日産スカG伝説の幕開け! プリンス・スカイライン2000GTは意外に手ごろ?

2024年2月22日(木)11時30分 マイナビニュース

計4万人を超える来場者でにぎわった旧車の祭典「Nostalgic 2days」(ノスタルジック2デイズ、2024年2月17日〜2月18日にパシフィコ横浜で開催)でも、ひときわ人気を集めていたのが日産自動車の「スカイライン」だ。「ハコスカ」などはプレミアが付いて価格も高騰しているが、意外な値札が付いていたのが「プリンス・スカイライン2000GT」だった。
「プリンス・スカイライン2000GT」とは?
スカイラインの人気は衰え知らず。「ハコスカ」や「ケンメリ」はもとより、トップモデルの「GT-R」ともなれば数千万円で、ちょっとやそっとでは購入できない。そんな中、なんとか手が出せそうな価格をキープしているのが、そのひとつ前の世代となるS54型の「プリンス・スカイライン2000GT」だろう。
レースを出自とする同モデルは、1964年の日本GPに向けて当時のプリンス自動車が開発したもの。4気筒を積むノーマルスカイラインのホイールベース(というかボンネット)を155mm伸ばして、そこに「グロリア」用の長いG7型直列6気筒SOHCエンジンを強引に押し込み、ウェーバー製のツインチョークキャブレターを3連装してパワーアップを図ったクルマだ。最高出力は125PS、最高速度は180km/hだった。
今から考えたら無理やり感満載の話だけれども、当時はそうしたことは当たり前。レースでは、生沢徹がドライブするゼッケン41のスカGが、式場壮吉の最新鋭ポルシェ「904GTS」(水平対向4気筒、180PS、最高速度260km/h以上)を7周目のヘアピンでかわして(遅い前走車がポルシェの前をふさいだとか、生沢と仲の良かった式場がちょっと前を譲ってみたなど諸説あり)、わずか1周とはいえ見事な4輪ドリフトをかましながらトップを走ったこの瞬間に、今でいう「スカG伝説」が生まれたのだ。ちなみに、結局のところ優勝したのはポルシェ904で、2位は砂子義一のスカG、生沢は3位だった。当時の映像はYouTubeで見ることができる。
スカイライン2000GTには2種類ある?
そのスカGの市販モデルが、1965年に発売となったS54型「スカイライン2000GT」だ。3連キャブで125PSを発生する高性能版の「GT-B」と、街での乗りやすさを重視して少し後に登場したシングルキャブ仕様の「GT-A」(こちらは105PS)があった。それぞれが装着するバッジの色は前者が赤、後者が青。ボンネットを開けなくてもバッジの色でBかAかを識別することができる。現在でも色の違いで中古価格がかなり違ってくるそうだ。
「Nostalgic 2days」の会場で気になったのは、愛知県の「AUTO ADVISER STUFF」が展示していた1968年製の「スカイライン2000GT-A BバージョンS54A-Ⅲ」。この微妙な名称のいきさつを担当の川村荒治さんに聞いてみると、「ボディは3連キャブエンジン仕様で赤バッジもついているBタイプなんだけど、ミッションは後期型の(Bにはない)4速。不思議なクルマなんだよね」とのこと。
あくまで想像との前置きつきだが、プリンスが日産に併合された後の最終時期の製造車であるため(車台のプレートもプリンスではなくニッサンS54型となっている)、とりあえず残ったボディとパーツで仕上げた超レアモデルだったんじゃないのかな、というのが川村さんの見立て。程度の良さそうな白ボディとスパルタンなブラック内装で、こっそりプレートカバーをめくって見せてくれたのは貴重な「奈5」のシングルナンバーだった。価格は635万円(税抜)。意外に安いと思った次第だ。
会場には、ほかにもたくさんのスカイラインが展示されていた。例えば1971年の日本GPに出場したKPGC10型ハコスカGT-Rの高橋国光仕様(赤白ボディのゼッケン6)、4気筒DOHCを搭載したRSターボ系など、各世代がそろっていて楽しいこと楽しいこと。中には、大敵のサビに対応するため、ドンガラ状態で完璧な対策を施したPGC10型4ドアセダンのGT-R(車台番号000036)の姿も。純正部品のみを使用して仕上げるとの話だが、これが完成して売りに出されると一体いくらになるんだろうか……。
原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら

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