巨人・戸郷翔征は「だいぶ危険」、今季未勝利で識者が指摘する不安材料...絶不調だった高橋光成よりも「勝てないと思う」
2025年5月8日(木)16時52分 J-CASTニュース
プロ野球DeNAの元ヘッドコーチで野球解説者の高木豊氏(66)が、2025年5月7日にユーチューブを更新し、巨人・戸郷翔征投手(25)の現状を独自分析した。
「腕を振っている感覚がないと絶対に再生できない」
今シーズンの開幕投手を務めた戸郷は、ここまで3連敗で勝ち星ゼロ。4月11日の広島戦では、3回3分の1を投げ、10安打10失点(自責9)でKOされた。
翌日の12日に出場選手登録を抹消され、2軍での調整が続いていた戸郷は、5月5日の阪神戦に復帰し、先発のマウンドに立った。
1軍復帰登板は、6回を投げ5安打3失点(自責2)と、試合を作ったものの、中継ぎ陣がつかまり、チームは1−10の大敗を喫した。
昨シーズン12勝を挙げたエースは、今シーズン勝ち星ゼロの防御率8.31と苦しんでいる。
昨シーズンと比べて何が異なるのか。高木氏は、5日の阪神戦の内容を振り返りつつ、今シーズンの戸郷の投球を独自の視点で、次のように分析した。
「(阪神戦は)今シーズンの中では、球の走りは多少良くなかったかな。コントロールも多少は良くなった。良い点は見つかるようになったが、持続性がない。再現性が少ない。良いボールと悪いボールがはっきりしている。ただ、真っすぐが走り出した分だけ、相手打者がフォークを振り出してくれた。そういう面ではいいけどな」
高木氏が注目したのは、戸郷の腕の振りだ。
「腕を振る感覚。これが強弱を付けれるくらいの微妙な感覚が体に分からないとダメだと思う」と指摘し、「腕を振っている感覚がないと絶対に再生できない。腕を振っていない感覚で三振が取れたと。振ったらどうなるんだ。振れるようにならないと絶対に良くならない。たぶん自分の状態を分かっていない。いい感覚が戻っていないから、模索しながらやっている」と解説した。
「ハッタリがきかないとエースは勝てない」
そして、5日の試合後に戸郷が発したコメントを紹介し、自身の見解を示した。
「『腕をあまり振らない方が良かった』と言っていた。これは絶対に間違い。そんなに甘くないから。どんなに素質のあるやつでも、常時3割打つやつでも、テクニックだけではだめ。テクニックは、とっさに出るものだから。だけど、打ちにいくときは全力でいく。それじゃなかったら打てなくなる。イチローは一度たりとも抜いていない。テクニックで打っているから抜いているように見えるが、全力で打ちにいっている」
さらに、高木氏は戸郷の現状について「だいぶ危険」とし、西武の高橋光成投手(28)の昨シーズンと、戸郷の今シーズンを比較しながら両者の違いを説明した。
23年に10勝を記録した高橋は、24年シーズンは未勝利に終わった。15試合に先発して0勝11敗、防御率は3.87だった。24年は打線が低迷し、チームは最下位に沈んだ。打線の援護を受けることができなかったこともあり、高橋は勝利に見放された。
今シーズンはチームの好調もあり、6試合に登板して2勝をマークしている。
高木氏は、「高橋光成が全く勝てないときと比べると、勝てないと思う」と切り出し、「高橋光成は援護点がなかった。彼(高橋)はバッターに向かっていく。逃げることをしない。でも、戸郷は『どちらかというと自分のことを考えて投げた』と言った。相手と勝負できない。だからノースリーから真っすぐを投げて打たれる」と持論を展開した。
今シーズンは、大リーグに挑戦している菅野智之投手(オリオールズ、35)が抜け、戸郷がエースとしてチームをけん引しなくてはならない。チームは阪神と並び現在リーグ首位。今後、ペナントレースを戦い抜くにあたり、戸郷の完全復活が期待される。
高木氏は「今の戸郷に大事なのはなんなんだ。もちろんフォームも大事だろうけども、全力でバッターに立ち向かうこと。ハッタリがきかないとエースは勝てない」と主張した。