予選レースはトヨタの新鋭が初優勝。ロッシ&サンテロのエース組は日曜表彰台を獲得/STC2000第10戦

2021年10月13日(水)14時1分 AUTOSPORT web

 10月9〜10日の週末にアルゼンチンはサンタフェ州ロサリオに位置する、伝説のドライバー名を冠したトラック、アウトドローモ・ファン-マニュエル・ファンジオで開催された2021年のスーパーTC2000(STC2000)第10戦は、予選最速をルノー・フルーエンスGTが奪取し、土曜クオリファイレースはトヨタ・カローラSTC2000の新鋭が制覇。そして日曜フィーチャーレースではシボレーYPFクルーズの元王者が第9戦に続く連勝を飾るなど、再びファクトリーチームとして参戦する3マニュファクチャラーの熾烈な争いが繰り広げられた。


 技術的側面で「南米最高峰」を宣言し“世界最速のFFツーリングカー”を標榜する同シリーズも、いよいよシリーズ終盤戦を迎えた。このラウンドより長らくの渡航制限で参戦休止を強いられてきた隣国の元F1ドライバー、ルーベンス・バリチェロがひさびさにTOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアに復帰することとなった。


 そんななか始まった土曜予選では、まず2019年チャンピオンのリオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)が先手を獲り、かつてルノー在籍時代にシリーズ連覇を達成しているプーマ・エナジー・ホンダ・レーシングのファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックSTC2000)と、2016年王者のアグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)を従え今季5回目、キャリア通算20回目の最速タイムを奪った。


 土曜15時を前に開催された25分+1ラップの“クオリファイレース”は、シリーズ独自のハンディキャップ・システムにより予選でトップ10に入ったTOYOTA GAZOO Racing Jr.(TGRジュニア)のニコラス・モスカルディーニ(トヨタ・カローラSTC2000)と、復帰初戦のバリチェロがフロントロウからのスタートに。


 ポール発進のモスカルディーニは序盤から特権的な地位を活用して首位を守ったものの、背後のバリチェロはひさびさのFFマシンで蹴り出しの感覚に戸惑ったか、背後のファビアン・シャナントゥオーニ(ホンダ・シビックSTC2000)や、同じくシビックに乗るアルドゥソに立て続けにポジションを明け渡してしまう。


 中盤にはダミアン・フィネンチ(ルノー・フルーエンスGT)のクラッシュからセーフティカーが出動するものの、21歳のモスカルディーニはリスタートも無難にこなしてトップランを堅持。一方で、アルドゥソは僚友をかわして2番手へ、さらに背後ではバリチェロをパスしたカナピノが4番手に浮上してくる。

隣国間移動にも課せられた渡航制限緩和で、ひさびさのシリーズ復帰となったルーベンス・バリチェロ(トヨタ・カローラSTC2000)
まずは土曜予選で最速タイムを刻んだ2019年チャンピオンのリオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)
土曜クオリファイレースでフロントロウの好機を活かしたかったバリチェロだが、後続に飲み込まれる展開に
21歳の新鋭ニコラス・モスカルディーニ(トヨタ・カローラSTC2000)が、キャリア初勝利を飾っている


■日曜フィーチャーレースでは2番手アルドゥソがバーストに見舞われる


 終盤、前を行く2台のシビックを猛追したYPFクルーズは、まず教科書どおりのオーバーテイクで3番手シャナントゥオーニを仕留め表彰台圏内へ。そして勢いそのままにファイナルラップではターン1のブレーキング勝負で“チャンピオン・バトル”を制したカナピノが2番手に浮上してフィニッシュ。


 新鋭モスカルディーニがSTC2000でのキャリア初優勝を飾ると同時に、2位のリザルトを得たカナピノがこの時点で選手権首位ペーニャの161点に並ぶ状況となった。


 明けた日曜8時55分からのフルタンクテストでは、TGRの“スピードスター”ことジュリアン・サンテロとディフェンディングチャンピオンでシリーズ5冠を誇るマティアス・ロッシのトヨタ・カローラSTC2000が1-2とし、トヨタ勢がレースペースに手応えを得て迎えた11時50分からのフィーチャーレース。


 前日勝者のモスカルディーニと、破竹の勢いで選手権首位まで浮上したカナピノのフロントロウでスタートが切られると、背後では「対シボレー」を強烈に意識したペーニャのルノーが、アルドゥソを早々に仕留めて表彰台圏内に進出してくる。


 この重圧を感じたか、続く2周目にカナピノがブレーキングミスを犯し、ペーニャ、アルドゥソにポジションを奪われる事態が発生すると、ここからブルーのシボレーは目が覚めたかのような奮起を見せる。


 プッシュ・トゥ・パスを使ってすぐさまアルドゥソのホンダをパスしたカナピノは、先頭のモスカルディーニもオーバーテイクして逃げる首位カナピノを猛追。自身も土曜勝者を軽々かわすと、ルノーとの一騎討ちに持ち込んでいく。


 トラックの最終セクションでイン・アウトを入れ替えながらバトルを繰り広げた2台は、ホームストレートで並ぶと再びプッシュ・トゥ・パスを利用したカナピノが、ついに主導権を奪うことに成功する。


 ここからずるずると後退したペーニャに代わり、終盤までサンテロの攻撃に耐えながら2番手を引き継いだアルドゥソだったが、元王者のホンダ・シビックもファイナルラップを目前に左フロントタイヤが無情のバースト。これでサンテロ、ロッシのファクトリー・トヨタ勢がポジションを上げ、2台揃ってのポディウム・フィニッシュに。カナピノは第9戦に続き連勝を挙げて今季4勝目、キャリア通算26勝目を手にし、トヨタ2台を挟んで4位ペーニャ、5位シャナントゥオーニのトップ5となった。


 これでランキングもカナピノが181点で首位浮上に成功し、2位陥落のペーニャが171点、以下129点のサンテロ、121点のロッシ、そして115点のアルドゥソが追う展開に。続くSTC2000第11戦は11月6〜7日の週末にコルドバのオスカー・カバレンで最後から2番目のレースを開催し、同月末にはブエノスアイレスでの最終決戦が控えている。

土曜時点で上位に迫った2016年王者のアグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)が日曜フロントロウから発進するも……
2016年王者はブレーキングミスを犯してオーバーシュート。しかしここから怒涛のレース運びを見せる
TOYOTA GAZOO Racing YPF INFINIA(トヨタ・ガズー・レーシングYPFインフィニア)同士も「ノー・オーダー」の勝負を繰り広げた
ランキングもカナピノが181点で首位浮上に成功し、2位陥落のペーニャが171点、以下129点のサンテロ、121点のロッシ、そして115点のアルドゥソが追う展開に

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