ETRC第7戦:“帝王”ハーンが前人未到6度目のドライバーズチャンピオンを獲得

2019年10月8日(火)20時18分 AUTOSPORT web

 トラッキーや物流関係者を中心に、EU圏内のみならなず世界で絶大な人気を集めるFIA欧州格式選手権、ETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップの第7戦が9月28〜29日にフランスで開催され、シリーズを席巻する“帝王”ヨッヘン・ハーン(Hahn Racing/IVECO)が、前人未到6度目となるドライバーズチャンピオンを獲得した。


 ここまで6戦24レースで実に11勝、圧倒的強さで2019年シーズンを席巻してきた帝王は、タイトル天王山となったこのル・マン、ブガッティ・サーキットでの週末も変わらぬレースマネジメントを披露。


 土曜のスーパーポールセッションで今季の定位置となった最終走者としてトラックに姿を現わすと、アントニオ・アルバセテ(Trucksport Lutz Bernau/MAN)の2分05秒814、サッシャ・レンツ(SL Trucksport30/MAN)の2分05秒681を当然のように上回り、2分05秒653のトップタイムをマーク。2番手レンツに対し、わずか0.028秒差という僅差で見事に12度目のポールポジションを手にした。


 すると、こちらもシーズンの流れを踏襲するようにレース1でも盤石の強さを発揮し、スタートではトラックを濡らすシャワーがあったのにも動じず、フロントロウのレンツをターン3まで続いたサイド・バイ・サイドの勝負で封じると、そのままトップチェッカー。2位レンツ、3位アルバセテのリザルトにより、ポイントスタンディング上で2番手につけるアルバセテに対し93点差として、続くレース2での戴冠に王手をかけた。


 そのレース2は、セミ・リバースグリッドの採用により上位勢が混沌とした状況で1コーナーに突入するのがつねで、このレースでもオープニングからノルベルト・キス(Tankpool24 Racing/Mercedes-Benz Trucks)がレネ・ラインアート(Reinert Racing/IVECO)との接触でグラスエリアに押し出されたのを皮切りにマルチクラッシュが発生し、いきなりの赤旗中断に。


 リスタート後は、アンドレ・クルシム(Don’t Touch Racing/IVECO)が首位をキープし、その背後から2019年シーズンを沸かせた女性ドライバー、シュティフィ・ハルム(Team SchwabenTruck Racing/IVECO)がレース1で5位に終わった鬱憤を晴らすべく、再三にわたってオーバーテイクを仕掛ける激しいバトルを演じるも、そのままポジションを守り抜いたクルシムが、ハルムと2017年王者のアダム・ラッコ(Buggyra Racing/Freightliner)を従えて、開幕戦以来の優勝を果たした。

予選スーパーポールで圧巻のアタックを見せ、ヨッヘン・ハーンがわずか0.028秒差で定位置をもぎ取った
R1ではサッシャ・レンツとターン3までサイド・バイ・サイドを演じるも、その後は盤石のひとり旅へ
R2で6位フィニッシュを果たし、この結果により”帝王”が「再びこの幸せを味わえるとは」と語る6度目の戴冠の日となった


 その背後で、あらゆるアクシデントを避けるかのようにフィニッシュラインへとトレーラーヘッドを導いたハーンは6位でチェッカーをくぐり、この瞬間に2011年、2012年、2013年、2016年、そして2018年に続く前人未到のシリーズ6度目となるタイトルを獲得。


 2018年に設立した自身の名を冠する新チームで連覇を達成したばかりか、そのタイミングでスイッチしたIVECOにも、2年連続でのチャンピオンタイトルをもたらすこととなった。


「この週末は本当にシビれた。R1ではフォーメーションでフロントガラスに水滴がつくのが見え、先頭を走りながらブレーキングポイントの限界点を見極めるのは容易じゃなかった」と、土曜戴冠までの展開を振り返った帝王。


「そのまま『OK、焦る必要はない。気をつけろ』と自分に言い聞かせてスタートを切ったたが、すぐ隣にはサッシャ(・レンツ)が来て『ハロー、ヨッヘン!!』と何度も挨拶しに来た(笑)。でもその数周後にはいくばくかのマージンを持つことができた。これを“マネジメントした”なんて言う気はないが、素晴らしいレースになったよ」


「この瞬間のために誰もがレースを続けているし、今年はとくに多くのレースで勝利を挙げることができ、特別なシーズンになった。チームを誇りに思うし、彼らに大きな感謝を捧げたい。最高な彼らにとっても、この結果は重要だ。ETRCで6回もチャンピオンになったドライバーは他に誰もいない。ただただ最高で、素晴らしい日になった」


 続く日曜の2ヒートに向けては、ウエットのスーパーポールで最速を記録した2017年王者ラッコが、レース3で意地の勝利を記録。続くレース4はレンツがシーズン3勝目を飾っている。これでタイトル争いは決着を迎えた2019年ETRCシーズンだが、シリーズはそのままバック・トゥ・バックの連戦となり、10月5〜6日にスペイン・ハラマで最終戦を迎える。

日曜のR3では、朝の予選からウエットで速さを見せた2017年王者アダム・ラッコが一矢報いる勝利
続くR4は、土曜のオープニングでも帝王に喰い下がったサッシャ・レンツが今季3勝目を挙げている
R3で3位、R4では2位と、王座決定後の日曜も表彰台で締めたハーン。「クリーンなバトルが楽しめた」


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