日本代表エディーＨＣの秘蔵っ子が明大にトドメのトライ…早大ＦＢ矢崎が名門を担う思い

後半２１分、早大・矢崎（右）が勝ち越しのトライを決める（カメラ・佐々木　清勝）

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◆ラグビー◇関東大学対抗戦　早大２７—２４明大（１２月１日、国立競技場　観衆４万５４４）

　１００回目の対決を迎えた早大—明大による「早明戦」は、早大が２７—２４で競り勝った。伝統対決の節目を制し、２００７年以来１７季ぶりの７戦全勝で６季ぶり２４度目の対抗戦優勝を決めた。通算成績は早大の５６勝２分け４２敗。昨季大学選手権で８強に終わったチームを束ねたフッカー佐藤健次主将（４年）が、２トライの活躍で「前へ」の明大を撃破。５季ぶり１７度目の大学日本一を狙う大学選手権は２１日の準々決勝から出場。学生王者になった際だけに熱唱できる部歌「荒ぶる」へ、大きく弾みをつけた。

　早大ＦＢ矢崎が、猛然と明大インゴールに襲いかかった。１７—１７の後半２１分。ボールを受けた矢崎は、相手のタックルを外すと加速した。２人を引きずりながら右手を目いっぱいに伸ばし、勝ち越しトライ。「（前が）開いていたからいっただけ。僕がしなければいけないことをした」と淡々としつつ「伝統ある試合に出られて光栄。いち早明戦として勝ち切れたことがうれしかった」と、うなずいた。

　１２—１０で迎えた後半開始前。大田尾竜彦監督（４２）から「頼んだよ」と送り出された。今年、日本代表のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ（ＨＣ、６４）に抜てきされて夏に代表デビュー。対抗戦を戦いながら１０月２６日のニュージーランド戦にフル出場するなど、タフなシーズンを過ごす。疲労がたまる中でも「（トライを）取ると思っていた」と指揮官の信頼は揺るがず。期待通りの活躍に、同監督はエディーＨＣの“秘蔵っ子”に「由高は、やるべきことをクリアに試合に臨んでくれた」と賛辞を贈った。

　縦横無尽にボールを動かす早大の代名詞ラグビー“揺さぶる”。快足トライゲッターは「昔から見ていて、自分のスタイルに合っていると思った」と名門の門をたたいた。２年生で迎えた１００回目の節目の伝統の一戦。次世代を担う一員として「これまで築き上げてくれた先輩たちの歴史は、途絶えることはない。その一員になれることはとても誇りに思うし、責任のあることだと思う」と思いをはせた。対抗戦を全勝で駆け抜け、次に見据えるのは学生日本一だ。矢崎は「ここから、負けたら終わりの試合が始まる。そこに向けて、チームをまた一からつくり直していこうと思う」と責任感をにじませた。（大谷　翔太）

　◆矢崎　由高（やざき・よしたか）２００４年５月１２日、新潟・五泉市生まれ。２０歳。５歳から大阪・高槻ラグビースクール（ＲＳ）で競技を始める。芝谷中時代はサッカー部に所属し、吹田ＲＳでラグビーを続ける。桐蔭学園高１年時に全国高校大会優勝貢献。高校、Ｕ２０日本代表。２３年に早大に進学、２４年６月のイングランド戦で日本代表初キャップ。１８０センチ、８５キロ。ポジションはＦＢ、ウィング。