える前傾姿勢でコーナーリングすると旋回Gとともに自分の胸がタンクに押しつけられる。後輪のグリップが増し、さらにスロットル開けていける感覚になれる。ピュアなスポーツバイクとしての醍醐味がそこにある。


 筆者が年甲斐もなくそんな気分になってしまった事実には自分でもビックリだが、むしろアンチエイジング用マシンとして日々エクササイズに励むにも良いのかもしれない。全身の筋力をバランスよく使うことで、初めて上手く扱える。気持ちも熱くなれる走りを堪能すれば、心地よい疲労感に包まれることは請け合いで、若ければ欲しくなること間違いなしだ。朝出発で空いた峠道までひとっ走りし、ZX-6Rのポテンシャルを堪能しつつ気分を高揚させる休日を楽しむのもお勧めである。


カワサキNinja ZX-6Rの細部ショットはコチラ


大きなアナログ式タコメーターを中心に備え、液晶表示のデジタルメーターを組み合わせたコンビネーションメーター
左ハンドルのスイッチ回り。ふたつのパワーモードを選択可能。またトラクションコントロールのKTRCは3つのモード選択ができる。その他メーターディスプレイのモード変更も左手スイッチボックスで操作できる。
右ハンドル回りはごく一般的なスイッチレイアウト
ユニトラック式のリヤサスペンション。ショックユニットはプリロード調節と伸び圧共にダンピング調節機構が備えられている。
フロントフォークはショウワ製SFF-BP倒立タイプ。左はプリロード、右は伸び圧の減衰調節ができる。

トップブリッジの左はプリロード調節ができる。
右は伸び圧の減衰調節ができる。
ノーズの先端に大きく開けられたエアダクト。速度の上昇につれて増強される導風圧力が強烈な過給効果を生み、高性能発揮に貢献する。
前後段付きのセパレートシート。フロントシートは前方が狭く足つき性が考慮されていた。
キーロックでフロントシートが脱着できる。バッテリー後部にはETCが標準搭載されていた。中のワイヤーを引くとリヤシートが取り外しできる仕組み。
アンダーカウルの中で、カーブを描きながら管長を長くとった4本のエキゾーストパイプはクランクケース下で1本に集合。キャタライザーを経て三角断面の大容量マフラーに導かれる。
ラジアルマウントされたニシン製の油圧ブレーキキャリパーは剛性に優れたモノブロックタイプの対向4ピストン。セミフローティングマウントされたダブルディスクローターはΦ310mmのペタルタイプ。
2019年型からクラッチを握らずにシフトアップ・ダウンができるカワサキクイックシフター(KQS)が装備された。
ユニトラック式のリヤサスペンション。ショックユニットはプリロード調節と伸び圧共にダンピング調節機構が備えられている。


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