グランプリのうわさ話:マゼピンの涙にチーム内外で温度差

2021年11月24日(水)16時41分 AUTOSPORT web

 事件はサーキットの外でも起きている。もちろん、サーキットの中で起きているのは言うまでもない。水面下で蠢くチーム、ドライバー、グランプリにまつわる未確認情報を調査員が独自に調査。送られてきた報告書を公開する。
 
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 F1第19戦ブラジルGPの予選を終えたハースF1のニキータ・マゼピンが、テレビの生放送中に突然感極まる姿を見せた。F1キャリアで最高のラップを出しながら最終コーナーで台無しにしてしまったと話した後に、涙を見せたのだ。これまで彼のスピードや態度についてかなり批判的だったイギリスのメディアには若いマゼピンの様子が好ましく映ったかもしれないが、チームの内部からは懐疑的な見方が出ている。


 マゼピンは、自分が感情的になった理由について、彼や彼のマシンと直接仕事をしてきた人たちの多くがハースを離れるのが「誰でも家族のことを考えなければならないし、これまでよりもずっと多額の給料を提示されればチームを移籍するしかないから」だと説明した。


 一方で、ハースの情報筋は、マゼピンのマシンを担当してきた人の多くがチームを離れる主な理由は、単にこれ以上マゼピンと一緒に働きたくないからだと断言した。マゼピンは来年もハースF1で戦うことが決まっている。ミック・シューマッハーがチーム内の誰とでも気軽に言葉を交わす一方、マゼピンは父のドミトリーやロシア人の友人数名、そしてフィジオ(理学療法士)と一緒の時間を過ごすものの、スタッフに溶け込もうとしていない。加えて、チーム内に彼を悪く言う人たちがいるという事実は、楽しい2022年を過ごしたいと考える彼にとって先が思いやられるものだろう。


■アルファロメオF1買収計画の影響


2021年F1第20戦カタールGP アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)

 マイケル・アンドレッティのF1チーム買収計画は失敗に終わったが、これによりアルファロメオF1チームの経営層に影響が出た。イスレロ・インベストメンツのパスカル・ピッチ会長が、11月初旬に即時辞任したのだ。イスレロはザウバー・グループAGの単独株主となっている。チームの真のオーナーといえるスウェーデン人富豪フィン・ラウジングが、4年前のチーム取得時に経営の財務面を担わせるべく連れてきたのがピッチだった。


 チームと近い筋によれば、ピッチはザウバー株の80パーセントをアンドレッティと彼のアメリカ人共同出資者たちに売却することが最良の判断だと考えていた。ところが、購入予定者たちに新たな要望が出されたことから彼は裏切られたと感じ、これが契約断念に繋がったようだ。伝えられるところでは、契約に賛成ではなかったチーム代表のフレデリック・バスールとピッチが衝突したのだという。会社に関する戦略的決定という点でバスールのほうが強い影響力を持っていると感じたピッチは辞任したが、イスレロの新会長兼社長職は、現在フィン・ラウジングが時間をかけて探しているため空席となっている。


■アルファロメオ、伸び盛りの若手を一人確保


2021年FIA-F2 テオ・プルシェール(ART)

 ザウバーに関する話題をもうひとつ。育成ドライバーのテオ・プルシェールが、2022年には今年よりもかなり深くF1プログラムに関わることが分かった。ただし、若いプルシェールにとっては、フレデリック・バスールのARTグランプリに残留して、参戦2年目となるFIA-F2選手権でのタイトル獲得を目指すことが優先事項になるようだ。


 プルシェールは、アルファロメオが2度にわたって行うピレリのF1タイヤテストにドライバーとして参加する。F1でレースに出ないときは、頻繁にシミュレーター作業を行い、フリー走行1回目にも数多く出走するものとみられる。未確定ながら、周冠宇のマシンを引き継ぐことになるだろう。これは、バルテリ・ボッタスの契約書に、彼がチームにいるあいだはマシンをサードドライバーに使わせなくてよいと明記されているためだ。

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