満身創痍の横浜FMが優勝戦線生き残り。札幌戦の勝因は【J1リーグ2023】

2023年10月22日(日)19時30分 FOOTBALL TRIBE

FW宮市亮(左)DF田中駿汰(右)写真:Getty Images

2023明治安田生命J1リーグの第30節が、10月20日と21日に各地で行われた。同リーグ2位の横浜F・マリノスは21日、本拠地日産スタジアムで北海道コンサドーレ札幌と対戦。最終スコア4-1で勝利し、首位ヴィッセル神戸を勝ち点差4で追走している。


ここでは横浜FMのケヴィン・マスカット監督やFW宮市亮の試合後コメントを紹介しながら、ホームチームの戦いぶりを分析していく。




横浜F・マリノスvs北海道コンサドーレ札幌、先発メンバー

横浜FMvs札幌:試合展開


上島拓巳と角田涼太朗の両DFが、10月15日のルヴァンカップ準決勝第2戦(浦和レッズ戦)で負傷。これによりセンターバックを本職とする選手が足りなくなり、マスカット監督はこのポジションにDF實藤友紀とMF喜田拓也を据えた。


札幌に攻め込まれていた試合序盤で、横浜FMがワンチャンスを物にする。前半19分、ホームチームのFWアンデルソン・ロペスが自陣ペナルティアーク付近でボールを回収し、すかさずロングパスを繰り出す。このボールに反応した宮市が左サイドを駆け上がり、札幌のGK高木駿との1対1を制した。


横浜F・マリノス GK一森純 写真:Getty Images

後半も札幌に攻め込まれる試合展開に変わりはなかったが、横浜FMはこの日センターバックで起用された喜田による巧みな最終ラインの上げ下げや、全選手による素早い帰陣で耐え忍ぶ。ペナルティエリア内で放たれた後半2分の札幌MFルーカス・フェルナンデスのシュート、同11分のMF浅野雄也との1対1をGK一森純が防いだことで、ホームチームは同点ゴールを許さず。試合終盤には足を痛めた實藤もベンチに下がり、センターバックを本職とする選手がいなくなったが、DF松原健(右サイドバック)がこのポジションを務めたことで難局を乗り越えた。


迎えた後半39分、途中出場のFW杉本健勇が難しい体勢でありながら味方FWヤン・マテウスのクロスに反応し、追加点をゲット。同46分にもFWエウベルが自陣からの速攻を結実させ、横浜FMがリードを3点に広げた。


後半48分に札幌のパスワークを浴び、ゴール前にこぼれたボールをDF田中駿汰に押し込まれたものの、アウェイチームの反撃もここまで。同51分に横浜FMのFW植中朝日が速攻からゴールを挙げ、駄目を押した。


横浜F・マリノス MF渡辺皓太 写真:Getty Images

証明された2ボランチの修正力


札幌は[4-4-2]に近い布陣で、横浜FMの攻撃に対抗。ホームチームが自陣後方からパスを回そうとするやいなや、スパチョークと駒井善成の両MF(2ボランチ)もハイプレスに加わる。この2人が横浜FMの2ボランチ、渡辺皓太と山根陸の両MFを捕捉していた。


基本布陣[4-2-1-3]の横浜FMは渡辺と山根のどちらかを最終ライン付近へ降ろす形で札幌のハイプレスを掻い潜ろうとしたが、この2人が相手の2トップの手前にポジションをとることが多く、守備のファーストラインを効率良く越えられない場面がちらほら。言い換えれば、特に前半は札幌の2トップの斜め後ろに立ち続け、GK一森や2センターバックからのパスコースを確保するシーンが少なかった。


後半から渡辺と山根が札幌の2トップの斜め後ろに立つ場面が増え、横浜FMはパス回しのリズムを掴んでいる。この2人の立ち位置の修正力の高さが証明された試合でもあった。次節以降も、この2人のポジショニングが横浜FMの浮沈の鍵を握るだろう。




横浜F・マリノス ケヴィン・マスカット監督 写真:Getty Images

劣勢のなか生まれた狙い通りの攻撃


「限られたメンバーで、本当に一丸となって戦う姿勢を見せてくれました。ミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)が率いる札幌は本当に倒すのが難しいです。ボールを持っているときも持っていないときも、私たちは集中を切らさずにやらなければいけないと思います。少しでも切らしてしまえば、相手の良さが出てしまい難しい状況に追い込まれます。相手は攻撃に入ったときの強さがあります」


「先制点の場面は私たちが焦れることなくしっかりと守り、奪った瞬間に1本目のパスを繋いだ。これは日頃から言っていることですが、大事なのは1本目のパスを確実に繋ぐ。そして相手は前がかりになっているので裏のスペースを狙っていく。そこが狙いです。奪った後の繋ぐところで、私たちはなかなか繋げずに少し難しい状況になることもありました。1点目はしっかり私たちがボールを奪い、前線の選手に繋いでいくことにより宮市のゴールが生まれました」


マスカット監督が試合後の会見で語った通り、札幌に攻め込まれていたなかで自陣からの速攻を結実させたことは、横浜FMにポジティブなムードをもたらした。直近の公式戦では、相手最終ラインの背後を狙う姿勢が不足している感が否めなかったが、優勝戦線に生き残るための重要な試合でこれを体現できたのは収穫と言えるだろう。これも今節の勝因の一つだ。


「ロペスから(のパスは)練習のなかで何度かあるシーンだったので、本当に練習通りの形が出た」と、先制ゴールを挙げた宮市も試合後の囲み取材で満足感を示している。ロペスのパスを予測していた点も然ることながら、十分な助走からトップスピードに到達し、対面の札幌DF田中駿汰を振り切ったのも秀逸だった。

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