壮絶告白のグッドマンは「不運なボクサー」 涙とともに明かされた井上尚弥戦中止の“地獄の日々”に英紙も仰天「飼い犬のエサに手を出すほど…」
2025年5月16日(金)17時0分 ココカラネクスト

井上戦後の過酷な日々から這い上がったグッドマン。(C)Getty Images
ショッキングな告白に反響は広まった。
発信者となったのは、ボクシングのスーパーバンタム級IBF1位のサム・グッドマン(豪州)だ。現地時間5月14日に豪州・シドニーでセザール・バカ・エスピノーザ(メキシコ)とノンタイトルフェザー級10回戦に判定(3-0)で勝利した26歳は、試合後に複雑な胸の内を赤裸々に語った。
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約10か月ぶりのリングでグッドマンは熱い闘いを見せた。8回に足を滑らせてバランスを崩しスリップダウンする瞬間にパンチを浴びて左目の下をカット。さらに9回にも偶然のバッティングで今度は、右目の上をパックリと切ってしまうアクシデントに見舞われながら奮闘。最終回を無難にまとめ、プロデビューからの連勝を「20」(8KO)に伸ばした。
苦難から這い上がろうとしている。昨年12月24日にIBF&WBOの2団体の指名挑戦者として、スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)に挑むはずだったグッドマンは、来日直前のスパーで左目上をカットして土壇場で試合が延期に……。約1か月後に迎えた仕切り直しの場でも、ふたたび試合直前に同箇所をカット。やむなく試合は中止となった。
無論、井上側に非はない。コンディション管理を仕切れなかった挑戦者陣営とグッドマン本人に小さくない落ち度があったのは間違いない。ただ、「人生を懸ける」と誓っていた26歳は、絶対王者との試合キャンセルから壮絶な日々を過ごしていた。
エスピノーザ戦後にオーストラリアの放送局『ABC News』のジャイ・マックアリスター記者のYouTubeチャンネルに出演したグッドマンは「言うのも飽き飽きしているが、この6か月は、ほんとに辛い目にあったんだ。クソみたいで、金銭的に俺はむちゃくちゃ残酷な目にあったんだ」と涙。井上戦のファイトマネーであった100万ドル(約1億4500万円)を見込んで新居を購入したことで、過酷なローン返済に追われた内情を打ち明けた。
「俺は愛犬のドッグフードを奪っても、腹を満たさねばならなかったんだ。住宅ローンに苦しみ、本当に地獄だった。その状況を乗り越えるには、何人かの人に頼らざるを得なかった。もし、彼らの助けがなかったら、俺は死んでしまっていたと思う。家族にもとても大きなストレスをかけてしまった」
繰り返すが、井上側に何の落ち度もない。それでも若きファイターの送った過酷な6か月に驚きの声は広まった。一連の告白の内容を伝えた英紙『Daily Mail』は、「不運なオーストラリア人ボクサー」とグッドマンを紹介。その上でエスピノーザ戦での再起で「傾きかけていた運がふたたび上向きなったかもしれない」と伝えた。
さらに井上戦中止の決定後からグッドマンが「壊滅的な打撃を受け、飼い犬のエサに手を出すほど経済的に困難な状況に陥った」とした同紙は、「彼(グッドマン)を戦いから逃げたと非難する者もいた。しかし、彼は撤退を決断したことで経済的に破綻したのだ」とふたたび強調した。
そんなグッドマンの今後の目標は、目前で消えた井上戦の実現だ。彼はこう語っている。
「俺はイノウエに挑戦したい。とにかくチャンスが欲しい。彼が逃げているとか、そういうことを言っているわけではない」
果たして、幻となったタイトルマッチが行われる日は訪れるだろうか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]