世界ラリークロス:BMW、ヒュンダイもワークス参戦!? 有力ドライバーが参戦打診

2017年12月4日(月)13時22分 AUTOSPORT web

 2018年のWorldRX世界ラリークロス選手権に、メーカー系ワークスチームの参戦が増加する可能性が出てきた。WRC世界ラリー選手権で2度のタイトル獲得経験を持つレジェンド、マーカス・グロンホルムがヒュンダイ・モータスポーツと、2017年にWorldRXで“ルーキーシーズン”を送った元DTM王者のティモ・シャイダーがBMWと、それぞれ2018年のマニュファクチャラー・サポートに向け話し合いを進めている。


 すでにWorldRXに自らのチームであるGRXチームで参戦し、息子のニコラス・グロンホルムを起用しているマーカスは、プライベーターとして2016年型WRカーであるヒュンダイi20 WRCをベースとしたRXマシンを開発し、ヨーロピアン・ラリークロス選手権(EuroRX)で複数回のタイトル獲得経験を持つSETプロモーションとともに、このヒュンダイを走らせる計画を進めていた。


 このプロジェクトに対し、マーカス自身は「ヒュンダイからのサポートを期待している」と、ワークス昇格に向けての希望を語った。


「我々はヒュンダイ・モータースポーツと交渉を進めていて、正式決定は間もなくになるだろう」とグロンホルム。


「すべてをともに進められたら最高だけど、まだその段階にはない。ただ時間は容赦なく、迅速に過ぎていくものだし、僕らはすでに12月を迎えた」


「我々は(ヒュンダイ・モータースポーツからの)いくつかのサポートを望んでいるし、最終的にファクトリーチームの形態を採ることにはこだわっていない。2台体制が構築できたら最高だし、それに向けて準備を進めているところだ」


 一方、ヒュンダイ・モータースポーツの代表を務めるミシェル・ナンダンも、グロンホルムと話し合いを持ったことを認めている。


「我々はラリークロスで何ができるかについて、マーカスとの話し合いを続けている」とナンダン。


「来シーズンに向け、彼とともに何かできることはないか、方法を模索しているところだ」

プロトンのR5カーのテストやヒュンダイとの交渉など、今もフル回転で活動を続けるマーカス・グロンホルム(左)
この2年はMスポーツ製のフォード・フィエスタRXスーパーカーでWorldRXに挑んできたGRXチーム
マーカスの息子であるニコラスが、GRXのエースドライバーとしてステアリングを握っている


 GRXチームは2台体制が実現した場合、エースカーにはそのままニコラスをスライドで起用し、2台目のマシンを託す候補として、2014年のGRCグローバル・ラリークロス王者であるジョニ・ワイマンと、ラリー界で若手有望株と目されるヤリ・フッツネンを候補に挙げている。


 とくにフッツネンは、WRCでヒュンダイのヤングドライバー・シュートアウトにも合格し、2018年はWRC2への参戦プログラムが用意されるなど、ヒュンダイ・モータースポーツとの関係性も強い。


「もちろん、ジョニ(・ワイマン)はとても興味深く、可能性のあるドライバーだ。ただ我々の予算が潤沢でない場合、いくらかの(資金)持ち込みを期待したドライバー選択をする必要があるだろう」と、グロンホルム。


 GRXチームとしては2台体制の構築が最優先ながら、状況次第ではワンカー、もしくは現在走らせているMスポーツ製のフォード・フィエスタRXスーパーカーを継続使用することも視野に入れている。


 また、こちらも2度のDTMチャンピオン経験を持ち、2017年に鳴り物入りでWorldRXフル参戦を果たしたティモ・シャイダーは、DTM時代の関係性を頼りにBMWとのフル参戦に向けた話し合いを開始している。


 2016年限りでアウディとの関係を解消し、DTMからの引退を決めたシャイダーは、2017年シーズンにMJPレーシング・チーム・オーストリアに加入し、初のWorldRXフル参戦を経験。また、これと並行してVLNやニュルブルクリンク24時間レースではBMWのためにドライブするなど、サーキットでの活動も続けてきた。


 BMWのWorldRX参戦に向け、打診していることを認めたシャイダーは「夢と希望に溢れた話し合いであることは間違いないね」と語った。


「現時点でそれ以上のことを言うつもりはないけど、僕らは深く議論しているよ。近い未来についてBMWと意見を交わしていることは秘密でもなんでもない」とシャイダー。

2008〜09年のDTMチャンピオンであるティモ・シャイダーは、2017年からWorldRXにフル参戦
MJPレーシングのフォード・フィエスタはSTARD製の”Evo3″モデルとなり、戦闘力も上々
開幕戦のバルセロナではファイナルに進出。2位表彰台を獲得するなど、貫禄のドライビングを見せた


「2020年に導入が予定されている電気自動車によるラリークロスは、メーカーにとっても魅力的なものに映るはずだ。ここまでの会話でも、彼らマニュファクチャラーが電気自動車でのモータースポーツ活動についてどういう青写真を描いているか、それを聞いているだけでも本当に興味深いんだ」


「確かに、僕らのような“オールドスクール”なドライバーはガソリンエンジンが大好きなのは認めよう。でも電気自動車は未来であり、僕らはそれに対処しなくちゃならない。フォーミュラEにどれほどの関与が集まったかを見れば、ラリークロスにも明るい将来が開けるだろう」


 今日までで、トップレベルのラリークロス競技にBMWのマシンが使用された例は、イギリスのJRMレーシングが製作した『ミニ・JCWクロスカントリーRXスーパーカー』のみで、ガイ・ウィルクスやリアム・ドーラン、ゲラン・シシェリらがドライブした。


 そのシシェリが立ち上げ、2018年から『ルノー・クリオR.S.RXスーパーカー』(日本名:ルーテシア・ルノースポール)を投入するG-FORSラリークロス・チームは、2台目のシートに元フィンランド国内選手権王者のヘレ・カリオコスキーを起用すると発表。来季はEuroRXをメインに、複数回のWorldRXイベント参戦を目指すという。


 また、2017年限りで所属するフーニガン・レーシング・ディビジョンが撤退したことに合わせ、シートを失っているアンドレアス・バッケルドは、現在のWorldRX参戦チームすべてと交渉を行っているとしながら、フォード・パフォーマンスとMスポーツのサポートで、2018年のWRC2参戦も選択肢のひとつとして検討中、としている。

フーニガン撤退でシート探しに奔走するアンドレアス・バッケルド。「最優先はWorldRX残留だ」
新規参戦G-FORSチームの2台目をドライブすることが決まった、ヘレ・カリオコスキー

G-FORSを立ち上げたゲラン・シシェリはプロドライブ製のメガーヌ(左)で参戦予定だ


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