「ビビリながらアタック」「一樹さんのアドバイス」「そもそものコンセプトが違う」【SF Mix Voices 第5戦予選(1)】

　6月17日、宮城県のスポーツランドSUGOで全日本スーパーフォーミュラ選手権2023年第5戦の予選が行われ、大湯都史樹（TGM Grand Prix）がポールポジションを獲得した。

　予選後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、土曜フリー走行と予選に挑んだドライバーたちの声を、2回に分けてお届けする。

■平川亮（ITOCHU ENEX TEAM IMPUL）　予選5番手

　Q2に進出し5番手に入った平川は「ここ2〜3年で一番良い順位かも」と表情も柔らかい。上位進出のカギとなったのは、星野一樹監督からの『アドバイス』だったという。

「（Q2で）戦略を変えたのが大きいですね。結構ギリギリのタイミングになって、一樹さんからアドバイスがあり、計測1周目でアタックすることにしました」

　計測2周目でアタックしたQ1では「タイヤ（のグリップ）が1周もたないような感じがあった」ことを受けての変更だったが、これが奏功。Q2ではタイヤをしっかり使い切ることができ、上位グリッドを手にした。

「タイヤがちゃんと温まったどうかという不安はありつつだったのですが、Q1から（この戦略を）やっていればもう少しレベルは上げられたでしょうけど、トップとの差はコンマ4秒くらいあり、そこはどうやったら稼げるのか分かりません。でも、いつもよりは前だったので、ひとまず良かったかなと思います」

　好位置からスタートする決勝に向けては、デグラデーションが大きそうなリヤタイヤのマネジメント勝負になると平川は読む。

「コースが短いので、10周目に入ってしまうと引っかかってしまう可能性もあり、そういった作戦はなかなかとりづらい。一方でセーフティカーが出やすいコースでもあるので……」とピットタイミングには頭を悩ませることになりそうだ。

■佐藤蓮（TCS NAKAJIMA RACING）　予選10番手

　ジェム・ブリュックバシェ（TGM Grand Prix）のクラッシュにより、コース上の一部区間で黄旗が振られるなか終了した予選Q1・A組。チェッカー時点では7番手とQ1落ちが決定かと思われた佐藤だったが、ベストラップに黄旗区間を通過したマシンがあったとして繰り上がり、Q2進出を果たした。

　そんな佐藤、今回はセッティングの方向性をガラリと変えてきたという。しかし、朝のフリー走行ではそれが裏目に出ていたようだ。

「持ち込みでチャレンジングなセットを試してみたのですが、うまくいかず、フリー走行は18番手と不調でしたね。ただ、前回のデータなども含め（て再検討し）、予選ではなんとかアジャストできました」

「Q1では少しラッキーもありましたけど、Q2では自分のタイムも大幅に更新することができたので、そこは良かったと思います。ただ、そもそもの（今回の持ち込みの）コンセプトが違う方向に行っているかなと感じていますので、予選に関しては次回また新しいことを試さないといけないかなと思います」

　今季、移籍を果たした佐藤は「昨年より、安定感は増しているかなと思います」と語る。実際、ここまで4戦中3戦でポイントを重ねているが、課題は“一発”にあるようだ。

「やはりこのフォーミュラのレースは予選が大事。そこは昨年から同じ課題を持っているので、なんとか改善していきたいと思います」

■小高一斗（KONDO RACING）　予選不通過

　Q1・A組のチェッカー時点では、6番手とギリギリ通過可能なタイムを記録していた小高だったが、イエロー中にマークしたベストラップが削除となり、Q2進出を逃すことに。さらにセカンドベストの1分12秒771は予選通過基準タイムを下回ったため、リザルト上では「予選不通過」の4台のうちの1台となってしまった。

「フリー走行を6番手で終え、『そんなに悪くないのかな』というフィーリングで予選に向けては自信があったのですが、コースに出て行くタイミングが少し早く、アタックラップで（トラフィックに）引っかかってしまいました」と小高。

「馬の背あたりで『うわー、いっぱいいる！』と思って（苦笑）。そこから仕切り直してもう1回アタックに行ったのですが、今度は黄旗が出てしまい……。巡り合わせが悪かったですね」

　フリー走行の順位を見てもわかるように、このところ上り調子の小高。「ある意味、乗っているフィーリングよりも順位が良かったので、もう少しクルマを煮詰められれば、もっと上……トップ5とかに行けるんじゃないか」とさらなる期待も口にする。

「Q1は通っていたと思いますし、Q2をどう戦おうか……くらいのことまで考えていたので、悔しいですね」

■小林可夢偉（Kids com Team KCMG）　予選14番手

　朝のフリー走行、コースに出てすぐに「燃料が来てない」と異変を感じた可夢偉。「エンジンを壊す前に帰らないと」とピットにマシンを戻すと、燃料ポンプにトラブルが見つかり、チームはそこから修復に入った。

　ようやく再コースインを果たしたのは90分のセッションも残り10分となったタイミングだった。

「もう、このために日本に帰ってきたのに……」とやるせない表情を見せる可夢偉。

　修復後のセッション終盤は「大渋滞のなか、タイヤ温めて、実質1周」の走行に留まってしまったという。

　さらに不運は続き、予選Q1ではクラッシュによる黄旗区間を通過した周のラップタイムが削除に。

「残念ながら、確認でいった最初のラップが採用になってしまいました。最後の（本命ラップの）アタックは、とりあえずイエロー区間は（アクセル）オフしたのですが、そのタイムは採用されず……。まともに予選ができず終わって、流れがすごく悪いな、残念だなという感じです」

「クルマが決まっていたらボーン！　と（思い切って）いけたかもしれないですが、SUGOは壁も近いし、全然（午前中に乗れず）クルマも決まってなかったから、もうなんかビビリながら行って……。最後イエローでオフしてなかったら、（1分）06秒3とか4とか狙えていたと思うので、そういう意味ではそこそこ勝負できるところまで持っていけてたと思います」

　極めて限られた走行時間を考えれば、マシンの感触は悪くない様子。「正直、いまはニュータイヤしか走っていないから、明日の重い状態でどれくらい戦えるのか、（日曜フリー走行で）とりあえず確認かな、という感じです」とロングランでのマシンパフォーマンスに期待をかけていた。