耐えに、耐えても打ち砕かれる タパレスが語った“怪物”井上尚弥の凄み「イノウエのスピードに追いつけなかった」

2023年12月26日(火)22時4分 ココカラネクスト

力なく膝から崩れたタパレス。井上のパワーはやはり強力だった。(C)Takamoto TOKUHARA

 自信を抱いていたガードの上から見事に打ち抜かれた——。

 12月26日、東京・有明アリーナで世界スーパーバンタム級の4団体王座統一戦が行われ、WBC&WBO世界統一王者の井上尚弥(大橋)が、WBA&IBF世界統一王者のマーロン・タパレス(フィリピン)を10回KOで破り、昨年のバンタム級に続く、世界主要4団体の王座を統一する歴史的快挙を果たした。

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 井上は圧巻だった。しかし、無念のKO負けを喫したタパレスも世界戦4連勝中の実力は流石だった。間違いなく「ナイトメア(悪夢)」の異名は伊達ではなかった。

 試合前に「弱点は見えている。俺がイノウエにとって最悪の悪夢になる」と語っていた31歳は、序盤からL字ガードを作り、半身になって重心を下げたスタイルで“堅牢”を構築。4回に猛ラッシュを受け、膝をついたが、その後は井上が「本当に効いているか分からなかった」と振り返るほどの巧者ぶりを発揮。7、8回にはポイントで勝っていた。

 それでも自慢の守備は打ち抜かれた。10回に強烈なワンツーで吹き飛ばされると、刹那に飛んできたワンツーをテンプル付近に被弾。そのまま力なく膝から崩れ落ちると、ふたたび立つことはできなかった。

 試合後の会見で「自分はイノウエのスピードに追いつけなかった」と振り返った31歳は、10回のKOシーンについては「イノウエのパンチがキレイに効いた。改めて彼はボクシングが巧いと感じた」と最後まで立ちはだかった“怪物”の凄みを語った。

 勝者となった井上は、今後4本のベルトをかけ、ルイス・ネリ(メキシコ)やムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)といった猛者と対峙することになる。そんな日本の偉才に立ち向かうライバルたちに向け、タパレスは「グッドラック(幸運を)」とポツり。その表情からは勝ちきれなかった悔しさがにじみ出た。

[取材・文/羽澄凜太郎]

ココカラネクスト

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