J-GP3、3連覇の尾野弘樹「全戦全勝は難しいと実感したシーズンだった」/2023全日本ロード チャンピオン会見

　10月15日、三重県の鈴鹿サーキットで2023年MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ 第8戦 第55回 MFJグランプリ スーパーバイクレースin鈴鹿 J-GP3クラスの決勝が行われ、尾野弘樹（P.MU 7C GALESPEED）がチャンピオンを獲得し、3連覇を達成した。レース後にはチャンピオン会見が開かれ、そこに出席した尾野が今シーズンの振り返りと王座獲得の喜びを語った。

　尾野は2021年からJ-GP3クラスに参戦しており、2021年と2022年連続でチャンピオンに輝いたライダーだ。過去にはロードレース世界選手権のMoto3クラス、そして全日本ロードレースのJ-GP2、GP125にも参戦していた経験も持っている。

　そんな尾野は、2023年は開幕戦もてぎから第6戦オートポリスまで優勝を飾るなど、前年度王者の強さを発揮していた。しかし、第7戦岡山で尾野は転倒リタイアのノーポイントで終えることとなった。ランキング2位の若松怜（JAPAN POST HondaDream TP）が優勝したことにより、23ポイント差があるものの、チャンピオン争いは最終戦まで持ち越しとなった。

　迎えた最終戦鈴鹿は、土曜日に行われた予選で尾野は2分16秒633と圧倒的タイムをマークして堂々のポールポジションを獲得。決勝ではホールショットを奪うも、周回を重ねていくごとに目まぐるしく順位が入れ替わる展開となった。ファイナルラップまで激戦が続くなか、終始落ち着いた走りを見せた尾野は3位でチェッカーを受け、悲願の3年連続チャンピオンを決めた。そんな尾野は次のように決勝を振り返るとともに、チャンピオン獲得の嬉しさを語った。

「（決勝は）難しいコンディションになりましたが、ドライタイヤでスタートが切れた時点で、自分にとっては良かったかなと思いました。スタートでホールショットを決められる自信はあったので、とりあえず余裕を持って先頭を走ってみようと走りました」

「前に出られて、離されるようならペースを上げようと思ったのですが、前に出てくるのが彌榮選手と木内選手だけだったので、集団が膨れ上がっているのは知っていましたが、余力が残っているのはこの3人だと思っていたので、集団が大きくなっていることは気にせずに走りました」

「ふたりとも本当にブレーキングが鋭くて、厳しいレースになることを想定して走っていましたが、前戦の岡山での転倒もあったので、今回はまず第一に完走というのを自分でもチームでも話し合っていたので、そうのようなレースをしました。そういったレースで勝てなかったのは正直悔しいですが、今日は獲る物は獲れたので、結果的に表彰台に上がることができて、最後にチェッカーも受けられたので良かったと思います」

「毎年全戦全勝を目標に掲げてシーズンのスタートを切るのですが、3年目にして岡山の前のオートポリスまでは全戦全勝で来ることができていたなか、岡山と鈴鹿は得意だったので、本当に獲る気持ちでプッシュしたら結果は転倒という形で、まだ全戦全勝は難しいかなというのを非常に実感したシーズンでした」

「そういったこともあったので、この鈴鹿はしっかりチャンピオンを獲ることに切り替えてレースを運びました。今日のレースも、今シーズン1番といっても良いくらい抜きつ抜かれつの激しく、楽しいバトルで、僕自身も結果3位は悔しいですが、一番納得して楽しめたレースでした。3年連続（チャンピオンを）獲れて非常に嬉しいです」

「（印象に残ったレースは）前戦の岡山です。それまで非常に順調に来ていて、前回も独走で誰が見ていても優勝できる状態の中で自分のミスが火種となって転けてしまったのですが……。あの転倒があったからこそ、この鈴鹿でしっかりとウイークから転倒もなく、決勝まで追うぞという思いがあったので、本当に意味のある転倒といったらおかしいですが、印象強いレースでした」