GPDA会長ブルツがF1モナコGPのコース変更を提案。ヘアピンの幅やシケインの移動にレース改善のヒントを見出す
2025年5月30日(金)7時30分 AUTOSPORT web

現在GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)を率いる元F1ドライバーのアレクサンダー・ブルツは、F1モナコGPの舞台であるモンテカルロ市街地コースに3つの変更を提案するビデオを制作した。ブルツは、この変更によってレースが改善すると考えている。
F1は、モナコGPのレースに刺激を与えようと、今年はドライバー全員に最低2回のピットストップを義務付けたが、この試みは失敗に終わった。そのため、モナコ公国のストリートで行われる日曜日のレースを今後どのように改善できるかという議論が再燃している。
2026年のF1マシンは完全に異なるものとなり、レースを向上させる可能性のあるふたつの特徴を備えていることから、F1は再度反射的な反応を取ることを避け、2026年には何か違うことを試みるべきだと主張する人々もいる。第1に、マシンは現在のものより幅が狭くなるため、前を走るマシンと並ぶことができる可能性が高くなる。第2に、来年使用される複雑なパワーユニットにより、他のドライバーがフルにバッテリー電力を使用できているときでも、ドライバーは頻繁にそれを回収しなければならなくなる。そのため、ラップタイムに最大3秒の差が生じて、モンテカルロの狭いストリートにおいてでさえ、ポジションを守るのが非常に難しくなるとみられる。
しかしブルツは、市が対応できる小規模な変更が3つあり、それがレースに刺激を与えられると考えている。モナコ在住のブルツは、この街の制約をよく理解しているが、微妙な変化を加えることでレースを改善できる場所を3つ挙げた。まずブルツは、シケインをタバココーナーの近くに移動できると考えている。
「どの都市にも物理的な制約はあるが、レースを観戦し、仲間のドライバーと話した自分の経験から、シケインを後ろに移動することは可能だと考えている。つまり、このコーナーには曲がりくねった部分やバンプがあるため、防御がかなり簡単だが、それがより難しくなるということだ」
タバココーナーは、今も全開で走ることのできない高速コーナーだが、ラスカスコーナーの再形成を実現することも容易であり、オーバーテイクのチャンスが増えるとブルツは考えている。
「このエイペックスがさらに外側に来ると、エントリーラインは確実に変わる。コーナーを大きく開けることになるので、飛び込まれる可能性があり、前のドライバーは防御するか、スペースを開けたままにしておくことを受け入れるか、どちらかを選ばなければならない」
「防御する側の場合、出てくるスピードがずっと遅くなるため、後ろに列を作ることになる。ドライバー全員にかかるプレッシャーはまさに増大する。これはちょっとしたトリックで、実現するのはかなり簡単だと思うが、少なくとももっとバトルをしたり、もっと激しいプレッシャーをかけたり、オーバーテイクをしたりできるはずだ」
最後に、トンネルを抜ける際のオーバーテイクの機会を増やすために、ブルツはヘアピンの幅を広くすることを提案している。
「それによってトンネルを抜けるドライバーは、急襲するチャンスを容易に得られる。つまり、先頭のドライバーはより多くの防御をしなければならなくなり、速度が遅くなるということだ。しかし、ヘアピンは非常に狭いので、出口のトラックも拡大し、縁石を取り除き、物理的なウォールまでずっとアスファルトを敷いて、回転半径を確保する必要がある」
「本当に理想的なレーシングラインは、今のまま変わることはないだろう。ただ、もう少し防御をしなければならないだけだ。したがってこのコーナーでは、実際には新しいシケインに向けて追い越しを始めることになり、こうしたすべてのことが、モナコの街中でのオーバーテイクとレースのしやすさを向上させるはずだ」