WEC:ポルシェ、トヨタとの接戦制し3度目の1-2達成。「高温下のタイヤテストが効果を上げた」

2017年9月21日(木)21時52分 AUTOSPORT web

 9月17日、WEC世界耐久選手権第6戦サーキット・オブ・ジ・アメリカズの決勝レースが行われ、ポルシェLMPチームは2号車ポルシェ919ハイブリッド(ティモ・ベルンハルト/アール・バンバー/ブレンドン・ハートレー)と1号車ポルシェ919ハイブリッド(ニール・ジャニ/アンドレ・ロッテラー/ニック・タンディ)がワン・ツー・フィニッシュを飾った。


 シリーズのハイライト、ル・マン24時間を制した2号車ポルシェが第4戦ニュルブルクリンク、第5戦メキシコの両レースで優勝し、チャンピオン争いをリードするなかで迎えた第6戦オースティン。30度オーバーの気温と40度を超える路面温度という厳しいコンディションにより、今戦はドライバーの連続ドライブ時間がレギュレーションによって最大80分に制限され、各チームともダブルスティントができないレース展開となった。


 前日に行われた公式予選でポールポジションを獲得した1号車ポルシェは、ジャニがスタートから抜け出し、後続に対して約10秒差を築いてピットイン。タイヤ交換を行うとともにドライバーをロッテラーに交代する。
 
 ピットアウト後、タイヤを変えなかったトヨタの2台に先行を許し3番手に後退するが、ロッテラーが7号車トヨタTS050ハイブリッドのホセ-マリア・ロペスをかわし2番手となった。

1号車ポルシェ919ハイブリッド

 
 その後、2回目のピットインではタイヤを変えずにドライバーはタンディに交代。ふたたびリードを築いて迎えた91周目、新品タイヤを履いてコースに復帰したジャニはトップを維持する。
 
 レース終盤、一度は2号車ポルシェにかわされ2番手となるが、174周目のラストピットで再逆転し、首位に浮上した。しかし、チームは残り4周となった時点で選手権ポイントを考慮したチームオーダーを出し、僚友に優勝を譲ることに。この結果、1号車ポルシェはレースの大半をリードしながらも2位フィニッシュとなった。


「今日のレースはハードだったよ。アンダーステアが強かったので、それを補うためにセッティングを変更しました」とロッテラー。

1号車ポルシェ919ハイブリッド


「最初のスティントは、7号車トヨタのホセ-マリア・ロペスを相手に2番手を守った。彼はブーストをかけ続けてポジションを守りながら、トップを走る8号車トヨタを援護していたんだ」


「2回目のスティントの終了直前、残り2時間の時点で7号車トヨタの小林可夢偉と接触した。しかし、幸いなことに接触はコーナーの後半で起きたため、919ハイブリッドの4WDを活かして加速し、無事にコーナーを駆け抜けたよ」


 一方、優勝した2号車ポルシェは2番手からスタート。1周目に2台のトヨタに抜かれたベルンハルトは29周後に最初のピットストップで新品タイヤに交換。さらにステアリングをハートレーに引き継いだ。
 
 第2スティントはトヨタはタイヤ交換を行なわなかったことで4番手に後退するが、53周目に7号車トヨタのロペスをオーバーテイクして3番手となる。ハートレーからバンバーに代わった第3スティントは2番手を走行も、タイヤ交換を行なった第4スティントではふたたび4番手となってしまう。
 
 レース折り返しとなる3時間、セーフティカーの出動でギャップが詰まる。このチャンスを活かした2号車ポルシェは、104周目に7号車トヨタを攻略して2番手となると、154周目にはバンバーが首位を走る1号車ポルシェを抜きトップに立つ。

2017年3度目のワン・ツー・フィニッシュを達成した2号車ポルシェと1号車ポルシェ

 
 最後の燃料補給でふたたび1号車ポルシェに首位を奪われたものの、188周目に出されたチームオーダーによって、僚友に優勝を譲られた2号車ポルシェはル・マン以降、4戦連続となるトップチェッカーを受けた。


 2号車ポルシェの今季4勝目、3度目のワン・ツー・フィニッシュによりドライバーズポイント、マニュファクチャラーズポイントでライバルのトヨタとの差を広げたポルシェ。残り3戦となった2017年シーズンのダブルタイトル獲得、そしてシリーズ3連覇を目指す。


 レース後、チーム代表のアンドレアス・ザイドルは「昨日のポールポジションに続き、今日も1号車ポルシェのドライバーは最高のレースをした。彼らが優勝に値することは間違いないよ」と語った。


「今日はトヨタと接戦となった。ドライバーとチームのミスのない完璧なパフォーマンス、完璧に走るクルマ、そして適切な判断によって、高温のレースを制することができたんだ」


「ミシュランと協力してスペイン・バルセロナで行った炎天下でのテストが効果を上げた。次戦もトヨタとの接戦が予想されるため、すぐに富士の準備を始めるよ」

優勝したアール・バンバー(左)、ブレンドン・ハートレー(中央)、ティモ・ベルンハルト(右)


 スタート直後、立て続けにオーバーテイクされてしまった2号車ポルシェのベルンハルトは「ふたたびワン・ツー・フィニッシュという素晴らしい結果となったが、今日はトラフィックの処理に苦労した」とレースを振り返った。
 
「最初のスティントはうまくいかず、クルマの挙動が予想と違い形勢が不利になったんだ。2回目のスティントは2台のトヨタを相手にしてマイク・コンウェイをオーバーテイクすることができた」


「もちろんドライバーズ選手権でフルポイント獲得できたの嬉しいことだけど、優勝に相応しいのはチームメイトの1号車ポルシェだったよ」


 LM-GTEプロクラスに参戦するポルシェGTチームは、91号車ポルシェ911 RSR(リチャード・リエツ/フレデリック・マコウィッキ)がクラス最下位のグリッドから徐々にポジションを上げ、最終的にクラストップからわずか5秒遅れの2位表彰台を獲得した。


 また、僚友の92号車ポルシェ911 RSR(ミハエル・クリステンセン/ケビン・エストル)はドライブスルーペナルティーを2回受けるなど流れに乗れず、クラス6位でレースを終えた。


 WEC第7戦は10月13〜15日に静岡県・富士スピードウェイで開催される。

91号車ポルシェ911 RSR


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