多くの不運が襲った参戦8年目。琢磨はインディ500を制し本当の実力を全米に示す

2017年9月26日(火)9時55分 AUTOSPORT web

 KVレーシング・テクノロジーで2年、新生レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングで1年、AJフォイト・レーシングで4年を過ごした佐藤琢磨は、2017年に向けてはアンドレッティ・オートスポート(AS)に移籍することになった。


 チーム・ペンスキーとチップ・ガナッシ・レーシングの二強が一段上だが、インディカーキャリアで初のトップチーム入りともいえる。ASは2017年シーズンに向けてエンジニアリング部門も強化。琢磨も躍進の期待できる体制で戦えることを楽しみにしていた。

アンドレッティ・オートスポートに移籍した参戦8年目はカーナンバー26で戦った佐藤琢磨


 開幕戦の予選は5番手。ファイナル進出をチーム移籍最初のレースで達成したのはグッドニュースだ。レースでもトップ3フィニッシュを狙えた。


 順位後退の原因はピットストップのミス。マシン性能(特にエアロ)の差が出にくいストリートでASホンダと琢磨、そして彼のチームメイトたちはイキナリまずまずの戦闘力を見せた。しかし、その後の4戦は不発。ホンダのエアロは今年もショートオーバルで明らかに厳しい状況に置かれていると判明した。


 そんな彼がインディ500では予選4番手を獲得、そしてレースで優勝を果たした。アンドレッティ・オートスポートのインディアナポリスでの強さは本物で、琢磨はスマートかつアグレッシブに戦い、最後はエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)とのバトルに競り勝った。ポイントスタンディングはこの時点で3番手につけていた。

インディ500制覇という日本人初の快挙を達成した琢磨に、内閣総理大臣顕彰も与えられた


 勢いに乗る琢磨だったが、デトロイトではレース1で予選3位、レース2でポールポジションを獲得するも、決勝は8位と4位。続くテキサスの1.5マイル・オーバルでは優勝争いの接近戦の中でアクシデント!


 シーズン2勝目にここで手を届かせることができなかったのが悔やまれるものの、琢磨がトップコンテンダーであることは誰もが認めるところとなった。ASのエンジニアリング強化も予想以上に早く効果を発揮しており、琢磨はどんなコースに行っても上位で争う、あるいはそれが可能と思わせるパフォーマンスを見せた。


 ただ、あまりにも多くの不運が琢磨に襲い掛かった。アイオワでのホイールトラブル、トロントでのイエローのタイミング、ポコノでのウイングトラブル、ゲートウェイでのもらい事故、ワトキンスグレンではウエイストゲートトラブル。ソノマはタイヤ、さらにはマシントラブルで、17戦中に15位以下が9回もあった。


 それでも琢磨のランキングは8位で自己ベストとなった。実は年間ランキングでのトップ10入りも今回が初めてだ。それがなったのはダブルポイントのインディ500優勝があったことと、それを含む4回のトップ5フィニッシュ、2回のポールポジションといった好パフォーマンスがあったからだった。

2度のポールを獲得し予選では抜群の速さを披露


 ちゃんとしたマシンがあれば優勝を争える。琢磨は8シーズン目にして本当の実力をアメリカに知らしめた。


 しかし、琢磨はインディ500を共に制したASを1シーズン限りで離れることになった。ASがエンジンをシボレーへとスイッチする話を検討したため、ホンダで走らねければならない琢磨は他チームを探すしかなくなった。結局ASはホンダで2018年以降も戦うことを決めるのだが、その時点までで琢磨はレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)への復帰を決めていたのだった。

インディ500チャンピオンとしてRLLRに復帰する琢磨


 RLLの躍進は目覚ましい。この3シーズンほど、ホンダ勢の中で最も安定した高パフォーマンスを見せてきているのがグラハム・レイホールとRLLRなのだ。彼の今シーズンのランキングは6位。ホンダ勢では3位のスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)に次ぐポジションで、アンドレッティ・オートスポート勢のアレクサンダー・ロッシ、琢磨、ハンター-レイの上をいった。


 2カーへの体制拡大にはシーズン中から取り組んでいるので、琢磨用エンジニア及びクルーにも精鋭が集められることを期待したい。

2018年の琢磨はどんな活躍を見せるのか日本だけでなく全米から注目を浴びる


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