【忘れがたき銘車たち】ル・マン24時間レースの優勝へ向けた転換点『マツダ757』

2021年5月21日(金)15時30分 AUTOSPORT web

 モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツweb。両者がコラボしてお届けするweb版『Racing on』がスタートしました。


 web版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。第10回のテーマはマツダ757です。


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 名機『787B』がル・マン24時間レースにおいて総合優勝を果たしてから今年でちょうど30年。そんなマツダがル・マン制覇を目指す道のりのなかで、ひとつの転換点となったマシンが、今回紹介するマツダ757だ。


 マツダ/マツダスピードは1970年代から継続的にル・マンへと挑戦し、1983年には2ローターの13Bを搭載する717CでCジュニアクラス優勝を果たすなど一定の成果を挙げていた。そして1986年、さらなる高みを目指すべく、ブランニューマシンの757を投入し総合優勝を狙えるクラスへとステップアップした。


 757は、GTIエンジニアリングでポルシェ962Cの設計を担当することにもなるナイジェル・ストラウドがシャシーを設計。


 この時代、すでにカーボンモノコックを使い始めていたチームもいたが、757はノウハウが豊富だったことと、コストの面も考慮してアルミモノコックを選択した。


 要となるエンジンは、13G型と呼ばれる3ローターロータリーを搭載。オーバーオールウインを狙うクラスへのステップアップにあたり、モアパワーのロータリーが求められた結果、13Bの2ローターターボも試されたが、排気温度が高くなりすぎる問題をこの当時はクリアできず、マルチローター化によるパワーアップを選択した。


 そのエンジンに組み合わされるギヤボックスには、ポルシェ製を採用。ロータリーの構造上、ギヤボックスを上下逆にして搭載していた。


 こうして1986年に誕生した757だが、同年のル・マンにおいては参戦した2台にインプットシャフトなどのトラブルが発生、リタイアを喫してしまう。


 その後、国内のJSPCで熟成を重ね、再び757で挑んだ1987年のル・マンでは、202号車が総合7位、クラス優勝という快挙を成し遂げたのだった。


 1988年以降も767、767B、787、787Bと苦難を乗り越え、成果を得ながら総合優勝への道をひた走るマツダにとって、この757は第2の出発点とも言えるマシンだったのかもしれない。

1986年のル・マンに挑んだ757。写真の170号車はデイビッド・ケネディ/マーク・ギャルビン/ピエール・デュドネの3名がドライブしたが、片山義美/寺田陽次郎/従野孝司組の171号車とともにリタイアに終わる。


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 本誌『Racing on』からのお知らせです。今回、冒頭でも記述した今からちょうど30年前の1991年に日本車初のル・マン・オーバーオールウインを達成したマツダ787Bを始めとするグループCカーが終焉へと向かっていく時代、1989年から1994年までのマシンをぎゅっと集めた『グループCカーのすべて Vol.2 1989-1994』が絶賛発売中です。


 さらに、今回紹介したマツダ757も登場している『グループCカーのすべて Vol.1 1982-1988』も発売中です。どちらも有名なマシンから、なんだか見慣れないマシンまでたくさんのCカーにまみれて楽しむことができるはずです。


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