なでしこジャパンW杯直前パナマ戦会場で見えた「世間のリアルな声」

2023年7月17日(月)14時0分 FOOTBALL TRIBE

日本女子代表 写真:Getty Images

なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)は、7月20日に開幕となるFIFA女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア&ニュージーランド大会を直前に控え、14日、国際親善試合MS&ADカップ2023でW杯出場国のパナマ女子代表と対戦し、5対0という幸先の良い勝利を挙げた。


同試合後にはW杯の壮行セレモニーが行われ、会場のユアテックスタジアム仙台には元なでしこジャパンの澤穂希氏や、森保一日本代表監督が駆けつけた。梅雨明け前の不安定な天候にもかかわらず、なんと約10,206人という人々が来場。各々オリジナルのフェイスペイントを施し、会場を盛り上げた。


ここでは女子W杯直前にした同試合会場の盛り上がりの様子と、来場者たちの様々な「生の声」をお届けしよう。女子サッカーに対する世間の気持ちの変化は垣間見ることができるだろうか。




ユアテックスタジアム仙台 写真:Molly Chiba

WEリーグブース「普段より年齢層様々」


会場となったユアテックスタジアム仙台には、WEリーグ(日本女子プロサッカーリーグ)のブースが設置された。なでしこジャパンメンバーには当然WEリーグ選手も多く、WEリーグファンにとっての大イベントでもあるだろう。


ブースには選手の直筆サイン入りで、試合中写真やオフショット写真が展示されている。足を止め中を眺めては、スマートフォンで撮影する姿が多く見受けられた。独りで訪れる男性も。元々はJリーグ浦和レッズファンであり、浦和レッズレディース(WEリーグ)にも興味を持ち始めたとか。


「今日は日本代表の試合ということもあって、ブースを訪れる年齢層も幅広くそして男女比もちょうど良い感じがします。例えばこの会場(ユアテックスタジアム仙台)の地元クラブ、マイナビ仙台の試合などだと、圧倒的に男性が多いです」(ブース関係者)


「各クラブによってその傾向は様々で、例えば浦和であれば男子チームの影響が大きく、それで男性の比率が高かったりとかします。男子チームの試合開催日に、このWEリーグの看板を見てその存在(WEリーグ)を知らないという声も実際ありますね」(同関係者)


「今日の会場に訪れた皆さんは、なでしこを応援に来ている方々なので、もちろんWEリーグを知っていて当然という雰囲気です。(なでしこメンバーの中に)WEリーグの選手が多いので。そこからのファンも多いです」(同関係者)




日本女子代表サポーター 写真:Getty Images

子供たち多数!グッズ&撮影スポットにも夢中


キックオフは19時05分というナイトゲームだったため、大人の姿が目立つ会場を想像するも、意外にも時間の経過と共に子供たちの姿が続々と増えて行くという驚きの展開に。年齢層は小学生から高校生まで様々で、友人同士のグループで会場を練り歩く姿も多く見受けられた。


小学生ほどの子供たちがオフィシャルグッズショップの前で、何かをこぞって眺めている姿を発見。なでしこメンバーの背番号が描かれているキーホルダーや、タオルなどのオリジナルグッズ一覧を見て「ゆいちゃん(マンチェスター・シティMF長谷川唯)のが欲しい!」「ひなちゃん(マイナビ仙台MF宮澤ひなた)に、りさちゃん(ウェストハム・ユナイテッドDF清水梨紗)のもまだあるかな?」など、お気に入り選手が存在する様子だ。


また、なでしこメンバーのパネルと一緒に撮影できるスポットや、選手のイラストが描かれているポスターなどにも駆け寄る子供たちの姿も多い。撮影スポットの担当者は「来場者全体の子供の割合は高いです。中学生くらいの年齢層の子たちが撮影ブースを発見して『撮影してほしい』と興奮して駆け寄ってくれることも多い」と話す。


これらの光景からは、女子サッカーに対する若い年齢層からの興味関心の高まりを感じる。特に小学生くらいの子供たちは両親の影響はあれ、自身が何らかの形で女子サッカーに興味を抱いている様子だ。


日本女子代表 MF長谷川唯 写真:Getty Images

なでしこ専用桜色ユニ「青より日本っぽい」


加えて興味深かったのが、なでしこユニフォームの人気だ。スタジアムの開門時間前にもかかわらず、既に桜色のアウェイユニが売り切れ寸前だった。売り場の担当者によると、圧倒的に女性が多く、このアウェイユニを目当てに即決購入する人がほとんどだという。実際に日本代表男子と同様のブルーのホームユニは、まだまだたっぷりと積まれていた。


サッカー日本代表史上初の女性専用ユニであることが人気の理由の1つかと予想するも、実際に着用している方に聞くと「ピンクかわいいよね」「青よりなんか日本っぽい」など、純粋にデザイン性に惹かれたというストレートな意見が多かった。やはりユニフォームは、デザイン性が売上を左右する極めて重要なポイントなのかもしれない。




日本女子代表 MF長野風花 写真:Getty Images

迫力プレーに湧く歓声「ちょっとすごいんですけど!」


選手入場と共に、日の丸フラッグを振り上げるサポーターの力強い声援が。会場内の人々はそれに乗り、子供たちも立ち上がり歓声を上げ、全体が熱気に包まれた。


地元の宮城県に限らず全国各地、特には福島や岩手など東北地方からの観戦者が多い。「マイナビ仙台のファンなので、今日は宮澤ひなた選手(マイナビ仙台)を応援しに来ました!」という声も。東北唯一のWEリーグクラブをきっかけに、なでしこジャパンを応援しに来たという訳だ。スターティングメンバー発表時には、仙台に縁のある元マイナビ仙台のMF長野風花(現リバプール)の名に対して、一段と大きな声援が上がった。


試合が開始されると各所から「かなり、うまいよね!」「ちょっと、すごいんですけど!」「可愛いすぎるでしょ!」など、プレーに対する驚きのリアクションを含めた生の声が飛び交う。想像していた以上のプレー技術の高さや、パワフルさにスピードを目の当たりにしてこそ飛び出した「世間のリアルな声」だ。


なでしこたちの迫力のあるプレーに、すっかり勝利の期待感を得て、子供たちは跳ね上がり大人は両手を掲げるなど、約一万人が非常に熱い時間を共有した。常連のファンだけでなく、初めての女子サッカー観戦となった人々も少なからず存在したと思われる。多くの人が様々な視点から、なでしこジャパンのパワーを知り得た日となったはずだ。


紅白の国旗を胸にした戦士たちは、果たして南半球の地で「勝利」の日の出を迎えることは出来るだろうか。初優勝を果たした女子W杯ドイツ大会から、12年の沈黙を壮大に越えて行くことを願い、みんなで日本中からエールを贈ろう!

FOOTBALL TRIBE

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