ル・マンで発生の問題は解消。トヨタ、WECバーレーン2連戦でハイパーカー時代の初代王者獲得へ

2021年10月26日(火)6時45分 AUTOSPORT web

 WEC世界耐久選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、4年連続でル・マン24時間レースを制した後、約2カ月のインターバルを挟んで行われる2021年シーズン終盤の“バーレーン2連戦”に臨む。小林可夢偉組の7号車と中嶋一貴組8号車、2台のトヨタGR010ハイブリッドでハイパーカークラスに出場する同チームは、第5戦でのチームタイトル獲得、ならびに最終戦でのドライバーズタイトル獲得を目指して戦っていく。


 全6戦で争われることになった今季のWECは、8月21〜22日に開催された第4戦ル・マンののち、約2カ月のインターバルを置いて戦いの舞台を中東バーレーンへと移す。この間、本来であれば日本の富士スピードウェイで6時間レースが開催されるはずだったが、残念ながら新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となっている。


 10月28〜30日に行われる第5戦バーレーン6時間レースはそのWEC富士の代替レースだ。ル・マン・ハイパーカー(LMH)規定が導入された今シーズンよりハイブリッドシステムを搭載するハイパーカー、トヨタGR010ハイブリッドを投入しているTGRは、ここまでル・マンを含め4戦4勝をマーク。3シーズン連続となるワールドチャンピオンに王手をかけている。


 現在、TGRはランキング2位につけるアルピーヌ・エルフ・マットミュートを51ポイント差でリード。残り2戦での最大獲得ポイントは65ポイントであるため、トヨタは第5戦を3位以上でフィニッシュすれば最終戦を待たずにチーム選手権タイトルを決めることになる。


 一方、ドライバー選手権はアルピーヌチームを含め三つ巴の争いが続いている。そのため、次戦の6時間レースでは決着がつかず、8時間で争われる翌週の第6戦バーレーンで今季のチャンピオンが決定する予定だ。


 第4戦終了後の順位とポイントを見てみると、ランキング首位は8月のル・マンで悲願の初勝利を飾ったマイク・コンウェイ/可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組7号車で、獲得ポイントは120ポイントとなっている。僚友8号車のセバスチャン・ブエミ/一貴/ブレンドン・ハートレー組は9ポイント差で彼らを追いかける。


 また、36号車アルピーヌA480・ギブソンのクルーもトップと30ポイント差のランキング3位につけ、WEC史上初の2週連続開催となる“バーレーン連戦”で2連勝を飾れば、逆転戴冠を実現する可能性を残している。


「2021年のWECを締めくくる最後の2戦に、チームとともに参加できることを大変うれしく思います」と語るのは、TOYOTA GAZOO Racingカンパニーの佐藤恒治プレジデント。


「ル・マン以降、チームは見つかった課題の解決に向け一丸となって懸命に努力し、対策まで漕ぎつけることができました。今はチーム全員がバーレーンでファンの皆さまに見守られながら有終の美を飾れることを心待ちにしています」


「2週連続での耐久レースはドライバーにとってもチームにとっても厳しい試練となりますが、我々TGRチームは必ず乗り越えらえるものと信じています。耐久レースにおいて、絶対的な信頼性と速さを兼ね備えることは並大抵のことではなく、特にファーストシーズンであるGR010ハイブリッドにはまだまだ改善の余地がありますが、2台のマシンとドライバー達が世界チャンピオンを賭けて思いっきり戦えるよう、万全の準備を進めております。ファンの皆さま、ぜひ期待してください!」

小林可夢偉組7号車を9ポイント差で追いかけるセバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー組8号車トヨタGR010ハイブリッド


■中嶋一貴「7号車とのバトルはバーレーンでの2連戦も、間違いなく熾烈なものになる」


 F1バーレーンGPの会場としても馴染み深いバーレーン・インターナショナル・サーキットは、砂漠の中に開設された1周5.412kmのサーキット。WECで使用されるレイアウトでのコーナー数は15だ。TGRは同地で過去8戦を戦い5勝を挙げており、相性の良いコースといえる。


