【大の里の相撲道(下)】歴代横綱たちが指摘する、大横綱になるための課題
2025年5月29日(木)6時0分 スポーツ報知
夏場所14日目、激しくあたる大の里(右)と大栄翔
大関・大の里(24)=二所ノ関=の初土俵から最速となる所要13場所での横綱昇進が決定した。スポーツ報知では連載「第75代横綱 大の里の相撲道」で素顔、強さの秘訣(ひけつ)、課題などについて迫った。
* * * *
夏場所は出足に迫力があった。得意の右差しと左おっつけも鋭く、13日目に2場所連続優勝を決めた。師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は「今場所の立ち合いは僕が見た中で一番」と弟子の成長に目を細めた。
口上で述べた唯一無二の横綱へ、何が必要か。宮城野親方(元横綱・白鵬)は「右の使い方が(大の里の)型。群を抜いていた」と分析した。一方で、組んで良し、離れて良しの攻めで史上最多45度の優勝を記録した大横綱は「右差し、左おっつけのその次がない。そこを変えないと、なかなか勝てない」と今後、多彩な攻めが必要になると指摘した。芝田山親方(元横綱・大乃国)も、はたき込みで勝った2日目の小結・高安戦を引き合いに出して「当たられて攻め込まれた時の対処。自分の懐に呼び込む癖がある」と改善を求めた。引く姿勢は負傷にもつながりかねない。
精神面の充実の大切さを改めて説いたのは、元横綱で3代目・若乃花の花田虎上さん(54)。先場所までの相撲を参考に、「時に雑な相撲が出るのは技術ではなくメンタル面の影響が大きい」と話す。弟で22度優勝の元横綱・貴乃花は2日目の黒星が多かったことを挙げ、「素質のある人はどこかにエアポケットがあり、相手にそのうち読まれてくる」。大の里も大の里関昇進後も波に乗る前の序盤に取りこぼす傾向にあったため、弱点をなくしたい。
二所ノ関親方はこの日も「まだ基礎段階で、まだまだ伸びる」と四股、すり足、てっぽうなどを厳命。さらに「圧力を増し、体の芯を強くして根こそぎもっていく力がほしい」と研さんを求めた。結果を出せなければ引退、というのが番付最高位の宿命。4度の優勝回数をどこまで伸ばせるかは、24歳の進化にかかっている。(特別取材班)=おわり=