カシメロの井上尚弥に対する“挑戦表明”にシラケムード。米メディアは冷ややか意見「現時点でイノウエの眼中にない」

2023年5月20日(土)20時27分 ココカラネクスト

王座に向けて突き進む井上(右)。そんな日本のカリスマ戦士との対戦に“悪童”カシメロ(左)は執念を燃やし続けている。(C)Getty Images

 ボクシング界きっての“悪童”は、次なる獲物を明確に見据えている。

 現地5月13日、ボクシングの元WBO世界バンタム級王者で、現在は同スーパーバンタム級5位のジョンリエル・カシメロ(フィリピン)は母国でのWBOグローバル・スーパーバンタム級タイトルマッチに挑戦。ナミビア人王者のフィリップス・ンギーチュバに3-0(116-110×2、114-112)の判定勝ちを収めて王座を獲得した。

【動画】井上尚弥を狙い続けるカシメロが最新試合で見せた衝撃フック

 階級は違えど、カシメロは元王者の実力は発揮した。6回にはカウンター気味に繰り出した左フックを豪快に炸裂させ、ンギーチュバが大の字に倒れるほどのダウンを奪取した。決着は判定となったが、母国のファンを熱狂させる積極果敢な戦いぶりだった。

 昨年12月の赤穂亮(横浜光)戦以来となる試合で勝利に酔いしれた34歳のベテラン戦士は、試合終了直後のマイクで「次はビッグファイトだ」と宣言。これに呼応したファンから割れんばかりの井上コールを受けると、ニヤりと不敵な笑みを浮かべ、「俺はもう一度世界チャンピオンになりたいんだ。次の試合に関してはプロモーターに任せているが、イノウエとやれるかもしれない」とも語った。

 カシメロの言う「イノウエ」とは他でもない、日本が誇る“怪物”井上尚弥(大橋)だ。昨年12月にポール・バトラー(英国)を撃破してバンタム級4団体統一の偉業をやってのけた30歳は今年1月に全ベルトを返上。そのまま、スーパーバンタム級に階級を上げ、来る7月25日にはWBC・WBOの同級王者であるスティーブン・フルトン(米国)との王座戦が予定されている。

 バンタム級時代から井上を「亀野郎」などと挑発し、一方的に目の敵にしてきたカシメロ。もっとも、規律違反によるタイトル剥奪などのスキャンダルもあって王座戦線から遠のいたフィリピン人戦士と“モンスター”との差はここ数年で大きく開いた感は否めない。

 海外メディアも井上に対する挑戦表明には冷ややかだ。米専門サイト『Boxing247』は、一連のカシメロの言動を紹介したうえで「今のイノウエがカシメロとの戦いに興味を示すだろうか。カシメロがWBOからベルトをはく奪される間に、モンスターの目標はスーパーバンタム級の完全統一に切り替わった」と指摘。そして、次のように続けた。

「今でも両者は良い試合をするだろう。しかし、今のイノウエにとって、カシメロとの試合で得るものは何だ? カシメロがベルトを保持していた時には、イノウエも彼を狙っていたが、いまやカシメロには何もないのである。仮にカシメロがスーパーバンタム級でチャンピオンになれば、再びイノウエと張り合える日はやってくるかもしれない。少なくとも現時点でイノウエの眼中にはいない。これはカシメロの陣営がどれだけ罵ろうと変わらない現実だ」

 スーパーバンタム級への階級上げの記者会見において「ここから先が本当の闘い」と、高みを見据えた井上。そんな怪物との対戦を望み続けているカシメロだが、果たして“夢”が叶う日はやってくるだろうか……。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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