 そんなバーレーンで好成績が期待されるトヨタGR010ハイブリッドは、ル・マンに出場したものと同じ仕様の車両が持ち込まれる予定だが、佐藤氏のコメントにもあるように、前戦で発生した燃料系トラブルについては技術的な検証により解消されているという。


 2021年シーズンの終盤戦、WEC第5戦/第6戦バーレーンに挑むTOYOTA GAZOO Racingの各ドライバーのコメントは以下のとおりだ。


■7号車トヨタGR010ハイブリッド


●小林可夢偉


「同じサーキットでの2連戦でシーズンを締めくくるというのはWECでは新しい試みで、誰もが注目する2週間になるでしょう」


「もちろん、我々にとってもGR010ハイブリッドでバーレーンを走るのは初めてなので、車両のバランスなど着実な改良を進めていくことに集中する必要がありますし、それが両方のレースでの好結果に繋がるはずです」


「マイク(・コンウェイ)、ホセ(-マリア・ロペス)、エンジニアと力を合わせ、ふたたび世界チャンピオンを獲得するため、このチャンスをものにすべく全力で挑みます」


●マイク・コンウェイ


「バーレーンでもさらに勝利を重ねるべくプッシュしていくが、2週連続、合計14時間にわたるレースが待ち受けている。もちろん厳しい戦いになるだろうけど、タイトル防衛へ向けて全力で臨むつもりだよ」


「我々はル・マンでついに勝利を挙げ、これまでのところとても良いシーズンを過ごしている。世界チャンピオンの称号とともに締めくくることができれば最高だ」


「バーレーンはずっと我々が得意にしてきたサーキットだし、お気に入りのコースでもある。だから今年も期待している」


●ホセ-マリア・ロペス


「ようやく勝ち取ったル・マンでの初優勝のあと、2週連続のレースという特別な戦いでタイトルを争うことになる。チームにとってもっとも重要なのは最初のレースでチームタイトルを確定することだが、その後にはドライバーズタイトル争いが待っている」


「誰が勝っても、チャンピオンにふさわしいと思う。8号車はつねに最大のライバルであり、コース上では戦いますが、その一方で我々はチームメイトかつ友人でもあり、全員が最大限の敬意をお互いに持っているんだ」


■8号車トヨタGR010ハイブリッド


●中嶋一貴


「7号車とはシーズンを通じて非常に僅差のレースを繰り広げてきており、シーズンを締めくくるバーレーンでの2連戦も、間違いなく熾烈なものとなるでしょう」


「2台の差は非常に小さく、バランスなどすべての点で細かく追及していく必要がありますが、私自身はこの挑戦を楽しみにしています」


「バーレーンはレースに最適のコースですが、今回の2連戦の1戦が昼間、もう1戦が夜のレースになるので、コースコンディションがどれだけ変わるかも興味深いです。この影響は大きいと思われるので、そのための準備をしなくてはなりません」


●セバスチャン・ブエミ


「バーレーンで長い時間過ごすことになるのは楽しみだ。きっと良い時間になるだろう」


「シミュレーターですでに準備は進めてきているが7号車、およびアルピーヌとは僅差の戦いになるだろうと予想している。昼間と夜とではクルマの挙動が大きく変わってしまうため、さまざまなコンディションに合わせる必要がある」


「チームはル・マンのあともハードワークでトラブルに関わる対応を進めるとともに、着実に車両の改良を続けてくれており、我々も最後までタイトルのためにベストを尽くして戦う」


●ブレンドン・ハートレー


「ル・マンのあと、とても長い時間が経った気がするが、久しぶりにGR010ハイブリッドをドライブできるのが楽しみだよ」


「ドライバーズタイトルを争う3チームのポイント差はとても小さく、タイトル獲得のためにこの2連戦に全力で挑む」


「バーレーンはいつも好レースを演出する、良いサーキットだ。我々はシミュレーターで準備をしてきてはいるが、ハイパーカーで実際にコースを走ることに勝る準備はないんだ」

WEC第5戦バーレーン6時間レースは10月28〜30日、同第6戦バーレーン8時間レースは11月4〜6日に行われ、翌7日にはWECルーキーテストが開催される。

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