12球団ワーストから一転 西武 初回に計27得点は阪神抜きトップ 首位に再度0・5差
2025年5月29日(木)5時26分 スポーツニッポン
◇パ・リーグ 西武6—0楽天(2025年5月28日 ベルーナD)
「初回速攻レオライナー」だ。今季の西武は初回の得点が多いから強い。「できれば初回にもっと取りたかった」と西口監督の理想は高いが、長谷川の適時打など電光石火の2点先制劇だった。
ネビンの右犠飛で先制し、なお1死一、三塁。26日まで打率1割台に低迷していた長谷川の脳裏を「ゲッツーになるかも…」とよぎった。座右の銘は「百折不撓(ひゃくせつふとう)」。幾度失敗しても志を曲げない、という意味だ。「振れなくなるのが一番ダメ。初回の得点は試合の流れが良くなる」。滝中の内角シンカーを左前へ運び、リードを2点に広げ右手を掲げた。
これで今季はチームのイニング別で初回が27得点と最も多く、26得点の阪神を抜いて12球団トップとなった。最下位に低迷した昨年は初回の得点が12球団ワーストだったが、1番に固定された西川や、3番を打っていたドラフト2位・渡部聖らの活躍で打線が生まれ変わった。その進化に、5番に座った長谷川も力強く加わった。
足の速さに逸話を持つ。2歳の時。神社参拝中に騒ぎ、父親に叱られて鳥居の下に取り残された。だが父親が数百メートル先の車に向かうまでに泣きながら追い越して先に到着した。「記憶はない…」と笑うが、置いて行かれたくない一心で走った。開幕は1番で迎えたが、不振で一時は打順を9番まで下げた。25日のロッテ戦で初の5番。22年に育成から支配下登録された際、当時の渡辺久信GMから「暴れちゃって」と背中を押され契約を結んだが、「暴れる」までには時間がかかった。
渡部聖は23日のロッテ戦で左足首を捻挫し、欠場が続く。長谷川は6回無死一、二塁でも左中間へ2点三塁打を放った。17日に23歳の誕生日を迎えてからは打率・423。「次も勝ちます。(渡部)聖弥の分も打ちます」。首位日本ハムに再び0・5ゲーム差に肉薄。首位を目指すレールを一心不乱に走る。(神田 佑)