【F1第18戦無線レビュー】ペースもタイヤも問題なし。ハミルトン追撃体制に入ったペレス「エンジンはどう?」

2021年11月10日(水)16時15分 AUTOSPORT web

 2021年F1第18戦メキシコGPではレッドブルの有利が予想されるなか、メルセデスがフロントロウに並んだ。しかし決勝レースではマックス・フェルスタッペンがスタート直後に首位に浮上し、その後ろではルイス・ハミルトンとセルジオ・ペレスが2位を巡って最後まで接戦を振り広げる展開に。メキシコGPを無線とともに振り返る


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 レッドブル・ホンダの優位が予想されたメキシコGPだったが、予選ではメルセデス2台がフロントロウを独占するというまさかの結果に終わった。


 しかし決勝レースでは、3番手スタートのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がターン1までに2台を抜き去り、首位に立った。フェルスタッペンの担当エンジニア、ジャンピエロ・ランビアーゼが思わずこう口にした。


ランビアーゼ:素晴らしい。その言葉しかない

2021年F1第18戦メキシコGP スタートシーン


 ポールシッターのバルテリ・ボッタス(メルセデス)はスタート直後にダニエル・リカルド(マクラーレン)に追突され、スピン。早々に戦線離脱した。セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)はからくもコース外に出て、難を逃れた。


ボッタス:誰かが後ろからぶつかってスピンした
ペレス:ボッタスにぶつかったバカは誰だ? 僕もほとんどやられるところだった!

2021年F1第18戦メキシコGP 1周目、ターン1でリカルドが前を走るボッタスに接触。ボッタスはスピンを喫した




 フェルスタッペンのペースはハミルトンより明らかにいい。渋滞状態の中団勢は冷却が厳しく、各車の間隔は自然に開いて行く。そして最後尾近くまで下がったボッタスは、なかなか順位を上げることができずにいた。


ランビアーゼ(→フェルスタッペン):(ハミルトンとの)ギャップは2秒4だ
ハミルトン:彼は速い!


ボッタス:このトレインだと、タイヤを考えたら大したことはできない

2021年F1第18戦メキシコGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)


 フェルスタッペンが19周目に最速タイムを更新し、ハミルトンとの差を6秒8まで広げた。背後には3番手ペレスが9秒ほどの間隔でついてきている。ハミルトンにはペースを必死に上げる以外、戦略的選択肢はほぼなかった。


ランビアーゼ:タイヤはどうだい
フェルスタッペン:悪くない。コーナーエントリーで、ちょっとリヤがきてるけど


ハミルトン:ふたりとも僕より全然速い
ピーター・ボニントン:ペレスとのギャップを広げるんだ
ハミルトン:とても引き離せないよ


 一時は11秒前後あったハミルトンとペレスの差が、27周目には10秒まで縮まった


ヒュー・バード:よし、チェコ。近づいて行こう

2021年F1第18戦メキシコGP セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)


 しかし2周後の29周目に、ハミルトンはピットへ。33周目にはフェルスタッペンもピットインし、ペレスが首位に立った。メキシコ人ドライバーが母国GPでトップを走るのは史上初めてのことだった。湧き上がる大歓声。ペレスは40周目までステイアウトし、ハミルトンより11周フレッシュなハードタイヤでコース復帰した。


 中団グループではピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)が、フェラーリ2台を抑えて4番手を快走していた。5番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)は、ガスリーとの3秒差を縮められないことに、イラつき始めていた。担当エンジニアのグザビエ・マルコス・パドロスからのタイヤを保たせるための細かい指示も、なかなか素直に聴くことができない。


マルコス・パドロス:ターン13はコーナリングから出口にかけて集中だ。ターン12の進入ではプッシュしすぎるな
ルクレール:何を言いたいのか、よくわからない! コーナリング中に減速するのか、加速するのか、どっちなの!? 出口重視なのか、コーナリング重視なのか?
マルコス・パドロス:ターン13は出口重視だ

2021年F1第18戦メキシコGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)


 後半47周目、ペレスのハードタイヤでのペースが伸びてきた。


バード:あと24周。追い付けるぞ


バード:ハミルトンは(1分)20秒6だ。フリーエアでね。ギャップは6秒だ


 メルセデス陣営としてはもはや打つ手なしということか、ボニントンからの呼びかけがぱったりなくなった。


ハミルトン:きみたち、そこにいる?
ボニントン:もちろん、いるよ


ボニントン:捕まるとしたら、最終ラップかな

2021年F1第18戦メキシコGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)


 55周目、ルクレールのペースは上がらず、ガスリーとの差を9秒まで広げられていた。


マルコス・パドロス::サインツと順位を入れ替える必要がある。ガスリーを攻略するためにね。


 しかしルクレールは譲るつもりはないようで、1秒2だった背後のサインツとのギャップは逆に2秒近くまで広がった。思わず叫ぶサインツ。


サインツ:シャルルは僕を後ろに置くために、ミスしまくってる
リカルド・アダミ:了解した


その直後の57周目、ルクレールはようやく順位を譲った。




 一方ペレスとハミルトンの差は、58周目には1秒6まで縮まった。


ハミルトン:タイヤが摩耗してる


バード:ペースはいい。タイヤもいい。バッテリーもいい。行くぞ
ペレス:エンジンは?
バード:エンジンもいいぞ


 ボニントンの予想よりはるかに早く、チェッカー10周前の61周目にペレスはハミルトンのDRS圏内に入った。ハミルトンはコーナー立ち上がりで、明らかにリヤが滑っている。それでもさすがに隙を見せず、2番手を死守。フェルスタッペンはアメリカに次ぐ2連勝を果たし、ハミルトンとの差を19ポイントまで広げた。ボッタスは2度もソフトタイヤに履き替え、最終周にファステストタイムを叩き出して、レッドブル・ホンダ陣営に一矢を報いた。


ランビアーゼ:素晴らしいドライブだったぞ
フェルスタッペン:やったぜ。なんてレースだったんだ! 信じられないようなペースだったよ
クリスチャン・ホーナー代表:教科書のような走りだった。チェコもいっしょだ。ダブル表彰台だよ




ペレス:みんな、ありがとう。チームが僕の国で勝った。最高だよ! さあ、これからテキーラタイムだ!!




 一方、マシンを表彰台前に止めたハミルトンは、力なくこうつぶやいた。


ハミルトン:すべてを出し切った。でも単純に、ペースがなかった


リカルド・ムスコーニ:ファステストタイムだ
ボッタス:そうだね。厳しいレースだった
ムスコーニ:でもフェルスタッペンから1ポイント奪ったぞ



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