赤旗で狂い始めた歯車。厳しい状況に追い込まれたローソン「レースが続いていれば、表彰台争いはできた」

2023年10月28日(土)22時24分 AUTOSPORT web

 4周目に発生したアクシデントにより、途中でレース終了となった2023スーパーフォーミュラ第8戦。逆転でのドライバーズタイトル獲得に向けて、勝負の2連戦に臨む構えでいたリアム・ローソン(TEAM MUGEN)は、1レース目を6位で終える悔しい結果となった。


 ランキング2位でレースウイークを迎えたローソンは金曜日のフリー走行では4番手タイムを記録し、上位に食い込む走りを見せていた。そして土曜朝のQ1・Aグループでは坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)に対して0.001秒差に迫る1分37秒822を記録し、問題なく通過を果たす。


 Q2では、野尻智紀(TEAM MUGEN)に続いて2番目にアタックに入り、セクター3終了時点で0.1秒遅れている状態で日立Astemoシケインに入ろうとしたところ、後方を走っていた佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)がデグナーでクラッシュ。赤旗が出された。


「(1周のうち)95%を終わっていたのに、赤旗が出てしまった。残念ながら僕たちはスペアでフレッシュなタイヤを持っていなかったから、赤旗前のアタック時に使ったユーズドタイヤでアタックに行くしかなかった」とローソン。


 通常なら、翌レースのことを考えて、“程度が良い”と言われる走行周回数の少ないタイヤを持ち越すのだが、ローソンに関しては第7戦のもてぎでタイヤにダメージが及んだこともあり“程度の良い持ち越しタイヤ”を用意することができなかった。


 これについては、もてぎ大会が終了した時点で小池智彦エンジニアも「(状態の良い)タイヤがないので、最終大会はどうなるか分からないですね」と話していたが、実際に勝負を分けるひとつのポイントとなってしまった形だ。


 赤旗からの再開後、ライバル勢がフレッシュタイヤを装着する中、ローソンはユーズドタイヤでピットアウト。そこでチームメイト野尻と交錯する。


「彼はコールドタイヤで、最初はペースが上がっていなかったから2コーナーで追い抜いた」とローソン。「僕はすでに一度走っているタイヤだったから、温度も上がっていて、そこまでウォームアップをする必要はなかった。バックストレートでも僕は温度を維持することに集中していた」とローソン。これについて野尻は、予選後の会見で「すごくイライラした」と振り返っていた。


 しかし、ユーズドタイヤでアタックしたローソンはタイムが伸びず、結果的に予選7番手に終わった。


「(赤旗前の)アタックラップがすごく良かったから、正直、残念だ。あのままアタックをしていたら、野尻選手に対してシケイン手前(セクター3終了時点)で0.1秒遅れていたことを考えると、2番手は確実だったと思う。僕のクルマはニュータイヤで良いパフォーマンスを発揮していた。だけど、不運に見舞われた」


 これが彼にとって今日の結果を左右する大きな分岐点となっただけに、いつになくイライラしている様子だった。


 決勝では、スタート直後から平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)とバトルした際、S字でわずかに接触があったとのこと。公開されたチームラジオで「ローソンと当たった」と平川が話していたが、それについては「すごくクロスな状況で、僕はS字のラインにいて、ワイドにならないようにしたけど、彼と軽く接触した。それが大きなクラッシュにならなくて良かったし、ダメージもなかった。ただのレーシングアクシデントだ」とローソンは言う。


 赤旗が出る直前には坪井を抜いて5番手に上がったが、赤旗終了で3周終了時点の順位が採用されたため、正式結果上でローソンは6位となった。


「決勝も残念ながらこういう形になったから、ポジションを争う機会がないままレースが終わった。クルマはすごく速かったから……。もしレースが続いていれば、表彰台争いはできたと思う」と不満そうな表情。それでも、クラッシュした笹原右京と大津弘樹の状況を心配しており、「とにかく、両方のドライバーも大丈夫だと聞いている。それが一番大事なことだ」と語った。


 これで、ランキング首位の宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)とは15ポイント差に広がり、29日に行われる最終戦での逆転がさらに難しくなったローソン。「かなり厳しい状況となった。2台がポイント圏外でフィニッシュしないと、チャンスがないという状況だ。僕としては優勝することだけを目指すし、できる限りの速さを発揮するつもりだ。だけど、ライバルの不運がないと、チャンスが巡ってこない」と、少し諦めかけているような雰囲気もあったが、最後は良い結果で終えたいということを強調していた。

4周目に坪井翔をパスしたリアム・ローソン。しかし赤旗終了により3周終了時点での結果が正式となり、“幻のオーバーテイク”に。

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