S広島Rの新戦力3人がそろってデビュー弾! DF藤生菜摘も初出場、松本茉奈加「最高の試合を見せられた」

2023年8月28日(月)18時4分 サッカーキング

S広島R初の公式戦でそろってデビュー弾を決めた髙橋、市瀬、松本(左から) [写真]=WE LEAGUE

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 新戦力の3人がそろって得点し、華々しく新天地デビューを飾った。サンフレッチェ広島レジーナは26日、2023−24 WEリーグカップのグループステージ第1節でマイナビ仙台レディースと対戦し、4−1の快勝で白星スタートを切った。

 ホームの広島広域公園第一球技場で迎えた新シーズン最初の公式戦。この夏に加入したDF市瀬千里、MF 松本茉奈加、FW髙橋美夕紀の新戦力3選手が先発出場でS広島Rデビューを飾り、それぞれ1ゴールを決める活躍で勝利に貢献した。「新しく入った選手がそろってゴールを取るのはなかなかないことなので、すごいなと思っています」と中村伸監督も試合後の会見で笑みをこぼした。

 前半の25分、MF瀧澤千聖の右CKでニアに飛び出した市瀬が頭で合わせると、ボールは相手選手に当たりつつゴールに吸い込まれた。ファーポストではMF柳瀬楓菜が相手選手と競り合い、オウンゴールの可能性もありそうだったが、記録は市瀬の得点となった。

 DFながらデビュー戦でいきなりの初ゴール。市瀬は「千聖からいいボールが来たので決められて良かった。味方が詰めてくれたので、私のゴールにしてもらえた。ラッキーなゴールだった」と喜び、「前日から(点を)決めて勝たせる、無失点で自分が守るっていうイメージをしていた。それを少しでも実現できてよかった」と胸を張った。

 得点だけではなく、守備でも空中戦や球際で強さを発揮。出足の鋭さも見せて相手の攻撃の芽を摘んだ。市瀬は「予測してインターセプトしてボールを奪うところは自分の課題でもあったので、そこもしっかり表現できてよかった」と手応え。ただ、途中出場したマイ仙台FWカーラ・バウティスタに決定的なシュートを許したシーンもあり、「あそこで先にボールに触られているようでは(失点を)防げないと思うので、そこは反省している」と気を引き締めた。

 S広島Rは後半の立ち上がりに失点し、流れが仙台に傾いたものの、61分にエースの得点で勝ち越しに成功。カウンターで髙橋、瀧澤、柳瀬がつなぎ、最後はエリア内へ抜け出したFW中嶋淑乃が冷静にゴール左隅へと流し込んだ。

 再び勢いを取り戻した広島は、76分にMF渡邊真衣のスルーパスで抜け出した瀧澤がエリア右から折り返す。これをニアに走り込んだ髙橋が合わせると、シュートは相手GKの股を抜いてゴールネットを揺らした。

「シュートをたくさん外していたのでホッとした」と試合後は安堵の様子だった髙橋は、「チセなら絶対あそこに入れてくれると思ったので、自分は相手の前に入ることとオフサイドにならないポジショニングを意識していた。いいタイミングで(パスが)出てきて、相手の股を抜けて良かった」と振り返った。

 試合3日前の練習後に「初戦が大事。最初で点を取れるか取れないかで今後も変わってくる」と得点を誓っていたストライカーは、試合の入りからゴールへの高い意識を見せ、チーム最多9本をシュートを放った。

 髙橋は、「9本もシュートを打った試合はほとんどないけど、よく言えばゴール前のシーンをたくさん作れたのでポジティブに捉えつつ、しっかり決め切るところを追及していかないといけない」とコメント。それでも、有言実行の初戦初得点を達成し、「決めるのと決めないじゃ気持ちも全然違う。点を決めることを追及してやっていきたい」とさらにゴールへの意欲を燃やす。

 新加入組の2人に先を越された松本は、「2人が先に点を取っていたので、自分も決めたい気持ちがあったし、決められるのかなっていう不安な気持ちと葛藤しながらやっていた」と心境を明かす。ただ、その葛藤を同じく新加入の市瀬が払拭してくれたという。

「攻撃のときのCKでポジショニングを取っている時に、ちー(市瀬)が『(新加入組で点をとっていないのは)まっちゃんだけだよ』ってふざけて言ってくれた。そのおかげで、自分も絶対に決めようってさらに気合が入った。近くで活を入れてもらえたのが本当に良かった」
 
 そのCKから3分後の84分、右サイドバックに入っていたMF島袋奈美恵が技ありの浮き球パスを送ると、MF立花葉が右サイドを抜け出してクロス。中央で髙橋が潰れつつ頭でつなぐと、ファーでフリーの松本が右足で押し込んで追加点を挙げた。

「最高にうれしかった」と初得点を喜ぶ松本は、「逆サイドからの攻撃のときは、絶対に(ゴール前に)入ることを意識していた。試合終盤でも諦めずに入れたのは、自分自身に勝てた部分だったし、ミユキさんが潰れてくれたから決められたので、みんながつないでくれたゴールだった」と振り返った。

 さらに、この試合ではDF藤生菜摘がベンチに入った。東洋大学に所属する22歳は今月21日に来季からのS広島R加入内定と「JFA・WEリーグ/なでしこリーグ特別指定選手」としての認定が発表されたばかり。62分にDF近賀ゆかりとの交代で初めてピッチに立ち、左サイドバックでプレーした。

 藤生は、「大きな声援の中でプレーしたのは初めてだったので、本当にワクワクしてプレーできて楽しかった」とデビューの心境を語り、「サイドバックだけど、ゴールに絡むプレーをしたり、自分でゴールを取ったりできる選手になりたいので、そこをこのチームで出していきたい」と活躍を誓った。

 加入直後のデビュー戦でも堂々としたプレーを見せたが、その裏では大先輩から背中を押されていたという。「試合前から近賀さんに『絶対に出るから準備しとけ』って言ってもらっていた。それで思いっきり自分のプレーをしようと思って試合に臨めたので、しっかり準備ができたと思う」

 シーズン最初の公式戦で快勝し、ホームのサポーターたちと喜びを分かち合った。髙橋は「すごく温かいなと思ったし、すごく背中を押されました。 もっとみんなで喜びたい」と紫の声援を喜び、松本は「最高の試合を見せることができて本当に良かった。これを続けていきたい」と充実した様子だった。

 市瀬は「バスで着いたとき、(バス待ちのサポーターで)階段が一面紫色で感動した。試合中もすごく盛り上げてくれたし、試合後も一緒に喜んでくれて温かいチームだと思った」と話し、藤生も「新加入だけど、すごく応援してくれて、迎え入れてくれている感じがした。レジーナに加入できて本当に良かった」とチーム加入を実感していた。

 今季のチーム始動からまだ約1カ月半ながら、新加入の選手たちと既存の選手たちがうまく絡み合い攻守でアグレッシブな戦いを見せた。中村監督も試合後の会見で手応えを口にする。

「これまでのトレーニングの積み重ねを公式戦の1試合目でしっかり躍動感を持って出し切ってくれたと思う。融合するにはもう少し時間が必要だと思っていたが、思っていた以上に新しく入った選手と今までいた選手がお互いの良さを引き出し合う形を作り上げてくれているので、いい形で前進できている」

 ホームで華やかな勝利を収め、今後のさらなるチームの融合にも期待が高まる。新チームの可能性を存分に示したシーズン初戦。S広島Rの3年目は最高の試合で幕を開けた。

取材・文=湊昂大

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