基礎疾患は他人事ではない!臓器が悪くなる最大の原因は、「肺の衰え」
2023年1月17日(火)20時30分 ココカラネクスト

未だに勢力の衰えない新型コロナウイルス感染症。
この感染症は、基礎疾患がある人ほど重症化リスクが高まると言われています。
アメリカの疾病予防管理センターの発表したガイドラインを見ると、「がん」「慢性腎疾患」「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」「肥満」「心臓疾患」「脳血管疾患」「糖尿病」「高血圧」「肝疾患」「免疫不全」「認知症」などの病気を持っている人は、重症化のリスクが高まるとされています。
前回、自律神経と肺との関わりについてお伝えしました。
実は、その自律神経を整えることは、これらのあらゆる基礎疾患の予防になると言っても過言ではないのです。
今回は、書籍「最高の体調を引き出す超肺活」(著=小林弘幸。監修=末武信宏)より、肺を鍛えることと、基礎疾患予防との関係についてご紹介します。
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自律神経の乱れは、重大な病気を引き起こす原因に!
先ほど挙げた基礎疾患ですが、今はそれらと無縁だったとしても、不健康な生活を続けていると、いつかはどこかに病気の形になって現れてきます。
基礎疾患は他人事ではないと自覚し、気づいたその日から、今できることを始めるのが大切です。
その方法として、肺を鍛えて、自律神経のバランスを整えることを最優先して欲しいと思います。
基礎疾患の中でも、血管系のトラブルは、深刻な結果を招く危険性があります。
血管の中に「血栓」と呼ばれる塊ができると、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まり、最悪の場合は命を落としかねません。
血栓ができてしまう1番の理由は、全身を巡る血流が悪いからです。
前回お伝えした通り、血管の動きをコントロールしているのは自律神経です。
自律神経のバランスが良いと、交感神経が血管を収縮させ、副交感神経が血管を弛緩させる動きが交互に起こります。
しかし、交感神経が過剰に働いていると、血管の収縮が過剰になり、体に充分な量の血液が巡らなくなってしまいます。
一方、副交感神経の働きを高めて自律神経のバランスが整うと、多くの血流を体に送ることができます。
高血圧の人は、交感神経が優位に働いてることがほとんどです。血管が収縮して、細い血管の中を血液が流れていくため、その分圧力が血管にかかってしまい、高血圧になるのです。
このように、自律神経のバランスの乱れは、全身の血流状態を悪化させ、重大な病気を引き起こす原因になります。
呼吸筋を鍛えて、日頃からゆっくりと深く呼吸する習慣を作り、副交感神経の働きを高めていきましょう。
臓器が悪くなる最大の原因は、肺の衰えによる血流不足!
高血圧と同じく、糖尿病や脂質異常症といった病気も、症状が全身に及ぶ怖い病気です。
その理由は、これらの病気はいずれも血管内皮細胞を傷つけて重症化するものだからです。そして、その諸悪の根源は「血流の悪化」にあると言えるからです。
糖尿病は、血液中のブドウ糖が増えすぎてコントロールできなくなる病気です。
遺伝的要因を持たない人でも、暴飲暴食を続けると発症するため、食生活の改善は必要不可欠です。
しかし、交感神経が優位に働き血流の悪い人は、食生活の改善をしていても治療が上手くいきません。
なぜなら、血流が悪いと、すい臓や腎臓など、糖尿病と関わりが深い臓器の機能が改善しないからです。
また、脂質異常症についても、中性脂肪や悪玉コレステロール値を下げることは大切ですが、同時に意識しなければならないのは「血流」です。血流が悪いと、中性脂肪や悪玉コレステロールが血栓を作り、動脈硬化を進め、脳梗塞や心筋梗塞などが発症する危険性があります。
これらの病気は、一見、自律神経とは関係のないように思えます。
しかし、このように、自律神経のバランスが乱れて血流の状態が悪いと、せっかく食生活を改善しても、治療は上手くいかないのです。
このことは、腎臓疾患や肝臓疾患など、特定の臓器が病気になっている場合にも同じことが言えます。
私たちの体は、ロボットのようにパーツを分解して治すことはできません。
全ては自律神経や血流によってつながっているからです。
どんな病気であっても、自律神経のバランスが崩れ、血流が悪化している状態で治療しても、望む効果は半減すると考えてください。
現代医療は、心臓が悪ければ心臓を、肝臓が悪ければ肝臓を治療するといった、人間をパーツで分けて治療する対症療法が主流です。それで効果が得られなかったり、すぐに再発したりしてしまうのは、その臓器が本当に悪くなった原因が改善されていないからといえます。
臓器が悪くなる最大の原因は、肺の衰えによる血流不足です。
肺の衰えを防ぐためにも、以前お伝えした肺活トレーニングで肺を鍛えましょう。
血液中の酸素や栄養素、免疫細胞をすみずみまで届けることができれば、人は健康になれます。
このとことは是非、常に念頭に置いておきましょう。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]

【参考文献】
『最高の体調を引き出す超肺活』(アスコム刊)
著者:小林弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。
順天堂大学医学部卒業後、同大学院医学研究科修了。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。
監修:末武信宏(すえたけ・のぶひろ)
国立岐阜大学医学部卒業。さかえクリニック院長。第88回日本美容外科学会会長。
社団法人 先端医科ウェルネスアカデミー副代表理事。
日本美容外科学会認定専門医としてアンチエイジング診療を行うかたわら、順天堂大学医学部非常勤講師としてスポーツ医学の研究をおこなっている。