なぜグッドマンは“ガチスパー”をやめなかったのか 猛批判を受けた井上尚弥戦キャンセルの舞台裏を告白「相手はイノウエだ。軽々しく挑めない」
2025年5月3日(土)11時0分 ココカラネクスト

井上との試合に「人生を懸ける」と誓っていたグッドマン。(C)Getty Images
「自業自得」「愚かじゃないか」「自己管理能力が足りない」
今から約4か月前。ボクシングIBF世界スーパーバンタム級1位のサム・グッドマン(豪州)は、SNSを中心に厳しい声に浴びせられていた。
【画像】目の上がパックリ 痛々しい怪我を負ったグッドマンの近影をチェック
それも当然ではあった。なにせ、当時のグッドマンは、東京・有明アリーナで予定されていた4団体統一スーパーバンタム級王者の井上尚弥(大橋)との大一番を、自身の負傷によって2度に渡ってキャンセル。試合の中止が決まったばかりだった。
逆風に晒されたのは、グッドマンの故障原因にもあった。昨年12月24日に予定していた井上戦の前に、本出発直前のスパーリングで左目上を裂傷していた26歳は、約1か月後に延期された試合の前にも同箇所を負傷。15針を縫う治療を要する大怪我を負ったために、チャンスを逸していた。
いずれも試合を目前にしていた状況下での強度の高いスパーリングであったため、グッドマンはもちろん、徹底した管理を行えなかった陣営は厳しい批判を受けた。一部のメディアでは「逃げた」と皮肉られたほどだ。
ではなぜ、彼は怪我のリスクを抱えていたにもかかわらず、強度の高いスパーリングを重ねたのか。そのワケを他でもない当人が明かしている。
豪スポーツ専門局『FOX Sports』で、当時の状況について「本当にすべてが異常なことだった」と告白したグッドマンは「最初の怪我をした後は、頭部への接触なしでコンディショニングとドリルワークだけをやっていた」と回想し、こう続けている。
「だけど、相手はあのイノウエだ。彼を相手に軽々しく挑むことはできない。だから俺は、あの練習で全力を尽くしたんだ。そもそも俺は一生懸命に努力しなければならないタイプの人間でもある。そうでなければ、イノウエと戦うレベルの競争力は保てない」
全ては前人未到である「打倒・井上」のために重ねたハードワークだった。さらに「俺は子ども頃から才能のあったわけではないし、足が速いわけでも、タフな子どもでもなかった」と強調するグッドマンは、「だからこそ、俺は努力ってものにこだわり、一貫して、容赦なくやってきた」とも明かしている。
「ジムで20週間も必死にトレーニングしたのに、最後には何も残らなかったのは、確かに辛い。もう一度あの境地にまで行けるかは分からなかった。でもありがたいことに、俺には守ってくれる素晴らしい人たちがいる。だから俺は自分自身を憐れんではいない」
自らが「人生で一番の試合」と意気込んでいたメガマッチを逸したグッドマン。しかし、井上と戦うためにリスクを冒して努力を重ねた己の決断に、批判を受けようとも、悔いはないようだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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