フェラーリが次世代プロトを比較検討中「ハイパーカーかLMDhかは時期尚早」も“低コストLMH”には興味なし

2020年7月9日(木)10時15分 AUTOSPORT web

 フェラーリは、トップレベルのプロトタイプマシンによる耐久レース参戦の可能性について、依然「非常にフォーカス」しており、参戦することを決定した場合、2020年末までに取締役会での提案を行なうことを目指している。


 フェラーリのGTレース部門の責任者であるアントネッロ・コレッタは、ル・マン24時間やその他の主要な耐久レースのトップカテゴリーへの参戦可能性について、引き続き関心を持っているとSportscar365に語った。


 WEC世界耐久選手権のLMGTEクラスに参戦しているフェラーリは、2020年1月に発表されたWECとIMSAの新たなグローバルプラットフォームである“LMDh”に魅力を感じている。


 コレッタは2月、フェラーリがLMDhに興味を持っていることを明らかにするとともに、(LMP2と同様の)4社のマニュファクチャラーのベースシャシーを使用する義務があるLMDhについて、フェラーリ自社製シャシー・パーツの必要性も強く訴えていた。


「フェラーリは新しい耐久カテゴリーにおける開発に、とてもフォーカスしている」とコレッタは最近になって改めて語った。


「現時点では技術規制の詳細を待っているため、まだいくつかの調整は保留となっている。競技規則はまもなく手にすることができるだろう」


「我々は技術的な分析から作業を開始し、まずは技術規則の長所と短所を評価した。シーズンの終わり(11月)には、このカテゴリーに挑戦するかどうか、どのような形態で参戦するかなどを決定できるようにしたい」


「現在は、その評価を行なっているところだ。他のコンペティターもそうだと思う。オーガナイザーがすべての規則を確定し、我々の分析が終えられるのを待っている」


「いまは偵察の段階なので(取締役会への)提案はまだだ。年内に、できるだけ早くその提案をしたい」


 フェラーリはLMH(ル・マン・ハイパーカー)よりもLMDhに興味を持っていると見られるが、これらふたつのカテゴリーのうちどちらが魅力的かを述べるのは、「時期尚早である」とコレッタは認める。


 2020年5月にはLMH技術規則が変更され、2022年から双方のシリーズのトップカテゴリーのパフォーマンスレベルが同等になることが明らかになった。


 この決定は、ふたつの規則の間の性能調整を容易するため、またLMHの開発コストを削減するために行なわれた。LMDhとは異なり、LMHではシャシーについては制約がなく、自社開発も可能となる。


「我々は長所と短所を比較検討している」とコレッタは言う。


「もちろんフェラーリは自動車メーカーであり、マシン全体を開発したいというのはある。ただ、決定的なことを言うにはまだ時期尚早だ」


■ジネッタら提唱の「LMHプラットフォーム」案は否定


 コレッタは、社外のシャシーを採用して、そこに独自のエンジンやその他のコンポーネンツを搭載するといった安価な解決策をLMHルールにおいて追及する可能性を否定する。


 このアプローチは最近、スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスジネッタによって提唱され、フェラーリの名はこの2社からも言及されている。


「フェラーリがLMHマシンを作ることになった場合、外部からシャーシを購入するというのは、とてもおかしなことになる」とコレッタは説明する。


「シャシーが自社製でないとしたら、それは(4つのシャシーメーカーをベースとする)LMDhでの参戦を意味することになるだろう」


「もしフェラーリがLMHの道を進むとしたら、マシン全体を開発・製作することになるだろう。それは意味があることだし、我々はそのスキルも技術も持っているのだから」

LMHプロバイダーとして新規定プラットフォームを供給するオプションを模索しているジネッタ。


 コレッタはまた、現在のコロナウイルスの世界的拡大が、フェラーリのこの次世代プロトタイプカテゴリーへの参入に障害となるとは、考えていないようだ。


「我々が、これまでの異なる歴史の時代を生きていることについては疑いようがない。おおくのメーカーが経営戦略の変更を余儀なくされている」とコレッタ。


「もちろんフェラーリも、参画するすべての(モータースポーツ)プログラムについて確認を行なった」


「我々は堅実な会社であり、経済・財政問題に重点を置いているため、この状況に対処することができた」


「現時点では、コロナウイルスが(スポーツカーの)トップカテゴリーに参入かどうかの決定に影響することはないと思う。この状況をなんとかやり過ごし、ウイルスが根絶されることを願っている」


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