ロス・ブラウン、F1新エンジン提案に対する反発に驚き、謝罪と釈明行う
2017年11月16日(木)9時33分 AUTOSPORT web
F1のモータースポーツ担当マネジングディレクターのロス・ブラウンは、先月発表した2021年以降の新パワーユニット規則について、マニュファクチャラー側から強い批判が出たことに驚いたと語った。
数カ月にわたり、F1、FIA、チーム、エンジンマニュファクチャラーは新たなパワーユニットのフォーマットについて協議してきた。その結果、F1とFIAは10月末、2021年から導入する新パワーユニット案の骨子をマニュファクチャラー側に提示した。
FIAはコストを削減すること、市販車との関連性を維持するためハイブリッド技術を残すこと、マシンのサウンドを向上することなどを目指しており、今回の提案では、1.6リッターV6ターボハイブリッドエンジンを維持しつつ、サウンドを向上させるために最高回転数を引き上げ、MGU-Hは撤廃、MGU-Kが強化されることなどが明らかにされた。
現在F1に参戦するフェラーリ、メルセデス、ルノーはこの変更案に対して懸念や反発を示している。メルセデスとルノーは、この案ではコスト削減につながらないと主張、フェラーリ会長セルジオ・マルキオンネはパーツの標準化が過度に進むようであれば、F1撤退を考えるという脅しをかけた。
ブラウンは、プランの提示の仕方も悪かったのかもしれないと考えている。
「彼らのリアクションに少しショックを受けた」とブラウンは語った。
「後から考えれば、別の形で提示することもできたと思う」
「しかしこれほど強いリアクションがあるとは予想していなかった。その後、もう一度会合を行い、それについて申し上げた」
「彼らが腹を立てている最大の理由がそれだとしたら、謝罪する。しかし我々がやろうとしていることを見失うべきではない」
「彼らは提示の仕方に不満を感じているのかもしれないが、我々としてはそういうつもりはなかった」
ブラウンは、マニュファクチャラーに対し新パワーユニットの仕様について意見を聞くつもりであると伝えており、コストを抑え、ファンと新サプライヤー候補を引き付けるという目的を実現するものであれば、今回の提案を変更、あるいは改善する可能性もあると述べている。
「マニュファクチャラーが、我々の提案より優れた方法があることを明らかにできるのであれば──つまり、より安価で、ファンにとってより魅力的なものであり、新しいサプライヤーが参入できるものであるというファクターを満たしているのであれば──、それを検討する可能性がある」
「特定の解決法に固執しているわけではない。専門家の助言を受けて、これがうまくいくソリューションであるとの考えを持っているだけだ」
「同じ目標を達成するような他の解決法が提案されるなら、それに対してノーと言うつもりはない」
パーツ標準化が進めばマニュファクチャラーのアイデンティティーを奪いかねないとの懸念が持ち上がっている。しかしブラウンは、そこまでこの動きを推し進めるつもりはないと語った。
「フェラーリ、あるいはメルセデスエンジンのアイデンティティーを保つことは重要であると認める。『これが我々のエンジンだ』と彼らが主張できるようでなければならない」
「そこの境界線を越えてしまったとは思わない。だが今、提案を議題として示したので、関係者と話し合い、彼らが受け入れられることとそうでないことを理解する必要がある」