【東福岡】苦戦続きの1年で身につけた勝負強さと、“移籍加入”したMF浦が最大の武器<第100回高校選手権>

2021年12月28日(火)19時24分 サッカーキング

サガン鳥栖Uー18から東福岡へと“転入”したMF浦十蔵  [写真]=松尾祐希

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 インターハイ、Uー18全日本ユース選手権(現在の高円宮杯Uー18プレミアリーグ)、高校サッカー選手権を制して達成した1998年度の3冠。本山雅志などを擁する最強チームが雪の決勝で帝京を倒し、初の選手権優勝を収めたのは今でも語り継がれる偉業だ。

 翌年も選手権を制し、2014年と2015年にはインターハイを連覇。その2015年度は選手権を制するなど、“赤い彗星”は長きにわたって高校サッカー界を牽引してきた。しかし、近年はタイトルをつかめていない。

 そして、迎えた今季は今までにないほど苦しむシーズンとなった。春先の九州新人戦は3位決定戦で佐賀東に敗れて4位。4月以降もUー18高円宮杯プレミアリーグWESTで開幕5連敗を喫し、6月のインターハイ予選は準決勝で飯塚に敗れて10年ぶりに出場権を逃した。

 それでも夏以降は課題だった守備を整備。4バックから3バックに切り替え、前線からハイプレスを仕掛けるサッカーにシフトチェンジした。攻撃も見直しを図り、伝統のサイドアタックを一旦封印。ショートカウンターで攻め切るスタイルを取り入れ、不調からの脱却を目指した。秋の選手権予選では、準々決勝以降のすべてが延長戦に持つれる展開となったが、接戦を制して一戦ごとに成長。逆境を跳ね返して勝利を重ねると、決勝でも飯塚を延長戦で下して出場権を手にした。

 苦戦続きの1年だったが、選手権予選を通じて勝負強さを身につけたのは間違いない。チーム力も底上げされ、1年生のMF榊原寛太が台頭したのも明るい材料だ。しかし、攻撃面では物足りなさが残る。その不安を解決するうえで、期待したいのが2年生のMF浦十蔵だ。

 圧倒的なスピードで勝負する浦は、サガン鳥栖Uー15時代にUー15日本代表候補に選出された経験を持つ実力者。夏のUー15クラブユース選手権ではチームを優勝に導く決勝ゴールを決めるなど、全国舞台でも結果を残してきた。

 中学卒業後は鳥栖Uー18でプレーをしていたが、自身の主戦場はBチーム。同期の福井太智や楢原慶輝がレギュラーに定着して世代別代表でも活躍する一方で、自身はケガの影響もあって満足いくプレーができなかった。

 仲間の活躍を目の当たりにし、日増しに募っていく焦り——。そうした現状を変えるべく、浦は今年の5月に大きな決断を下す。それが東福岡への転校だった。

「鳥栖でプロになり、将来的には海外でプレーする目標があった。だけど、今のままでは成長できない。そう思って、幅を広げるために移籍を決めた」

 Jリーグクラブから高体連へ移籍したため、夏のインターハイ予選は規定によって登録外。その影響で合流直後はBチームでのプレーを余儀なくされたが、夏以降は持ち前のスピードを生かしたプレーでAチームに定着する。プレミアリーグでもコンスタントに出場機会をつかみ、右ウイングバックの位置から圧倒的な走力と献身的な守備で存在感を発揮してきた。

 選手権予選はインターハイ同様にメンバーを外れたが、本大会は規定をクリアしてメンバー入り。例年と比べて個人で局面を打開できる選手が少ないため、浦のスピードがチームの武器になるのは間違いない。

 出場権をつかんでくれた仲間に感謝しつつ、初の選手権に挑む浦。17歳で下した決断を意味あるものにすべく、“赤い彗星”の救世主になることを誓う。

取材・文=松尾祐希

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