『エクストリームE』用電動SUV、2020年ダカールラリー参戦へ。最終ステージに出走して実戦テスト

2019年12月11日(水)17時50分 AUTOSPORT web

 モータースポーツの垣根を飛び越えた斬新なシリーズ運営手法を標榜する電動オフロード・シリーズ『Extreme E(エクストリームE)』は、2021年の本格始動を前にラリーレイドの最高峰ダカールラリーへの挑戦を決定。エクストリームE本戦で使用される電動SUV『ODYSSEY 21(オデッセイ21)』が2020年1月のダカール最終ステージで実戦デビューを果たすこととなった。


 エクストリームEは北極圏や熱帯雨林、砂漠地帯など、世界中の過酷な環境下を舞台に争われるもの。電気自動車技術だけでなく、環境保護の必要性も訴えることを目的としているシリーズだ。


 シリーズはスパーク・レーシング・テクノロジーズ(SRT)社製の車体とパワートレイン、ウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング(WAE)社製のバッテリーや電動コンポーネントを搭載するオデッセイ21のワンメイクで争われる。


 このオデッセイ21は、同じくアガグCEOが立ち上げたABBフォーミュラE選手権のシーズン1、シーズン2で車両製作を担当したSRT社が、そのシングルシーターで培ったノウハウを最大限活用した車両となり、400kw(550hp)の最大出力により、斜度130%の登坂路でも車両重量1650kg、全幅2.3mのマシンを0-62mph(約1000km/h)加速4.5秒で“射出”するパワーを秘めている。


 SRT製のパワートレインと、WAE製のバッテリーパックはともに共通部品とされ、同じくニオブ鋼を使用した鋼管チューブラーフレームのシャシーとクラッシャブルストラクチャー、ロールケージ、特殊コンパウンドを採用するコンチネンタル製タイヤなどがワンメイク指定される。


 車両のその他のエリアに関しては、チームの希望により一部改変が可能となり、エンジンカバー、フロントバンパー、リアバンパー、サイドスカート、ライトなどのボディワークの領域を選択して、量産車のスタイルを再現することも許される。


 今回、この“E-SUV”が2020年のダカールラリー最終ステージに出走し、プロトタイプやバギー、カミオンなどの内燃機関搭載マシンに勝負を挑むことになった。

2021年2月から始まる初年度シーズンに向け、サウジアラビアは”砂漠”ラウンドの開催地として名乗りを上げている
国策の”ビジョン2030″により、ABBフォーミュラE選手権やダカールラリー、Extreme Eなど積極的なモータースポーツ誘致を続けている


 エクストリームEの創設者兼CEOであるアレハンドロ・アガグは、この試みについて「モータースポーツの世界でもっとも歴史的なイベントのひとつで、我々のオデッセイ21がどんな走りを見せるか、今から待ちきれない気分だ」と期待を語った。


「サウジアラビアの最終ステージは、リアルな環境でのテスト機会を提供してくれる。同国はシーズン1カレンダーへのコミットを早々に表明してくれた地であり、スパーク社のエンジニアもデータを収集し、本物の“自然環境”でハードにドライブされたとき、オデッセイ21にどんな影響が及ぶのか。シリーズ本格始動を前にそれを学ぶユニークな機会になるだろう」


 ダカールラリーのディレクターであり、自身もモト部門のライダーとしてもダカールに参戦し、チーム・プジョー・トタルではステファン・ペテランセルのコドライバーを務めた経験も持つデイビッド・カステラも「エクストリームEの最先端“E-SUV”を、まもなく開幕するダカールラリーに迎え入れることができて光栄に思う」と、歓迎の言葉を述べた。


「これはエクストリームEが採用する新しいテクノロジーの開発を“リアルワールド”で実践する最高の機会になるだろう。この種のイニシアチブは、時代の雰囲気や歴史の流れに完全に一致しているからね」


「専用クラスを導入するという中長期的な目標に向け、我々もEVやハイブリッドのダカールラリー参戦を奨励する試みを始めている。1月のイベントでエクストリームEの新型車両が走る姿を世界に発信できれば、我々のプロジェクトも正しい方向へ向かっていると確信できるだろうし、その流れをさらに促進する効果も期待できるだろう」


 Extreme Eシリーズは近日中にも、シーズン1カレンダーの最後の1戦”Ocean(海洋)”の開催地をアナウンスする予定で、チーム、ドライバー、シリーズパートナーに関するさらなる発表や、2020年ダカールラリーでODYSSEY 21のステアリングを握るドライバーも間もなく発表する、としている。

STCC参戦中のミカエラ-アーリン・コチュリンスキーやティミー&ケビン・ハンセン兄弟の手で本格テストも開始されている
400kw(550hp)の最大出力により、斜度130%の登坂路でも車両重量1650kg、全幅2.3mのマシンを0-62mph(約1000km/h)加速4.5秒で”射出”するパワーを秘めている


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