9球団が異なる1位指名選手を公表する前代未聞の事態に、目玉不在がゆえのドラフト会議はどうなる?!

2022年10月20日(木)11時0分 ココカラネクスト

 異例の1位指名公表ラッシュに、運命の1日を前に球界がざわついていた。20日のドラフト会議が迫る前日の19日、ヤクルトと中日が1位指名を公表した。これで本番を前に9球団がドラフト1位指名を公表することとなった。

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 ヤクルトは東芝の吉村貢司郎投手、中日は沖縄大の仲地礼亜投手の1位指名を公表した。ざわつきの理由は、その9球団がそれぞれ公表した1位指名選手が異なる点にある。

 真っ先に公表した巨人は、高松商高の浅野翔吾外野手。以下、ソフトバンクが誉高のイヒネ・イツア内野手、西武が早大の蛭間拓哉外野手、日本ハムが日体大の矢澤宏太投手、広島が苫小牧中央高の斉藤優汰投手、オリックスが白鷗大の曽谷龍平投手、楽天が立大の荘司康誠投手と続いていった。

 近年を振り返れば、例えば2020年には7球団が1位指名を公表。2009年には10球団が公表に至った。ただし、2020年は巨人など3球団が近大・佐藤輝明外野手、2球団が早大・早川隆久投手と目玉選手に重複。2009年に至っては7球団が花巻東高の菊池雄星投手の1位指名を公表した。他球団と競合してでも獲得に賭けたい逸材がおり、競争相手を1球団でも減らしたいという思惑が見て取れる。

 一方で今季はその真逆と言える。目玉選手が不在がゆえに、1位指名での競合は避けたいところ。補強ポイントに合致する選手を確実に一本釣りするために、公表することで獲得を検討していた他球団を撤退に導くけん制の意味が強い。当日までどの選手を1位指名するか分からないのはDeNA、阪神、ロッテの3球団だけ。ふたを開けてみたら、1位指名での競合が一切ない可能性さえ残す。

 1965年に導入されたドラフト制度は、当初はウエーバーの指名順をくじ引きで決めたり、逆指名制度や高校生と大学・社会人の分離開催など、様々な紆余曲折を経てきた。いわゆる逆指名制度がなく、年代のカテゴリー別開催でもない1位入札形式のドラフトにおいて、1人の競合もなかった例は過去に一度もない。

 1990年代から導入された逆指名制度は、裏金の温床となったことに加え、ファンからは大学生以上の有望選手の競合が見られないことも不評だった。その逆指名時代に戻ったかのように、3球団の1位指名が分かった上で運命の時を迎える。その上、競合が1人も出ない前代未聞の事態となると、ドラフト会議の魅力自体が失われかねない状況ではある。

 未公表の3球団から、競合覚悟で公表済みの球団と同じ選手への指名があるのか。はたまたその3球団の中での競合が生まれるのか。道筋はある程度予想できても、ふたを開けてみないと実際にどう転ぶかは分からないのは、ドラフト会議が持つ不変の魅力の一つではある。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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