きっと来る 巨人移籍リチャードの“暑い夏”

2025年5月17日(土)16時0分 スポーツ報知

13日の広島戦で本塁打を放ち、ファンの声援に応えるリチャード

◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 周囲に応援される愛されキャラの選手がいる。ソフトバンクから巨人にトレードで移籍したリチャード内野手(25)がそのタイプ。13日・広島戦での巨人デビュー戦アーチには、ソフトバンク・西武戦を行っていた京セラドームの記者席も沸いた。昨夏から現場に復帰した記者もうれしかった。入団当初から知るタカ番記者ならなおさらだろう。

 「野球向いてないです。野球脳がない。考えた方と逆ばかり」。悲痛な声を聞いたのは4月4日の西武戦(みずほペイペイ)の試合前だった。フリー打撃では、開き直っていたのか、いつも以上に豪快なサク越えを連発していた。練習後に声をかけてみると、まさかの答えが返ってきた。

 師匠の山川との自主トレでは極限まで肉体を追い込んできた。だが、現実は残酷だった。初の開幕スタメンから6試合連続「8番・三塁」で起用されながら、22打数2安打の打率9分1厘で、ホームランなし。自信喪失で臨んだその試合は、2打席連続三振で2軍落ちが決まった。

 試合後、山川は弟子の現状を冷徹に分析しながら「でも、ホームラン打者って早めに結果出すの難しいんですよ」とかばっていた。かつて門田博光さんに聞いた言葉を思い出した。「春先は投手が元気なので打てるわけない。疲れが出てくる夏場が勝負。早く暑くなれと、いつも思っていた」と通算567本塁打の大砲は現役時代を振り返った。

 1軍で活躍前の阪神・藤川監督からも「やめたい」の声を聞いたことがある。日本ハム・新庄監督の阪神時代95年オフの「センスがない」の引退騒ぎは有名。厳しいプロ野球の世界で、彼らも逃げ出したいほどのどん底を乗り越えてきた。勝負の季節はまもなく来る。リチャードが巨人の救世主になることを願う。(プロ野球担当・島尾浩一郎)

 ◆島尾 浩一郎(しまお・こういちろう)1993年入社。98年から野球担当。24年8月から編集委員。

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