リチャードが巨人初のトレード発表翌日弾!新ユニホームまとい「僕も威圧感がちょっと出てるかな」

2025年5月14日(水)5時0分 スポーツ報知

5回無死、左中間へ本塁打を放ったリチャード(捕手・坂倉=カメラ・山崎 賢人)

◆JERA セ・リーグ 広島5x—4巨人=延長12回=(13日・マツダスタジアム)

 秋広、大江との2対1のトレードでソフトバンクから巨人に加入したリチャード内野手(25)が、“球団初”の大仕事をやってのけた。広島戦に「7番・三塁」で出場。5回、移籍後2打席目で森から左中間へ今季1号ソロを放った。1950年の2リーグ制後、トレード発表翌日に1軍戦に出場した選手は球団初。チームは12回サヨナラ負けでマツダでは開幕4連敗となり3位に転落したが、岡本が離脱する中、未完の大器が救世主となる可能性を示した。

 リチャードはバットを振り抜き、願った。「いってくれ」。高々と上がった白球は落ちてこない。長い滞空時間を経て、マツダの左中間席へ飛び込んだ。移籍後2打席目で名刺代わりの一発。50年以降、トレード発表翌日に1軍戦に出場した選手は球団初で、歴史に名を刻む衝撃デビューだ。悠然とダイヤモンドを回る姿から威圧感が漂った。

 3点を追う5回先頭。1打席目は三振だったが引きずらない。甲斐らからの声かけで気持ちを立て直した。「みんなの『切り替えて』という言葉が素直に入っていた」。189センチ、123キロの恵まれた体格を持つ男は、カウント1—1から森の直球を打ち砕いた。22年7月13日オリックス戦(ペイペイD)以来1035日ぶりの一発。「起爆剤になってくれれば」と語っていた阿部監督も笑顔で迎えた。

 新天地での飛躍への思いは強い。今季は開幕スタメンを飾ったが、6試合22打数2安打で4月5日に出場選手登録抹消された。苦しむ中、12日に秋広、大江との2対1でのトレードが決定。心機一転、再出発した。早朝に広島入りし、試合前には入団会見。「(巨人は)威圧感をすごい感じるチームだった」と印象を口にし、自らのユニホーム姿を鏡でチェック。「さっき見たんですけど、僕も威圧感がちょっと出てるかな」。新たな“職場”で底知れない力が湧いた。

 エールに応えたかった。ソフトバンク在籍時には王球団会長から大きな期待を寄せられた。技術面だけでなく心の持ち方など数々の助言をもらった。一つ一つが財産になっている。「『自分はできるんだと思っていきなさい』、『自信を持て』、『自己肯定感を上げよう』といつも言われていた」。移籍決定後には自ら連絡。「『君にとっては大きなチャンスだから頑張ってきなさい』と、声をかけてもらった。絶対に頑張ろうと思った」。愛の激励に豪快なアーチで応えた。

 チームは12回サヨナラ負けを喫したが、岡本が左肘靱帯(じんたい)損傷で離脱している状況で、明るい材料になったロマンあふれる右のスラッガー。阿部監督は「いい働きをしてくれた。今後も楽しみ」と喜んだ。リチャードは「岡本さんが帰ってくるまで、とはいわず、チームが勝てるように自分の力を出したい」と引き締めた。6回には左前に運び、マルチ安打デビュー。未完の大器がブレイクへの号砲を鳴らした。(宮内 孝太)

交換トレードでの加入発表翌日の1軍出場は初

 ◆巨人記録室 ソフトバンクから交換トレードで加入したリチャードが移籍即先発で1本塁打を含む2安打。巨人で2リーグ制以降となった50年以降、交換トレードでの加入発表翌日の1軍出場は初。これまでは06年の木村拓也(前広島)、11年の大村三郎(前ロッテ)の2人が最短で2日後だった。

 2リーグ制以降で巨人のシーズン途中に交換トレードで加入した選手が同年の移籍後初戦で安打を打ったのは

年  選 手(前所属)打—安[本]

51 樋笠 一夫(広)1—1[1]

92 大久保博元(西)3—1

99 光山 英和(中)6—3

08 鶴岡 一成(横)4—2

11 大村 三郎(ロ)1—1[1]

20 ウィーラー(楽)3—1

25 リチャード(ソ)4—2[1]

で、リチャードが7人目。移籍初戦マルチ安打は08年鶴岡以来、本塁打は11年の大村以来ともに3人目だ。巨人に頼もしい新戦力が加わった。(恩田 諭)

スポーツ報知

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