「自信の無さか」井上尚弥の“Sバンタム級停留”に米メディアが異論 有力視されるグッドマン戦は「無難な試合」と断言

2024年5月11日(土)11時0分 ココカラネクスト

東京ドームという大舞台でネリも打ち破り、また一つキャリアをステップアップさせた井上。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 プロキャリアで4階級を制覇してきた井上尚弥(大橋)。その敵なしの快進撃はどこまで続くのかは、世界中で関心を集めている。

 歴史的な勝利を挙げた井上に対する評価はうなぎ上りだ。5月6日に東京ドームで34年ぶりに実現したボクシングの興行で、元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)に6回TKOで完勝。初回にまさかのキャリア初ダウンを喫したが、そこから容赦なく攻め立て3度のダウンを奪取。会場に詰め掛けた4万3000人のファンや関係者たちを熱狂させた。

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 激闘の興奮が冷めやらぬ現地時間5月9日には、業界で最も権威があるとされる米老舗誌『The RING』のパウンド・フォー・パウンド(PFP)で約1年9か月ぶりに1位に選出。「彼こそが至強だ」(ダグラス・フィッシャー編集長談)とし、テレンス・クロフォード(米国)やオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)といった猛者たちを抑えて「世界最強」の評価を得た。

 いまや世界屈指の存在となった井上。今後の戦いも必然的に注目されるわけだが、すでに年内はスーパーバンタム級での試合実施を公表。次戦は、ネリ戦後にリングに招き入れたIBF&WBOスーパーバンタム級1位のサム・グッドマン(豪州)と9月に国内で対戦することが決定的と見られている。

 そんな怪物の“将来図”には、米メディアも興味津々といった様子で熱視線を向ける。ボクシング専門サイト『Boxing News 24』は、井上との対戦歴を持つ元WBO世界バンタム級王者のポール・バトラー(英国)の「最終的にイノウエは体格によって負ける。あれだけ偉大さを重要視している彼は、最終的に体格差が大きく影響するようになる」という分析を紹介。そのうえで、階級上げに慎重な姿勢を見せている“無敵の日本人”に手厳しい意見を寄せている。

「ナオヤ・イノウエはフェザー級では勝手が違うことを心の底では知っている。だからこそ、彼はより安全なスーパーバンタム級にとどまることを選んだのだ。イノウエにとってフェザー級は、自分を打ち負かす可能性があるだけでなく、ノックアウトしてスター性を失わせるようなファイターとリスクのある対戦しなければならない。これまでとまったく違う戦いを強いられるのは明らかだ」

 日本の偉才に辛辣な言葉を投げかける同メディアは、「フェザー級に転向して実力者を倒した方がイノウエの人気は上がる」と断言。そして、挑発的に切り込んでもいる。

「前評判の高くないグッドマンは、パワーもなく、まったく無名のオーストラリア人ファイターだ。イノウエがこの男に何かを試されることはないだろう。日本のスターにとってはまたも無難な試合だ。これは彼の自信の無さの表れでもあるのではないか。もし、イノウエが今以上の実力が自分にあると思うなら、フェザー級に上がって、新たな階級にいるサメたちと交わるはずだからだ」

 もっとも、井上はスーパーバンタム級に上がる以前から階級上げに慎重な姿勢を貫いてきている。バンタム級時代の21年には、「とりあえず階級を上げろというのは、自分はどうかなと思う」と強調。「『敵がいないから上げろ』ってみんな言いますけど、階級をひとつ上げるのはそう簡単なものじゃない。それで自分のパフォーマンスが潰されるなら上げることはしない。そこが階級制のスポーツの難しさ」と語っていた。

 何よりもパフォーマンスの質にこだわっているからこその慎重姿勢。そこを振り返ると、井上がシンプルに強さを追い求めているのは明確だ。ゆえに、“外野”からとやかく言われようと、階級上げを焦ることはないはずで、そうした異論も意に介さないだろう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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