メルセデスF1、ハミルトンの2ストップ作戦に疑問を持っていたと明かす。「良い選択肢だと思えなかった」

2019年8月7日(水)19時48分 AUTOSPORT web

 メルセデスのチーム代表を務めるトト・ウォルフは、F1第12戦ハンガリーGPの決勝レースにおいて、ハミルトンに2回目のピットストップを行わせ、首位を走るマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)を逆転することを狙った戦略について、成功するかどうかという疑問を持っていたことを認めた。しかしこの時、ウォルフはルイスの父であるアンソニー・ハミルトンのある言葉を信じていたという。


 ハンガリーGPの決勝レースで2番手を走っていたハミルトンは、首位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)を追い抜こうと試みたが、49周目までは彼に手が届かなかった。その後メルセデスはハミルトンに2度目のピットストップを行わせ、ミディアムタイヤに交換することを選択。オーバーテイクが非常に難しいハンガロリンクのようなコースにおいて、これはリスクのある戦略だった。


 だがハミルトンが2番手の順位を失うことなく新品タイヤに交換するチャンスを、メルセデスはやる価値のある賭けだと判断した。


 それでも、20周のうちにフェルスタッペンとの20秒の差を縮めることは、ハミルトンにとって大きな努力を要することであり、彼はクルーによるリスクを伴う戦略に疑問を持っていた。


 しかしウォルフは、必死に差を詰めるハミルトンを叱咤激励するなかで、アンソニーが発した忘れがたい一言を信頼していた。


「我々は(戦略が成功するかどうかを)非常に疑わしく思っていた。なぜなら、彼が1周あたり1秒追い上げなければならないことを分かっていたからだ」とウォルフは認めた。


「マックスがエンジンの回転数を上げ、ルイスのペースと肩を並べた段階で、ボノ(ピーター・ボニントン/ハミルトンのエンジニア)が彼に『タイムが並んだ』と伝えた。ルイスの声には、我々が2度目のピットストップを行ったことについて、不信感を持っていることが感じられるようだった」


「だがともかく彼は気持ちを正しい方へ切り替えた。おそらく我々は無線で彼をやる気にさせたのだ」


「彼の父親が私に言ったことは、まさに必要な一言だった。『君ならできる』とね。そして我々も彼ならできると分かっていた」


「計算では周回数が足りなくなると出ていたものの、我々は彼に『フェルスタッペンに追いついてきている』と伝えることで、彼を助けられると思った。そしてまさにそうなったのだ」


 それはハミルトンによる驚異的な努力によるものだったが、チーフストラテジストのジェームズ・ボウルズが采配を振るう、メルセデスのピットウォールの優れた戦略のおかげでもあった。


「戦略チームによる素晴らしい采配だった。朝のうちにすべてのバリエーションを検討したが、ツーストップでは競争力が低くなると思われた」


「だが彼らは正しいやり方で対処した。ホッケンハイムで学んだすべてのことから、ピットウォールのストラテジストたちが無線の統制や指示について選択肢を出し、ジェイムズ・ボウルズがそれらを評価し、我々全員がそれぞれの意見を出した」


「この時点でルイスはマックスに追いつこうとしていた。彼はハードタイヤでオーバーテイクできるように見えたが、ブレーキがぎりぎりの状態で、この状態では彼を追い続けることはできなかった」


「そのため、2番手を避ける唯一の選択肢は、ミディアムタイヤが差を埋め合わせるだろうという望みを託して、リスクを犯すことだった」


「最初は非常に良い選択肢とは思えなかったが、ルイスがチャンスを嗅ぎつけてからは、もう後戻りすることはなかった」


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