WEC、2年連続となるLMP2の性能抑制を決定。ハイパーカーとの階層化がより鮮明に

2021年12月20日(月)12時40分 AUTOSPORT web

 来年3月にアメリカ、セブリングで開幕する2022年シーズンのWEC世界耐久選手権では、LMP2クラスを対象にエンジン出力と燃料タンク容量の削減が行われる。これはトヨタやプジョーなどが参戦するハイパーカーカテゴリーとの適切な階層化を目指すために設定された変更のひとつだ。


 WECの主催者であるACOフランス西部自動車クラブとFIA国際自動車連盟は、来シーズンに向けてふたつのプロトタイプ・カテゴリーのペースギャップが保証するために使用する一連のパラメーターの概要を説明している。


 主な変更点のひとつは、すべてのLMP2マシンに搭載されるギブソンの4.2リットル自然吸気V8エンジンのパワーダウンだ。しかし、その削減幅は明らかにされていない。


 一方、燃料タンク容量は約65リットルに制限され、走行時間はタンク内の燃料量に応じて調整されるように設定される。ACOとFIAによると、両者はメーカーと協力して、容量の削減を「実装するためのシンプルで必要な方法について合意」しているという。


 2021年シーズンのWECにおいてLMP2クラスエントリーの大部分を占めたオレカ07は、容量75リットルのタンクを搭載している。


 今年、LMP2のパワー出力は前年までの450kwから400kW(約611PSから約543PS)に制限された。この変更は2021年シーズンからWECに導入されたハイパーカークラスの車両を上回らないようにするために、開幕1カ月前に設定されている。


 キャンペーンは同年のオープニングイベントとなったスパ6時間レースで始まり、ル・マン・ハイパーカー(LMH)を走らせるTOYOTA GAZOO Racingとアルピーヌ・エルフ・マットミュートは、彼らのクルマとLMP2マシンのラップタイムマージンが充分ではないことを懸念した。しかし、ACOとFIAはLMP2カーの性能をさらに落とすことを拒否。実際にプラクティスセクションではLMP2カーが上位クラスのマシンを上回るシーンが見られたものの、予選や決勝においてはハイパーカーが最上位に並ぶリザルトとなった。


 とはいえ、その差が大きくなかったのは事実でありACOは声明の中で「実験の結果、シミュレーションが正しく、修正が必要であることが分かった」と宣言した。

2022年はプジョーとバイコレスが加わる予定のハイパーカークラス。ACOはそれによる性能調整がLMP2のパフォーマンス抑制につながっていると説明した


■参戦車両が増える来季ハイパーカークラスのBoPに起因


 声明ではさらに、「その経験を強みとし、ACOとFIAは来たる2022年シーズンに向け、LMP2チームの代表者の助けを借りてふたたび協力関係を築いた」とも述べられている。


「この1年、ハイパーカーはその能力を最大限に発揮した。2022年にはより多くのクルマがハイパーカークラスに参入し、BoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)が統合されることで、それらの性能は抑制される」


「その結果、LMP2クラスは2022年に(ふたたび)パフォーマンス調整の対象となる」


 出力とタンク容量の削減に加えて、WECに参戦するLMP2カーは今シーズンに引き続きローダウンフォース仕様のエアロパッケージでレースに参加することが義務付けられた。


 一方、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズのLMP2車両は、標準仕様となるハイダウンフォース・パッケージが使用可能だ。また、北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のLMP2についても変更が適用されることは予想されていない。


 WECとELMSで使用されているグッドイヤーのワンメイクタイヤについては、その仕様について公式発表はなく、今年から950kgに引き上げられたLMP2マシンの最低重量も変更されるとのアナウンスは行われていない。


■ポイントシステムが一部修正


 2022年シーズンに向けたWECレギュレーションのもうひとつの変更点は、各クラスのトップ10圏外に入ったクルマに与えられていたポイントと、GTEドライバーを対象にした総合ポイントの削除だ。


 この変更は先週水曜日に行われたFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)で承認された。


 これまでは各クラスで11位以降でフィニッシュしたマシンに対し、ル・マンと8時間レースでは1ポイントが、その他の6時間レースでは0.5ポイントが与えられていた。今回の変更によってこれらが廃止に。


 一方、それ以外のポイントシステムは継続され、通常の6時間レースで使用される『25-18-15-12-10-8-6-4-2-1』のポイントスケールを基準に、ル・マンでは6時間レースの2倍、8時間レースでは同1.5倍のポイントが付与される。

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