飼い犬のエサで空腹満たした“衝撃事実”…再起のグッドマンが告白した井上尚弥戦中止からの困窮生活「金銭的に本当に地獄だった」
2025年5月16日(金)6時0分 ココカラネクスト

井上戦中止から再起したグッドマン。彼はふたたび王座を狙っている。(C)Getty Images
無論、井上側に非はない。むしろ、問われたのは…
ボクシング界で「最強」と言われる男への想いが溢れ出た。
現地時間5月14日、ボクシングのIBF世界スーパーバンタム級1位サム・グッドマン(オーストラリア)は、豪シドニーでセサール・バカ・エスピノーザ(メキシコ)との同級ノンタイトル10回戦を実施。互いに打ち合いとなる中、3-0(99-92、99-91、100-90)の判定勝ちを収めた。
【画像】目の上がパックリ 痛々しい怪我を負ったグッドマンの近影をチェック
9回に偶然のバッティングで右目を裂傷した。そんな痛々しい顔つきのまま、地元メディアの前に登場したグッドマンは、オーストラリアの放送局『ABC News』のジャイ・マックアリスター記者のYouTubeチャンネルに出演。そこで、同階級の4団体統一王者である井上尚弥(大橋)への想いを包み隠さずにぶちまけた。
「俺はあなた方に伝えたいんだ。イノウエと戦いたいとね。ただチャンスが欲しいんだ。彼が避けているなんて俺は言わない。あの時に自分に起きたことは分かっている。クソだったし、残酷でもあった」
26歳の名手が言う「残酷だった」出来事とは、今年1月に予定されていた井上とのタイトルマッチの中止だ。
無論、井上側に非はない。むしろ、問われたのは挑戦者陣営の自己管理能力の低さだった。というのも、当初、試合が予定されていたのは昨年12月24日だったのだが、グッドマンは日本への出発直前に実施したスパーリングで左目上を裂傷。約1か月後に延期となった試合の前にも同箇所をスパーリングで負傷し、興行中止の判断が下された。
いずれも試合目前では異例と言える強度の高いスパーリングであった。そのためにグッドマンはもちろん、徹底した管理を行えなかった陣営は厳しい批判を受けた。一部のメディアでは「逃げた」と皮肉られたほどである。
ただ、グッドマンには、井上戦を熱望するのっぴきならない事情がある。豪スポーツ専門局『FOX Sports』によれば、井上戦での高額なファイトマネーを見込んでいた彼は、試合前に新居を購入。さらに新規の不動産業にも手を出したために、住宅ローンなどの支払いに迫られる困窮状態となっていたという。
「イノウエが逃げているなんて思わない。でも、叶うことなら彼に挑戦したい」
自己管理不足と言えば、それまでだが、昨年12月に井上戦に向けて「人生を懸ける」と語っていたグッドマン。そんな彼が置かれた状況を考えれば、言葉の重みが増してくる。
実際にどれだけ切迫した状況だったのかも伝えられている。「全く金がなかった。1ドルもなかったんだ。知り合い全員から借金して住宅ローンの返済に追われた。本当に地獄だった」と『FOX Sports』で振り返った本人は、飼い犬のドッグフードを食べて空腹を満たしていたという驚きの発言もしている。
「俺は飼っている犬の餌にまで手を出すしかなかった。だから、この状況を乗り越えるには、何人かの人に頼らざるを得なかった。もし、彼らの助けがなかったら、俺は死んでしまっていたと思う」
エモーショナルに語るグッドマン。文字通りハングリーな日々を過ごしてきたからこそ、もう一度、井上に挑む覚悟は並々ならぬものがある。
「人々は俺がイノウエを避けたとか逃げたとか言っているが、金銭的には本当に地獄だったんだ。この6か月間は全くもって不自由だった。俺だけじゃない。家族にも計り知れないストレスがかかっていたと思う。イノウエが逃げているなんて思わない。でも、叶うことなら彼に挑戦したいんだ」
今後は井上との対戦を実現させるべくアピールが必至となる。IBF1位の座をキープしているグッドマンだけに、他団体の1位と暫定王座戦をし、己の価値を高められれば、「猛者」を求める絶対王者を振り向かせられるはずである。
心身ともに苦しい日々を過ごし、よりタフになった。そんな若武者は自らの野望である“打倒・怪物”を果たす日は訪れるのだろうか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]