レッドブル・ホンダのマシンで最大限の結果を持ち帰るフェルスタッペンのドライビング力【今宮純のF1スペインGP採点】

2019年5月17日(金)7時30分 AUTOSPORT web

 F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。今回は2019年F1第5戦スペインGPだ。
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☆ ケビン・マグヌッセン(ハース)
予選=8番手、決勝=7位

2019年F1第5戦スペインGP ロマン・グロージャンとケビン・マグヌッセンのバトル


 ハース対ハース、危険な“黒い匂い”が1〜2コーナーに充満、やっぱり接触。どうしてなのか、どうしても当たってしまうこのふたり、誤解をおそれずに言えばどちらも同じクラシックなレーサータイプ。優等生ばかりのいまどき珍しい。


☆ ロマン・グロージャン(ハース)
予選=7番手、決勝=10位

2019年F1第5戦スペインGP ロマン・グロージャン(ハース)


 ダブル入賞を喜んだのはメカニック達だろう(ボーナスは出るだろうか)。ビッグアップデート効果を確認できたエンジニア達も。レッドブル・ホンダのピエール・ガスリーに迫る予選1分16秒911は、3月テストでの自己ベストを0.165秒上回った。ようやく今季初ポイント、傷つきながら後方から迫るトロロッソ・ホンダの新人アレクサンダー・アルボンをを抑えこむ。


☆☆ アレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)
予選=12番手、決勝=11位

2019年F1第5戦スペインGP アレクサンダー・アルボン(トロロッソ・ホンダ)


 混乱したダブル・ピットストップの前まで入賞圏内をしっかりキープ、4台ホンダ勢そろい踏み入賞も可能だった(誕生日のホンダ田辺豊治F1テクニカルディレクターはそれをいちばん期待していただろう)。この4戦に9位、10位、11位、11位、激戦区のなかで並べている。


☆☆ シャルル・ルクレール(フェラーリ)
予選=5番手、決勝=5位

2019年F1第5戦スペインGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)


 ここでのSF90アップデートの効果を引き出すのが難しそうに見えていた。マシンバランスが安定しないアンダーステア傾向にラインが乱れ、予選でベッテルに0.3秒及ばなかった。ワン・ストップ戦略で第2スティントはハード、これが機能せず終盤苦戦。ずっと乗りにくかった週末・・・。


徐々に調子を上げてきたピエール・ガスリー


☆☆☆ ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)
予選=6番手、決勝=6位

2019年F1第5戦スペインGP 3位獲得のマックス・フェルスタッペンを祝福するピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)


 ターン・アウトでいろいろな工夫をトライ、勤勉な性格がラップごとに感じられた。フェルスタッペンに0.351秒差の予選6番手、ここまでくればあともう少しの“課題”が自覚できたはず。終盤にルクレールを攻めたてた6位、5戦目の階段を這い上がる。


☆☆☆ セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
予選=3番手、決勝=4位

2019年F1第5戦スペインGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)


 開幕前テストより遅くなったフェラーリ。テスト最速の1分16秒221から1分16秒272に下落した予選タイムが、現状をはっきりものがたる。新スペックのパワーユニット(PU/エンジン)も空力アップデートも結実しなかった。であれば大胆な賭けいくしかない。


 ベッテルはスタート勝負に(ルクレールは異なる戦略に)、結果的にどちらも成功しなかった。あえて言うなら“負け戦(いくさ)”に挑み、敗れたと総括するしかない。中低速エリアで曲がらない今のSF90のアンダーステア病を、フェラーリのマッティア・ビノット代表(技術責任者)はどう改善していくのか。一刻も早くとベッテル(の走り)に焦りが見られる。


☆☆☆ ルイス・ハミルトン(メルセデス)
予選=2番手、決勝=1位

2019年F1第5戦スペインGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)


 フリー走行も予選も、まるでテストのように自己調整を進める。土曜フリー走行3回目トップタイムは開幕戦以来4戦ぶり、こんなハミルトンは見たことがない。王者は敵情を読み、スタートダッシュに集中力を傾け1コーナーを獲ると、トップラン・クルーズ。汗もかいていなかった。これで76勝、今年中にミハエル・シューマッハーの91勝記録にあと一桁まで迫るか。


■速さはあるものの、レース運がないダニール・クビアト


☆☆☆☆ カルロス・サインツJr.(マクラーレン)
予選=13番手、決勝=8位

2019年F1第5戦スペインGP ロマン・グロージャンとカルロス・サインツJr.のバトル


 マクラーレン・チームが“1−2”、ピットストップ・タイム最速サインツ2.07秒、つづいてノリス2.14秒。これはちょっと珍しい。元ポルシェチームで指揮をとっていた敏腕アンドレアス・ザイドルが現場に合流、オーガナイズに変化が起きつつある。


 母国GPに強いサインツが終盤、セーフティカー導入時からスパート、ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)、グロージャンを次々にとらえ8位に。接近戦でのオーバーテイクがフェルナンド・アロンソのようで、地元ファンを喜ばせた。この4点でランク4位堅持、名門チームがじょじょに“地力”を見せ始めている。


☆☆☆☆ ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)
予選=9番手、決勝=9位

2019年F1第5戦スペインGP ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)


 ピットの『コミュニケーションミス』が大事な場面で起きてしまった。マシンパフォーマンスではハースと対等にやりあえたのに、こういうミスは痛い。F1第4戦アゼルバイジャンGPではリカルドに“バック追突(?)”されるなど、レース運がない。現在わずか3ポイント、彼の実走力はこの程度ではないが。


☆☆☆☆ バルテリ・ボッタス(メルセデス)
予選=PP、決勝=2位

2019年F1第5戦スペインGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)


 コースタイプが異なるだけに、3戦「ハットトリックPP」を決めた一撃能力は素晴らしい。完璧なマシンバランスに仕上げているのは、担当エンジニアと彼自身の協業による。スタートでわずかに遅れ、1コーナーで引かざるを得ず、ハミルトンの後方で“2位キープ”。チームプレイヤーに徹するほかなかった。


☆☆☆☆☆ マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
予選=4番手、決勝=3位

2019年F1第5戦スペインGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)


 グリップとパワーを99.9%レベルでコントロール。綺麗なF1ドリフトをあちこちで見せてくれる。稀にラインが膨らみコース幅から外れかけても瞬時に反応、決して乱れない。超速マシンのパフォーマンスと彼のベスト・ドライビングが際立つ今シーズン。いよいよ最大の注目戦、モナコGPを迎える。


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