力石、散る ヌニェスに判定0-3  兄・矢吹との兄弟同時世界王者ならず…IBF世界Sフェザー級王座決定戦

2025年5月28日(水)20時25分 スポーツ報知

2回、エドアルド・ヌニェス(左)を攻める力石政法(カメラ・中島 傑)

◆プロボクシング ▽IBF世界スーパーフェザー級(58・9キロ以下)王座決定戦12回戦 〇エドアルド・ヌニェス (判定) 力石政法●(5月28日、横浜BUNTAI)

 IBF世界スーパーフェザー級王座決定戦は、同級3位・力石政法(30)=大橋=が同級1位エドアルド・ヌニェス(27)=メキシコ=に0−3の判定で敗れ、世界初挑戦での王座獲得はならなかった。ジャッジ3人は全員ヌニェスを支持。力石の採点は113ー115、112ー116、111ー117だった。兄のIBF世界フライ級(50・8キロ以下)王者・矢吹正道(32)=LUSH緑=とともに兄弟同時世界王者は持ち越しとなった。戦績はヌニェスが29勝(28KO)1敗、力石が16勝(11KO)2敗。

 井上尚弥、井上拓真ら大橋ジム勢とともに入場した力石。リングサイドでは兄・矢吹が見守った。序盤からヌニェスが前に出てプレスをかけ、力石が足を使ってかわす展開が続く。距離を詰めて右アッパー、フックで攻める相手に、力石は左を打ち込むも単発に。8回、左を効かせるが、倒すまでには至らず。最後までヌニェスが前に出続けた。試合は判定へ。115—113、116—112、117—111の3—0でヌニェスに軍配が上がった。

 力石は三重・鈴鹿市生まれ。幼少の頃からボクシングを始め、アマチュア戦績は25勝(15KO・RSC)5敗。2017年7月にプロデビューし、22年5月に東洋太平洋スーパーフェザー級王座を獲得。23年1月には、WBOアジアパシフィック同級王座を奪取した。24年3月には、イタリア・ローマでマイケル・マグネッシ(イタリア)に12回大逆転TKO勝利し、WBC同級シルバー王座(日本未公認)も手にした。24年7月、マッチメイクや練習環境面を考えた末、LUSH緑ジムから大橋ジムに移籍。同年10月には移籍初戦でアルネル・バコナヘ(フィリピン)に2回KO勝利を飾った。

 今回の世界戦に向けては、大橋秀行会長(60)の発案で、元日本同級王者の岡田誠一トレーナー(43)、2012年ロンドン五輪日本代表の鈴木康弘トレーナー(37)のトレーナー2人体制で腕を磨いてきた。接近戦に強い岡田氏、アウトボクシングが得意な鈴木氏から指導を受けることで、力石の才能をさらに伸ばすのが狙いだった。

 兄弟同時世界王者という夢に突き進んできた。今年3月、兄の矢吹は当時IBF世界ライトフライ級(48・9キロ以下)王座を保持したまま、IBF世界フライ級王者アンヘル・アヤラ(メキシコ)に挑み、12回TKO勝ち。日本人史上初の2階級同時制覇を達成した。漫画「あしたのジョー」のキャラクターから、兄は主人公の矢吹丈、弟はライバルの力石徹にあやかってリングネームをつけた。漫画ではともに世界王者にはなれなかったが、すでに兄は世界ベルトを手にしており、弟も頂点に立って、名作を超える快挙を目指していた。

 ヌニェスはこの試合の前まで28勝全てがKO勝ちで、KO率は96・6%。力石は「明日はメンタル勝負になる。相手は普通の選手じゃない。怪物みたいな選手。その選手に立ち向かう、勇敢なメンタルが必要。そのメンタルを作り出す覚悟を決めてきた」という強い思いでリングに向かっていたが、夢はお預けとなった。

 ◆力石 政法(りきいし・まさのり)本名・佐藤政法。1994年6月10日、三重・鈴鹿市生まれ。30歳。幼少の頃からボクシングを始め、アマチュア25勝(15KO・RSC)5敗の戦績から、2017年7月にプロデビュー。22年5月に東洋太平洋スーパーフェザー級王座、23年1月、WBOアジアパシフィック同級王座を獲得した。24年3月、イタリア・ローマで12回TKO勝利し、WBC同級シルバー王座(日本未公認)も手にした。同年7月にLUSH緑ジムから大橋ジムに移籍。身長177センチの左ボクサーファイター。

スポーツ報知

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