TCRヨーロッパ第2戦は地元戦でプジョー308 TCRが快進撃。クレーレ兄弟がパーフェクト達成

2021年6月2日(水)12時10分 AUTOSPORT web

 5月28〜30日にフランス・ポールリカールで開催されたTCRヨーロッパ・シリーズ第2戦は、地元マニュファクチャラー製のプジョー308 TCRが週末を席巻。Team Clairet Sport(チーム・クレーレ・スポーツ)のテディ&ジミー兄弟が、ポールポジション獲得から揃って両レースを制するパーフェクトなレースウイークを送り、直前のBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)変更の好機を完璧に活かしてみせた。


 イベント前週の5月27日に、TCRを統括するWSCグループの技術部門から発表された最新のBoPでは、FK8ホンダ・シビック・タイプR TCRとともにプジョーの最低重量規定が変更され、ホンダは20kg軽減の1275kg、プジョーは10kg軽減の1225kgに。一方で注目を集めた開幕戦優勝車、新型ヒュンダイ・エラントラN TCRの数値的な変更は見送られたものの、ターボの最大ブースト圧を測定するマニホールド内のポイントが変更される措置を受けた。


 開幕戦表彰台でランキング3位につけたダニエル・ナジー(クプラ・レオン・コンペティションTCR)が、スポンサー契約の問題で第2戦へのエントリーを取り消す事態で幕を開けたポールリカールの週末は、プラクティスからそのプジョー勢が猛威を振るい、FP1でテディ&ジミー兄弟が早速最上位を占拠する。


 その勢いを持ち込んだ予選セッションでは、テディ・クレーレがSebastien Loeb Racing(セバスチャン・ローブ・レーシング/SLR)のメディ・ベナーニ(ヒュンダイ・エラントラN TCR)をコンマ1秒上回る2分12秒615のタイムで、堂々のポールポジションを確保した。


 シリーズ初優勝に向けレース1に挑んだテディはホールショットを奪うべく好スタートを切ったものの、その背後にずらりと4台が並んだSLRの1台、フェリーチェ・ジェルミニ(ヒュンダイ・エラントラN TCR)に加速勝負を挑まれる。


 ブレーキングゾーンに向け一瞬優位を得たかに見えたジェルミニだったが、ターンインを前に同僚の若手モロッコ人、サミ・タウフィク(ヒュンダイ・エラントラN TCR)とわずかに接触してバランスを崩すと、この間隙を逃さなかったテディが先頭を死守。


 続くターン2ではバトルのあおりを受けたベナーニともう1台のSLR、ニールス・ラングフェルド(ヒュンダイ・エラントラN TCR)がポールリカールの特徴的なランオフへとコースを外れ、最小限のロスながらも後退してしまう。


 これで漁夫の利を得たのが7番グリッドのジミー・クレーレ(プジョー308 TCR)と、予選8番グリッドと苦戦を強いられていた開幕レース1勝者のミケル・アズコナ(クプラ・レオン・コンペティションTCR)で、ともに3番手、4番手へといきなりのジャンプアップに成功する。

プラクティスからワン・ツーを決めたプジョー勢は、テディ・クレーレが予選ポールポジションを射止める
レース1のスタートでは、背後に並ぶSebastien Loeb Racing(セバスチャン・ローブ・レーシング/SLR)の新型ヒュンダイ・エラントラN TCRがプジョーに襲い掛かる
チームメイト同士で鍔迫り合いを演じたメディ・ベナーニとニールス・ラングフェルドだが、最後はパンクで決着


■レース2では弟ジミーがTCRヨーロッパ初優勝を飾る


 その後はこの2台に対してSLRのエースカー勢が挑む展開となり、3周目には4番手を狙ったベナーニに対し、ラングフェルドが容赦ない仕掛けで追い落とし、先にVolcano Motorsport(ボルケーノ・モータースポーツ)のアズコナを仕留めてポジションアップを果たす。


 この週末は終始ペースに苦しんだ2018年シリーズ王者のアズコナは、直後にべナーニにも先行を許すと、プジョーと同じくBoPで復調気配を見せるホンダに乗る、Brutal Fish Racing(ブルータル・フィッシュ・レーシング)のジャック・ヤング(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)にも先行を許してしまう。


 最後の波乱は10周レースも残すところ2周の時点で、ラングフェルドに逆襲して4番手へと上がっていたベナーニの左フロントタイヤが限界を越えバースト。これで同僚を含めヤング、アズコナら後続がそれぞれポジションをひとつ回復してフィニッシュラインへ。


 一方の前線では自らのレースペースに意識を集中したテディが、ジェルミニのエラントラに対し約4秒ものマージンを稼ぎ出してトップチェッカー。自身シリーズ初優勝を飾ると同時に、こちらも自己最上位のジェルミニを挟んでジミーも3位に入り、兄弟揃っての表彰台登壇となった。


 明けた日曜正午過ぎからのレース2は、予選10番手だったPSS Racing(PSSレーシング)のヴィクトル・ダビドフスキー(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)がリバースポールからのスタートに。


 そのスタートでフロントロウに並んだチームメイトのフランコ・ジロラミ(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)と、セカンドロウのアズコナを出し抜いたのは、予選7番手タイムだったジミーのプジョー。


 ターン1で首位を奪ったアズコナに対し、続く切り返しのターン2で大外から前に出たジミーは、前日の兄に続けとばかりにリードを拡大し、最後までポジションをキープ。アズコナを1秒差で抑え切りこちらもシリーズ初優勝を獲得し、3位にはPSSレーシング勢を仕留めたSLRのタウフィクが入る結果となった。


 これにより、ランキング首位のアズコナは143ポイントまで伸ばして依然優位に立ち、2位に92点のべナーニ、そして3位に87点でジミーが浮上するランキングとなったTCRヨーロッパ・シリーズ。続く第3戦は6月19〜20日に、オランダ・ザントフォールトで争われる。

「スタート直後の攻防を制したのがすべてだった」と、シリーズ初優勝の喜びを噛み締めたテディ・クレーレ
レース2でフロントロウに並んだPSS Racing(PSSレーシング)のホンダ・シビックに対し、スタートで背後の2台が逆転に成功する
2コーナーで首位に立って以降、2018年王者ミケル・アズコナを終始抑え切ったジミー・クレーレ(プジョー308 TCR)も、TCRヨーロッパ初勝利となった

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