スーパーGT:D’station Racing 2017年第7戦タイ レースレポート

2017年10月10日(火)20時12分 AUTOSPORT web

D’station Racing
Race Report


­­AUTOBACS SUPER GT SERIES Round.7 Thailand
October 7-8 2017


“大魔神采配”的中! 作戦成功で今季2回目の3位表彰台


Qualify : 15th (1’41″684)
Race : 3rd (61 Laps)


 勝てるポテンシャルは示しつつも、なかなかかみ合わない中盤戦となったD’station Racingの2017年シーズン。今季も残り2戦となり迎えた第7戦の舞台はタイ・ブリラムにあるチャン・インターナショナル・サーキット。今年で4回目の開催となるこのコースは、ポルシェにとってそれほど苦手な場所ではない。最終戦に向けていいレースを展開したいラウンドだ。


 タイらしい酷暑のなか、チームメンバーもしっかりと準備を整え迎えた10月7日(土)の予選日。ただ、朝からスコールが降り注ぐ、不安定な天候となっていた。午前10時からの公式練習の走りはじめはウエット。そこから急速に路面は乾いていき、D’station Porscheは藤井誠暢とスヴェン・ミューラーが交代で走りながら7番手に。上々のすべり出しと思われた。


 しかし、午後の公式予選を前に、ふたたびサーキットをスコールが襲った。しかも今度は、なかなか路面が乾かない。D’station Racingは藤井をQ1のアタッカーに据え、各所が濡れている状態での予選に向かったが、藤井の懸命のアタックにもかかわらず、思うようにタイムが伸びず、終わってみれば15番手。Q2進出までにわずかに届かない結果となってしまった。


 明けて10月8日(日)のサーキットは晴天。チームは追い上げを目指し現地時間午後3時からの決勝レースに備えたが、スターティンググリッドにマシンを並べた直後、コースにまたもスコールが降り注いだ。路面はみるみる濡れていくが、雨はすぐに止み、陽射しが注いだ。


 常道で考えれば、ウエットタイヤでスタートして、路面が乾いたらスリックタイヤに替えるべきだ。しかしグリッドで、佐々木主浩総監督の「絶対にスリックだ!」というひと声が飛んだ。これまで野球や競馬で、勝負師としての勘をみせてきた佐々木総監督の言葉を信じ、スリックタイヤでスタートする場合の作戦を組み直した。


 スタートドライバーはミューラー。前戦鈴鹿では悔しいペナルティに泣いていたが、このレースでは序盤魅せた。まだ路面が濡れている序盤こそ、ウエットタイヤを履くライバルには離されたものの、スリックでスタートしたマシンのなかでは圧倒的に速い。ポルシェ911 GT3 Rの特性もあるが、それを抜きにしても別格。同じスリックのGT500までも抜いてしまった。


 路面が急速に乾いていくと、ミューラーはさらにD’station Porscheのペースを上げる。ウエット装着車は、ひとりのドライバーが最大限運転できるギリギリまでピットインを引っ張る作戦が多かったが、ライバルたちのピットインまでにいかにギャップを切り取ることができるか……。ミューラーはハイペースで飛ばし、ライバルたちがピットに入ると、みるみる順位を上げトップにまで浮上した。チームは好ペースのミューラーをギリギリまで引っ張り呼び戻すと、藤井にステアリングを託した。


 藤井は規定の関係でベストではないタイヤを装着していたが、3番手でコースに復帰すると奮闘。後方からペースに勝る#55 BMW、そして#10 GT−Rが迫っていたが、コーナーではしっかりポイントをおさえ、スキをみせない。最後まで集中を切らさなかった藤井は、#55 BMWをとおさえチェッカー! 見事第2戦富士以来となる、3位表彰台を獲得した。


 佐々木総監督の勝負勘、ミューラーの速さ、藤井の技、ノーミスでD’station Porscheを送り出し『ZF Award』も受賞したチームスタッフたち。すべてがかみ合えば、やはりD’station Porscheはレースでは強い。実力を出し切った末の3位表彰台に、チームは全員で喜びあった。そして最終戦、残す“勝利”という目標に向け、ふたたび挑んでいく。

D’station Porsche
スーパーGT第7戦タイで表彰台を獲得した藤井誠暢とスヴェン・ミューラー
D’station Porsche


Satoshi HoshinoTeam Principal
今回はPCCJ最終戦のため現地へは行けませんでしたが、鈴鹿からタイミングモニターを見ながら応援していました。D’station Racingの立ち上げ初年度として、今季二度目の表彰台獲得は率直に嬉しいですし、難しいレースで結果を掴んでくれた、ドライバーやチームスタッフには本当に感謝をしています。また、7戦中6戦でポイントを獲得でき、チーム総合力の向上も実感しています。最終戦のもてぎはポルシェ得意のサーキットですから、優勝で終われるように頑張ります。沢山の応援をありがとうございました。


Kazuhiro SasakiGeneral Manager
今日はチームの頑張りと作戦が実りましたね! レインタイヤでスタートするところを、スリックでいく選択をしましたが、うまくいきました。序盤のスヴェン選手の速さはすごかったです。さすがポルシェのファクトリードライバーだと痛感しました。後半の藤井選手も『抜かさせない!』という意地と、彼らしい技が実ったのではないでしょうか。ふたりのドライバーに感謝ですね。次戦は今季最終戦ですが、今年素晴らしいレースをいくつも見せてもらったので、最後はきっちりといい結果を残して終わりたいですね。


Toshiaki TakedaTeam Director
監督としては嫌な雨でしたが、事前にミーティングもしていましたし、やるべきこともやっていたので、落ち着いて対応することができました。周囲の状況を見ながら『ウエットタイヤだろう』と思っていたので、総監督が『スリックだ!』と言ったのは驚きましたが(笑)。でも、総監督は勝負師ですし、スヴェン選手の速さを信じていました。作戦としては想定の真逆になりましたが、ドライバーの頑張りと経験、そしてノーミスで作業してくれたスタッフの頑張りと、最善のレースができたのではないでしょうか。


Tomonobu FujiiDriver
予選順位から考えると、3位という結果は本当に嬉しいです。スタートでは本来ウエットタイヤでしたが、スヴェン選手がやってくれると信じていましたし、佐々木総監督の「絶対にスリックだ!」という言葉が決め手になりました。難しい状況でチームの対応もタイヤも素晴らしかったです。終盤は本命ではないタイヤでアンダーステアが苦しかったですが、守り切れて表彰台に登れて満足しています。全体のチーム力も高いですし、強さもみせられました。最終戦へいい流れなので、優勝を狙っていきたいです。みんなに感謝ですね。


Sven MüllerDriver
二度目の表彰台に登れてすごく嬉しいよ! 予選はあまりうまくいかなかったので、リスクを負ってでもスリックタイヤでスタートしたんだ。最初の8周くらいはすごくドライブが難しかったんだけど、クルマはすごく良かったよ。僕たちは1回ストップを選んで、首位まで上がることができたけど、ドライではライバルたちが少し僕たちより速かったね。でも、最後まで順位を守れて本当にハッピーだ。次のもてぎは初めてで、藤井選手から多くを学ぶことになるけど、彼と僕のヨーロッパでの経験を活かして、いい結果を残したいね。


Official Website : http://dstation-racing.jp
Facebook : http://fb.me/DstationRacing

ZF Awardを受賞したD’station Racing
D’station FRESH ANGELS


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